
概要と開発の背景
ロッキード・マーティン HC-130J コンバット・キング II(Lockheed Martin HC-130J Combat King II)は、2000年代後半にアメリカの Lockheed Martin Corporation が開発し、2010年に初飛行、2013年に初期作戦能力(IOC)を獲得したアメリカ空軍専用の長距離戦闘捜索救難(CSAR)・人員救出機である。開発の背景には、ベトナム戦争期より長期にわたり前線での救難任務や捜索支援を担ってきた旧世代機 HC-130N/P の機体老朽化と運用維持コストの増大が存在した。過酷な対空脅威や不整地での即応性が求められる現代の戦闘領域において、救難ヘリコプターへの空中給油支援、パラレスキューマン(PJ)や地上チームの空中投下、および部隊の指揮統制を高高度・長距離・高速度で完遂可能な次世代型救難専用プラットフォームの確保を目指し、アメリカ海兵隊の空中給油型 KC-130J をベースとした開発がスタートした。
構造と技術的特徴
構造上の最大の特徴は、新世代輸送機 C-130J Super Hercules の高効率な機体フレームを継承し、翼下にホース・アンド・ドローグ方式の空中給油ポッドを備えることで、低空低速飛行を行う救難ヘリコプターや傾斜ローター機に対する安定した空中給油能力を統合している点にある。推進システムには Rolls-Royce plc 製 AE2100D3 ターボプロップエンジン4基と Dowty Propellers 製6翔コンポジットプロペラを採用し、従来機と比較して推力、最高速度(時速約610km)、巡航高度、および燃費効率が格段に向上した。機首および胴体には高解像度光学・赤外線(EO/IR)センサーターレットや合成開口レーダー、ミサイル接近警戒装置、チャフ/フレアディスペンサーなどの自衛・警戒アビオニクスが組み込まれている。機内にはデジタル・グラスコクピットと戦闘システム士官(CSO)用ワークステーションが備えられ、高度な夜間低空侵入や前線指揮統制を可能にする設計が貫かれている。
運用実績と評価
2013年の初期作戦能力獲得以降、HC-130J はアメリカ空軍(空戦コマンド[ACC]、欧州空軍[USAFE]、太平洋空軍[PACAF]、空軍州兵[ANG]、空軍予備役コマンド[AFRC])において唯一の固定翼戦闘捜索救難機として独占的に制式採用・運用されている。実戦・運用においては、中東での対ISIS作戦やアフガニスタンでの過酷な環境下の救難任務、ならびに太平洋地域や北極圏における広大な海洋・孤立地帯での救難・支援ミッションに投入された。救難ヘリコプターへの確実な空中給油供給や、パラレスキュー部隊の迅速な空中投下による人員回収を影で支え、その安定した高稼働率と長距離進出能力が高く評価されている。旧型の HC-130N/P からの完全更新が完了しており、全39機体制での運用が進められている。現代の統合全ドメイン指揮統制および過酷な交戦域における生命救出の要として第一線で現役運用が続けられている。
| Official Name (正式名称) | HC-130J Combat King II |
| Country of Origin (開発国) | アメリカ合衆国 |
| Manufacturer (製造メーカー) | Lockheed Martin Corporation |
| Designed (設計年) | 老朽化した旧型機を更新するため2008年6月にアメリカ空軍がロッキード・マーティン社へ既存のC-130Jをベースとした特殊作戦・救難仕様の改修契約を発注したことで設計・開発が始動し、2010年7月29日に初飛行を行った後、最初の機体の部隊引き渡しを経て2012年4月25日に初期運用能力(IOC)を公式に獲得して運用が開始された。 |
| Primary Operators (主な運用組織) | アメリカ合衆国:アメリカ空軍(空戦軍団(ACC)傘下の第71救難飛行隊(71st RQS)および第79救難飛行隊(79th RQS)、航空教育訓練軍団(AETC)傘下の第550特殊作戦飛行隊(550th SOS)、空軍予備役コマンド(AFRC)傘下の第920救難航空団(39th RQS)、ならびに空軍州兵(ANG)に所属する第106救難航空団(102nd RQS)、第129救難航空団(130th RQS)、第176航空団(211th RQS)において、唯一の固定翼専用人員回収・戦闘捜索救難(CSAR)プラットフォームとして現役運用されている) |
| Crew (乗員) | 3名 (操縦士2名、戦闘システム士官(Combat Systems Officer)1名。任務の構成に応じて2名のアシスタント(Loadmaster)を追加配置した5名構成で運用されるのが一般的である。なお、純粋な人员・兵員輸送任務時のキャパシティとしては最大92名、空挺隊員運用時は最大64名、航空医療後送(AE)任務時には担架(リター)74床および医療スタッフ・付添人21名の計95名までを作戦室・キャビンに収容することが可能である) |
| Dimensions (寸法):全長、全幅(翼幅)、全高 | L (全長): 29.57 m (97 ft 9 in) W (全幅): 40.4 m (132 ft 7 in) H (全高): 11.58 m (38 ft 9 in) |
| Empty / Max Takeoff Weight (自重 / 最大離陸重量) | Empty (自重): 39,898 kg (87,961 lb) (※公式の運用空虚重量(Operating Weight Empty)データに基づく。資料により約40,369 kg(89,000 lb)とするデータも存在する) Max Takeoff Weight (最大離陸重量): 74,389 kg (164,000 lb) (この最大離陸重量の制限内において、ミッション用レスキュー機材や物資・463Lマスターパレット最大5枚などを積載するための最大ペイロード(純貨物搭載量)として 15,875 kg(35,000 lb)までの可搬能力を備える) |
| Powerplant (エンジン):型式、推力 | 型式: 4x Rolls-Royce AE 2100D3 (ターボプロップエンジン) 推力: 1基あたり 4,591 shp (プロップ軸馬力) |
| Max Speed (最大速度):マッハ表記、高度別の速度 | マッハ表記: 不明 (ターボプロップ機のためマッハ数での公式な最高速度規定値は非公開) 高度別の速度: 海面高度(Sea Level)において 316 knots (約 585 km/h) (米空軍およびメーカー公式仕様に基づく指示対気速度。なお、別の性能上限データとして 363.4 mph(約585 km/h)または最高速度 380 mph(約610 km/h)と記載する軍事資料もある) |
| Combat Range (戦闘行動半径) / Ferry Range (航続距離) | Combat Range (戦闘行動半径): 不明 (公式な戦闘行動半径は非公開) Ferry Range (航続距離): 4,000 miles (約 6,437 km) (※給油を行わない最大航続データとして「4,000 miles以上(Beyond 4,000 miles / 3,478 nautical miles)」と規定される。なお、機体自体が空中給油の受油能力を備えるため、受油により実質無限に延長可能) |
| Service Ceiling (実用上昇限度) | 33,000 ft (10,000 m) |
| Hardpoints (ハードポイント):ミサイルや爆弾の搭載能力 | None (主翼下のパイロンに救難ヘリコプターやチルトローター機へ空中給油を行うための給油ポッドを懸架するシステムが標準装備されている) |
| Fixed Armament (固定武装):機関砲の口径、弾数 | None |
OPERATING FORCES / 運用国・軍種
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画像の引用元
- By Tech. Sgt. Dhruv Gopinath – https://www.dvidshub.net/image/7894210/kings-air-and-ground-81st-erqs-conducts-dirt-takeoffs-and-landings, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=134587212












