
概要と開発の背景
C-130Rは、アメリカのLockheed Martin(旧 Lockheed Corporation)が開発した多目的四発ターボプロップ輸送機C-130Hをベースに改修され、2014年(平成26年)より海上自衛隊へ導入された陸上発着型の中型戦術輸送機である。海上自衛隊では長年、国産双発ターボプロップ旅客機YS-11を改修した「YS-11M」および「YS-11M-A」を輸送機として運用し、全国の航空基地間や離島への人員・資材補給を行ってきた。しかし、2010年代に入りYS-11Mの機体老朽化に伴う全機退役が目前に迫り、迅速な後継アセットの確保が急務となった。新規開発や新品購入には膨大なコストと期間を要するため、アメリカ海軍・海兵隊で保管されていた退役済みのKC-130R(空中給油・輸送機)を取得し、日本仕様への再整備と近代化改修を施して導入する再生機取得プログラムが決定された。これにより、導入コストを大幅に抑えつつ即応性の高い輸送能力の獲得が実現した。
構造と技術的特徴
構造上の最大の特徴は、未舗装滑走路での離着陸を可能にする頑丈な高翼配置構造と、機尾に設けられた大型油圧式リアカーゴランプによる優れた荷役効率にある。前級であるYS-11M(低翼構造・側面貨物ドア)と比較して床面地上高が低く設計されており、自走可能な車両やパレット化した貨物をフォークリフト等で直接キャビン内へ搬入できる卓越したアクセス性を備える。推進機関にはAllison Engine Company(現 Rolls-Royce plc)製「T56-A-16」ターボプロップエンジン4基を搭載し、Hamilton Standard製4枚羽定速プロペラを駆動させる。導入に際しては、アメリカ空軍のOgden Air Logistics Complexにて徹底したオーバーホールと構造補強が実施された。さらに、コックピットには最新のデジタル航法アビオニクス(グラスコックピット化)が導入され、空中給油用の受給油ポッドを撤去・改修することで、純粋な貨物・人員輸送機として最適な機体構造と高い運用信頼性が付与されている。
運用実績と評価
2014年11月に初号機(機体番号: 9051)が納入されて以降、2016年までに全6機の導入が完了し、神奈川県厚木航空基地に所在する海上自衛隊第61航空隊へ集中配備された。実際の部隊運用においては、YS-11Mと比較して最大ペイロード(輸送重量)が約3トンから約19トンへと大幅に拡大し、車両や大型資材を分解することなく直接空輸できる機動的実効性が具体的に高く評価された。南鳥島や硫黄島をはじめとする遠隔離島基地への定期補給任務や、自衛隊の統合演習における機動展開、さらには大規模自然災害発生時における国際緊急援助活動や国内の緊急災害輸送において極めて高い信頼性を実証した。元は退役保管機(モスボール機)を活用した再生改修機でありながら、徹底したオーバーホールとデジタル化により極めて高い稼働率を維持しており、現代の海上自衛隊における基地間兵站線および広域輸送ネットワークを水面下で支える主軸アセットとして確固たる地位を維持している。
| Official Name (正式名称) | C-130R |
| Country of Origin (開発国) | アメリカ合衆国(日本仕様への再生・改修は日本国内で実施) |
| Manufacturer (製造メーカー) | Lockheed Martin |
| Designed (設計年) | 1950年代初頭にアメリカで設計が開始された名機「C-130 ハーキュリーズ」系列をベースに、米海軍・海兵隊向けの空中給油・輸送機(KC-130R)として1970年代に製造された機体 海上自衛隊では、退役するYS-11Mの後継として米軍のモスボールされていた余剰機(中古機)を有償海外軍事援助(FMS)により購入・再生整備し、2014年に運用が開始された大型戦術輸送機 |
| Primary Operators (主な運用組織) | 日本:海上自衛隊(航空集団直轄の「第61航空隊(厚木航空基地)」にて、日本全国の航空基地や南鳥島・硫黄島などの遠隔離島への大容量の人員・物資輸送、および災害派遣任務を担う唯一の大型戦術輸送機としてC-130Rを集中運用中) |
| Crew (乗員) | 4名〜5名(操縦士2名、機上整備員、航空士など)※後部キャビンに人員最大92名、または貨物パレット最大6枚を収容可能 |
| Dimensions (寸法):全長、全幅(翼幅)、全高 | W: 40.4 m × D: 29.8 m × H: 11.6 m |
| Empty / Max Takeoff Weight (自重 / 最大離陸重量) | 自重(空虚重量):約 34.4 t / 最大離陸重量:約 70.3 t |
| Powerplant (エンジン):型式、推力 | 4x Allison T56-A-15(ターボプロップ)、出力:各基 約 4,910 shp(離陸最大出力) |
| Max Speed (最大速度):マッハ表記、高度別の速度 | マッハ表記:約 Mach 0.51(中高度)、高度別の速度:約 335 kt(約 620 km/h)(高度約6,000mにおける最大速度。巡航速度は約300kt / 約556km/h) |
| Combat Range (戦闘行動半径) / Ferry Range (航続距離) | 戦闘行動半径:非公開(本土から南鳥島や硫黄島への往復輸送が可能な性能を保持) / 航続距離:約 4,000 km(貨物満載時)/ フェリー航続距離:約 7,000 km以上 |
| Service Ceiling (実用上昇限度) | 約 10,000 m(33,000 ft) |
| Hardpoints (ハードポイント):ミサイルや爆弾の搭載能力 | なし(: なし(元は米軍の空中給油・輸送機であり、海上自衛隊では純粋な輸送機として運用しているため、ミサイルや爆弾等の攻撃兵装を搭載するハードポイントはなし) |
| Fixed Armament (固定武装):機関砲の口径、弾数 | なし |
OPERATING FORCES / 運用国・軍種
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画像の引用元
- By Hunini – Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=48706183












