AGM-114 Hellfire

AGM-114 Hellfire
海上自衛隊 SH-60Kのパイロンに搭載されたヘルファイア

AGM-114 ヘルファイアは、アメリカのヒューズ・エアクラフト社(現在の製造はロックード・マーティン社など)によって開発された空対地誘導ミサイルである。元々はヘリコプター搭載用の対戦車ミサイルとして開発されたが、高い汎用性と精密打撃能力から、現在では装甲車両だけでなく、各種構造物や小型舟艇など多目的な標的に対して運用されている。発射プラットフォームも非常に多彩であり、AH-64 アパッチなどの攻撃ヘリコプターに加え、MQ-9 リーパーといった無人航空機(UAV)、さらには地上車両や艦艇からも運用が可能である。多数の派生型が存在し、基本的にはレーザー誘導を用いるが、ミリ波レーダーによる「撃ちっぱなし(ファイア・アンド・フォーゲト)」能力を備えたモデルも実用化されている。

Official Name (正式名称):AGM-114 Hellfire
Country of Origin (開発国):アメリカ合衆国
Manufacturer (製造メーカー):Lockheed Martin (※過去のセカンドソースおよび共同製造として Boeing、弾頭・シーカーの一部に Northrop Grumman 等が参画)
Designed (設計年):アメリカ陸軍による対戦車ミサイル開発の要求に伴い1971年(または1972年)に開発・設計プログラムが本格始動し、1976年10月にロックウェル・インターナショナル社と主契約が締結されて試作開発が進められ、各種試験を経て1984年に制式化(部隊配備開始)されたのち、初期型のAGM-114Aが1985年に初期運用能力(IOC)を達成、1986年4月から陸上部隊等での正式な運用を開始
Primary Operators (主な運用組織):アメリカ合衆国アメリカ陸軍(各陸軍航空旅団・AH-64アパッチ運用部隊、M-SHORAD防空部隊等)、アメリカ海軍(MH-60R,MH-60Sヘリ運用部隊、沿海域戦闘艦(LCS)搭載部隊)、アメリカ海兵隊(各海兵軽攻撃ヘリコプター飛行隊(HMLA)・AH-1Z運用部隊、KC-130JハーベストHAWK運用部隊)、アメリカ空軍(MQ-9リーパー運用部隊、AC-130W/Jガンシップ運用部隊等)
日本陸上自衛隊(航空学校、教育支援飛行隊、および各地の「対戦車ヘリコプター隊」等。AH-64Dアパッチ・ロングボウの主力空対地火器としてAGM-114Kやミリ波レーダー誘導型のAGM-114Lロングボウ・ヘルファイアを配備・運用中)、海上自衛隊SH-60K運用部隊など)
ウクライナ:ウクライナ陸軍、防空部隊(※米国、北欧、英国等から沿岸防衛用および対ドローン・対地用として大量に無償供与。全地形対応車(ATV)にテンペストシステムを構築した移動式空地迎撃ハンター部隊などで実戦配備・運用中)
台湾(中華民国):中華民国陸軍(第601、第602航空旅団などの航空特戦指揮部・AH-64E/AH-1W運用部隊)、中華民国海軍(海軍航空隊のS-70C(M)および調達中のMH-60R運用部隊用として調達)
英国:イギリス陸軍(陸軍航空隊(AAC):第3、第4連隊などのアパッチAH1/AH-64E運用部隊。※派生品として、ヘルファイアの機体設計をベースに英国が独自にミリ波レーダーやタンデム弾頭を大幅に改良し、実質的な超進化型別系統ミサイルとして国産化した「ブリムストーン(Brimstone)」を開発、空軍戦闘機や地上ランチャー、ウクライナ支援用として大量運用中)
スウェーデン:スウェーデン陸軍、沿岸防衛部隊(※公式ライセンス・沿岸防衛用派生品として、ヘルファイアを地対海・対舟艇用に最適化して国内ライセンス生産した「Rbs 17(ロボット17)」を開発。固定三脚架での発射システムとして水陸両用戦部隊等に広く配備・運用中)
ノルウェー:ノルウェー陸軍、沿岸防衛部隊(※スウェーデン同様に沿岸防衛用「Rbs 17」の運用および、歩兵携行三脚架式地上ランチャー型のヘルファイアを長年運用。一部はウクライナへ供与)
イスラエル:イスラエル航空宇宙軍(第113、第190飛行隊などのAH-64A/AH-64D攻撃ヘリ運用部隊、各種無人機部隊)、イスラエル海軍(高速哨戒艇などの艦載精密火器)。(※また、ヘルファイアをベースに弾体やシーカー、推進部を完全再設計・大型化した独自の高度発展・派生品ミサイルファミリーである「スパイク(Spike)」ミサイル(特に最大射程を誇るSpike-NLOSなど)を開発・量産し、自軍のみならず世界数十カ国に輸出中)
オーストラリア:オーストラリア陸軍(陸軍航空第1連隊などのタイガーARH、および調達中のAH-64Eアパッチ運用部隊)、オーストラリア海軍(航空隊のMH-60Rシーホーク運用部隊)
フランス:フランス陸軍(陸軍航空隊(ALAT):第5戦闘ヘリコプター連隊などのタイガーHAD攻撃ヘリ運用部隊)
ドイツ:ドイツ陸軍(第36戦闘ヘリコプター連隊などのタイガーUHT攻撃ヘリ運用部隊、またはユーロコプター支援システム)
イタリア:イタリア海軍(海軍航空隊のMH-60R、または特殊作戦機用)、イタリア陸軍(A129マングスタ攻撃ヘリの対戦車火器として過去に少数調達・評価。現在は国産スパイクへ移行)
オランダ:オランダ王立空軍(第301飛行隊などのAH-64D/AH-64Eアパッチ攻撃ヘリコプター運用部隊)
ギリシャ:ギリシャ陸軍(第1、第2陸軍航空大隊のAH-64A+/AH-64Dロングボウ運用部隊)、ギリシャ海軍(海軍航空隊のS-70B/MH-60Rシーホーク運用部隊)
スペイン:スペイン陸軍(陸軍航空隊(FAMET):第1攻撃ヘリコプター大隊のタイガーHAD戦闘ヘリ運用部隊)
トルコ:トルコ陸軍(陸軍航空部隊のAH-1Wスーパーコブラ運用部隊、および各種国産UAVでの運用試験)
韓国:大韓民国陸軍(陸軍航空作戦司令部隷下の各航空旅団・AH-64Eアパッチ運用部隊、およびAH-1S運用部隊)
シンガポール:シンガポール空軍(第120飛行隊などのAH-64Dアパッチ運用部隊)
インドネシア:インドネシア陸軍(陸軍航空隊の第11航空大隊・AH-64Eアパッチガーディアン運用部隊)
インド:インド陸軍(第451陸軍航空隊などのAH-64E運用部隊)、インド空軍(第125ヘリコプター飛行隊などのAH-64Eアパッチ運用部隊)
パキスタン:パキスタン陸軍(陸軍航空隊の各種戦闘ヘリコプター、およびAH-1Zヴァイパー用火器)
サウジアラビア:サウジアラビア陸軍(陸軍航空旅団のAH-64A/AH-64D/AH-64Eアパッチ運用部隊)、サウジアラビア王室警備隊(独自の航空支援部隊)、サウジアラビア国家警備隊(SANG)(独自航空旅団のAH-64E運用部隊)
アラブ首長国連邦:アラブ首長国連邦陸軍(陸軍航空司令部のAH-64D/AH-64Eアパッチ運用部隊)、UAE海軍(艦載MH-60Rシーホーク、および各種沿岸戦闘艇)
エジプト:エジプト空軍(各戦術航空部隊のAH-64Dアパッチ運用部隊)
ヨルダン:ヨルダン王立空軍(第10、第12飛行隊などのAH-1F/Sコブラ、およびAC-208コンバットキャラバン運用部隊)
カタール:カタール空軍(特殊攻撃ヘリコプター飛行隊のAH-64Eアパッチ、およびUAV運用部隊)
クウェート:クウェート空軍(第17、第20飛行隊などのAH-64Dアパッチ運用部隊)
バーレーン:バーレーン王立空軍(第8、第9、第22飛行隊などのAH-1E/P/Z系列攻撃ヘリ運用部隊)
イラク:イラク陸軍(陸軍航空隊のIA-407戦闘ヘリ、およびAC-208コンバットキャラバン対地精密打撃部隊)
チュニジア:チュニジア空軍(※OH-58Dカイオワ・ウォリア戦闘ヘリ部隊、および対テロ作戦用)
レバノン:レバノン空軍(※AC-208コンバットキャラバン、およびMD-530G軽攻撃ヘリコプター部隊)
モロッコ:モロッコ王立空軍(※主力調達中のAH-64Eアパッチ用、および各種無人機(UAV)用の精密空対地火器としてAGM-114R等を大規模配備)
カナダ:カナダ空軍(※近年のDSCA通告に基づき、MQ-9Bスカイガーディアン無人機(UAV)導入に合わせて、最新のAGM-114R2ヘルファイア含む大量のシステム契約・運用部隊を新設中)
ポーランド:ポーランド陸軍(※軍近代化プログラムに基づき、AW149多目的ヘリコプターおよび調達中のAH-64Eアパッチ用に、最新のAGM-114R2を数千発規模で調達、陸軍航空部隊にて順次運用開始)
クロアチア:クロアチア陸軍、航空部隊(※米国から供与されたOH-58Dカイオワ・ウォリア軽攻撃ヘリコプターの主力精密誘導兵器としてAGM-114R等を配備・運用中)
Type (種類):対戦車誘導弾 (空対地/地対地精密誘導ミサイルシステム)
Caliber / Diameter (口径/ミサイル直径):178 mm (7 in.)
Guidance System (誘導方式):セミアクティブ・レーザー誘導 (SALH:Semi-Active Laser Homing)、またはアクティブ・レーザー・レーダー(ミリ波)方式 (MMW:Millimeter-Wave radar seeker ※AGM-114L等に搭載)
Overall Length (全長/キャニスターサイズ):1,620mm〜1,750mm (型式依存。初期A型〜K型等は約1.63m、L/M/N/R型等は約1.80m)
Wingspan (翼幅):展開時 約710mm (28 in.) / 折り畳み時 約330mm (13 in.)
Weight (重量/総システム重量):ミサイル単体重量 約45kg〜49.4kg (98 pounds〜109 pounds、型式による) / 総システム重量は4連装ランチャー(M299等)空虚重量約66kg、ミサイル4発フル装填時で約259kg
Flight Speed (飛翔速度):最大速度マッハ1.3 (約450m/s / 時速約1,600km/h、基本は高速巡航の亜音速〜最高マッハ1.3)
Effective Range (有効射程):最小射程 500mから 最大射程 8,000m〜11,000m (約8.0km〜11km。※発射プラットフォームの高度や軌道設定、固定翼・無人機(UAV)等の運用条件により最大11kmに延伸)
Warhead & Propulsion (弾頭/推進方式):成形炸薬(HEAT)、タンデム成形炸薬(Tandem HEAT)、爆風破片効果弾頭(Blast Fragmentation)、金属強化炸薬(MAC)、またはR9X等の鋼鉄製ブレード弾頭 / 推進方式:固形燃料ロケット・モーター (Thiokol TX-657 等)
  1. By Hunini – Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=151266185

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