
概要と開発の背景
KC-130J Super Hercules は、1990年代末から2000年代初頭にかけてアメリカの Lockheed Martin 社が開発し、2004年よりアメリカ海兵隊へ本格導入された多目的空中給油・戦術輸送機である。開発の背景には、1960年代より長年運用されてきた旧式の KC-130F/R/T 給油輸送機における機体の老朽化と、エンジンの出力不足、航続距離や給油効率の向上ニーズが存在した。前線部隊への戦闘機、ヘリコプター、垂直離着陸機(AV-8B や MV-22B)に対する空中給油能力、および前線基地への補給物資・兵員輸送能力を大幅に拡大するため、最新の C-130J Super Hercules の機体構造とアビオニクスをベースにした多機能空中給油プラットフォームとして KC-130J が構築された。
構造と技術的特徴
構造上の最大の特徴は、Rolls-Royce AE 2100D3 ターボプロップエンジン4基と GE-Dowty Aerospace 製 R391 6枚刃複合素材プロペラを組み合わせ、デジタル電子制御飛行システムを統合している点にある。両主翼下に懸架された Cobham 製空中給油ポッド2基と、外部増槽タンクを含めて最大61,364lbs(約27,834kg)の燃料を給油用途として搭載可能な構造を有する。給油移送速度は毎分最大 600 U.S. gallons(約2,270 L)に達する。前進基地での地上給油(Far Forward Refueling Point)機構を備えるほか、プロペラをフェザー状態に固定して地上風や風圧の影響を抑える「ホテルモード(Hotel Mode)」機能を保持している。さらに、着脱可能な「Harvest HAWK(Hercules Airborne Weapons Kit)」パッケージを装着することにより、AN/AAQ-30 照準ポッド、AGM-114 ヘルファイア、AGM-176 グリフィンなどの精密誘導兵器を運用できる直接火力支援・監視機能を付与できる設計思想を有する。
運用実績と評価
2004年の制式配備以降、KC-130J はアメリカ海兵隊の海兵空中給油輸送中隊(VMGR)へ集中配置されたほか、イタリア空軍、クウェート空軍、フランス空軍、ドイツ空軍などの海外採用国へ導入された。実際の運用においては、イラク戦争やアフガニスタン紛争へ投入され、MV-22B、F/A-18、F-35B への空中給油、前線での地上給油、兵員・物資の戦術輸送において高い実用性を実証した。特に Harvest HAWK Kit を装着した機体は、前線地上部隊への長時間の監視および精密誘導兵器による直接火力支援を実行するマルチロール機として運用された。旧型の KC-130T 等と比較して、航続距離、巡航速度、給油能力、短距離離着陸性能が向上しており、アメリカ海兵隊の遠征機動展開および空中給油・物流網の基幹機体として第一線での運用が続けられている。
| Official Name (正式名称) | KC-130J Super Hercules |
| Country of Origin (開発国) | アメリカ合衆国 |
| Manufacturer (製造メーカー) | Lockheed Martin |
| Designed (設計年) | C-130J Super Herculesプラットフォーム自体の製造開発プログラムが開始された最初の設計年は1994年であり、これをベースとした戦術空中給油・輸送機型仕様「KC-130J」の開発、およびアメリカ海兵隊等に向けたシステム設計も1990年代中盤に並行して確定された。その後、基本型となるC-130Jは1996年に初飛行をおこない1999年に運用開始されているが、空中給油機バリアントである「KC-130J」としての本格的なフリート部隊配備および運用開始年は2004年4月(第252海兵航空燃料輸送飛行隊[VMGR-252]等への導入)である。 |
| Primary Operators (主な運用組織) | アメリカ合衆国:アメリカ海兵隊の各海兵空中給油輸送飛行隊(VMGR-152、VMGR-153、VMGR-252、VMGR-352、VMGR-234)に配備。一部の機体にはロールオン・ロールオフ式のモジュラー兵装統合キット(Harvest HAWK)が車載マウントされ、精密攻撃・偵察プラットフォームとしての派生運用仕様も稼働中 フランス:フランス空・宇宙軍の第62輸送航空団第2/61輸送飛行隊「フランシュ=コンテ(オルレアン=ブリシー基地)」に配備。エヴルー=フォヴィル空軍基地を拠点とする「仏独共同戦術空輸飛行隊(Franco-German Tactical Airlift Squadron)」の共同フリートとして運行管理中 ドイツ:ドイツ空軍の第62空輸航空団に配備。フランスのエヴルー=フォヴィル空軍基地に拠点を置く「仏独共同戦術空輸飛行隊」へ機材を投入し、欧州統合運用フリートとして並行運行中 イタリア:イタリア空軍の第46航空旅団(ピサ=サン・ジュスト基地)に配備。標準の空輸バリアント(C-130J/C-130J-30)の技術インフラと共通化された空中給油・輸送アセットとして現役稼働中 クウェート:クウェート空軍の第41輸送飛行隊(アブドラ・アル・ムバラク基地)に配備。機内給油システムを常時マウントした多用途戦術機材として現役運用中 サウジアラビア:王立サウジ空軍の第16飛行隊および第19飛行隊等に配備。戦術作戦における固定翼機・回転翼機向けの空中給油プラットフォームとして運行管理中 |
| Crew (乗員) | 3名(Pilot, Co-pilot, Crewmaster)/ 兵員輸送能力:最大92名の兵員または64名の空挺兵( paratroopers)を貨物室内に収容可能 |
| Dimensions (寸法):全長、全幅(翼幅)、全高 | L (全長):29.3 m 〜 29.79 m (97 ft 9 in) W (全幅/翼幅):39.7 m 〜 40.41 m (132 ft 7 in) H (全高):11.4 m 〜 11.66 m (38 ft 3 in) |
| Empty / Max Takeoff Weight (自重 / 最大離陸重量) | 87,961 lbs (39,898 kg) / 164,000 lbs (74,389 kg) 〜 最大 175,000 lbs (79,380 kg) |
| Powerplant (エンジン):型式、推力 | 4x Rolls-Royce AE 2100D3 Turboprop Engine 推力(出力):1基あたり 4,691 shp(軸馬力)※6翅可変ピッチプロペラ駆動 |
| Max Speed (最大速度):マッハ表記、高度別の速度 | 362 kn(0.54 Mach / 670 km/h) |
| Combat Range (戦闘行動半径) / Ferry Range (航続距離) | 500 nautical miles (930 km) ※空中給油ミッションにおける作戦行動半径 / 2,835 nmi (5,250 km) 〜 3,548 nmi (6,570.90 km) ※ペイロードおよび燃料マウント構成により変動 |
| Service Ceiling (実用上昇限度) | 28,000 ft (8,500 m) ※42,000 lbsペイロード時 〜 最大 29,800 ft (9,083 m) |
| Hardpoints (ハードポイント):ミサイルや爆弾の搭載能力 | 左右主翼外側に Sargent Fletcher 社製空中給油ポッド(Hose and Drogue仕様)用マウント計2基。拡張仕様の「Harvest HAWK」マウントキット統合時は、左翼外部燃料タンク下に AN/AAQ-30 TSS(Target Sight System)ポッド、翼下パイロンに AGM-114 Hellfire ミサイル用4連装ランチャー、後部貨物室ランプ/ドア部に Griffin ミサイル用10連装ランチャーのシステム統合・マウントに対応 |
| Fixed Armament (固定武装):機関砲の口径、弾数 | None |
OPERATING FORCES / 運用国・軍種
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画像の引用元
- By Mass Communication Specialist 3rd Class James Turner – commons, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=88816315












