FGM-148 Javelin

FGM-148 Javelin

FGM-148 ジャベリンは、アメリカが開発した歩兵携行式の単発使い捨て型対戦車誘導弾システムである。従来の有線誘導兵器とは異なり、発射前に標記をロックオンした後はミサイルが自律して自動追尾する「撃ち放し(ファイア・アンド・フォーゲット)」能力を備えており、射手は発射直後に素早く遮蔽物へ退避できるのが最大の利点である。飛行モードには、装甲の薄い戦車上面を急降下で狙う「トップアタック」と、建物やヘリコプター、近距離の目標に直線的に向かう「ダイレクトアタック」の2種類を選択できる。弾頭にはタンデム成形炸薬(HEAT)が採用されており、敵の爆発反応装甲(ERA)を無力化して主装甲を貫通する高い殺傷力を持つ。また、発射薬によって低速で筒外に撃ち出された後に主ロケットモーターが点火する「ソフトlaunch(軟発射)」構造であるため、後方爆風の危険を抑え、バンカーや建物内などの密閉空間・閉所からの安全な発射が可能である。

Official Name (正式名称):FGM-148 Javelin
Country of Origin (開発国):アメリカ合衆国
Manufacturer (製造メーカー):Javelin Joint Venture (レイセオン/RTX および Lockheed Martin による共同事業体、初期の基本設計は Texas Instruments と Martin Marietta)
Designed (設計年):アメリカ陸軍の「AAWS-M(先進対戦車兵器システム―ミディアム)」計画に基づき、テキサス・インストルメンツ社(現レイセオン/RTX)とマーティン・マリエッタ社(現ロッキード・マーティン)による共同事業体(Javelin Joint Venture)によって1989年6月にフルスケール開発・設計が開始され、1990年代前半の各種試験と1994年の低率初期生産(LRIP)承認を経て、1996年6月にアメリカ陸軍(ジョージア州フォートベニングの第75レンジャー連隊第3大隊など)に公式に配備されたことで運用が開始
Primary Operators (主な運用組織):アメリカ合衆国アメリカ陸軍(歩兵旅団戦闘チーム(IBCT)、装甲旅団戦闘チーム(ABCT)、ストライカー旅団戦闘チーム(SBCT)、第75レンジャー連隊などの精鋭部隊)、アメリカ海兵隊(各歩兵大隊・戦闘工兵ユニット等)、アメリカ空軍(基地防空警備部隊等)、各特殊作戦軍(SOF、Delta Force、グリーンベレー等の地上GMV車両等への車載運用)
ウクライナ:ウクライナ陸軍、ウクライナ空中襲撃軍、ウクライナ特殊作戦軍(2022年のロシアによる全面侵攻の前哨期より、アメリカおよび欧米同盟国から大規模な軍事支援パッケージとして数千発規模を受領し、前線での主力歩兵携帯対戦車火器として大規模に実戦運用中)
ブラジル:ブラジル陸軍(南米大陸初のJavelin運用国として、近年のFMS契約に基づき歩兵部隊・特殊部隊へ順次公式配備・現役運用を開始)
チュニジア:チュニジア陸軍(北アフリカ地域初のJavelin運用国として公式に調達。2024年末以降のDSCA承認に則り、最新の「FGM-148F」ミサイルおよび「軽量型発射機(LwCLU)」を歩兵部隊等に向けて現役配備運用中)
ブルガリア:ブルガリア陸軍(NATOの相互運用性強化プログラムに則り、近年公式に有償軍事援助(FMS)経由で200発以上の「FGM-148F」および多数の発射機を正式調達。前線の歩兵・防衛部隊において主力対装甲アセットとして運用中)
ジョージア:ジョージア陸軍(国防能力向上および周辺脅威に対する抑止アセットとして、米国政府のFMS承認に基づき公式に大量調達。一般歩兵部隊において主力対戦車兵器として配備運用中)
イギリス:イギリス陸軍(主要歩兵連隊や王立海兵隊等において、旧M47ドラゴンのリプレイスや長距離歩兵直接火力支援アセットとして長年配備運用中)
オーストラリア:オーストラリア陸軍(歩兵部隊のセクション・小隊レベルにおいて、長距離直接対装甲アセットとして通常型・近代化型を現役運用中)
フランス:フランス陸軍(ミラノ対戦車ミサイルの暫定リプレイスやアフガニスタン派遣部隊(ISAF)等の緊急作戦要求に伴い公式に調達し、現役歩兵部隊において運用中)
イスラエル:イスラエル国防軍(IDF:陸軍歩兵部隊およびエリート特殊部隊等において、戦術的な対軽装甲・対建造物破壊用の歩兵アセットとして公式に保有運用中)
ポーランド:ポーランド陸軍、ポーランド領土防衛軍(WOT:一般歩兵部隊および領土防衛部隊の標準対装甲兵器として配備されており、最新の「FGM-148F」バリアントを含めて大規模に調達・実戦訓練運用中)
台湾(中華民国):中華民国陸軍、中華民国海軍陸戦隊(陸軍の機械化歩兵旅団や海兵隊において、対上陸作戦・反撃戦の主力となる核心的な対装甲・対バンカー用撃ち放しミサイルとして公式調達・大量配備運用中)
カナダ:カナダ陸軍(歩兵・特殊部隊において、各種装甲脅威への対抗および海外派遣時の戦術対装甲アセットとして公式保有・運用中)
ノルウェー:ノルウェー陸軍(一般歩兵部隊・特殊部隊等において、中距離対戦車兵器の更新用として公式に調達・配備運用中)
フィンランド:フィンランド陸軍、フィンランド海軍(沿岸防衛部隊および一般歩兵連隊等において、戦術的対装甲防衛網の補助アセットとして公式保有運用中)
エストニア:エストニア陸軍、エストニア防衛連盟(カイツェリト:2010年代半ばから近代化対戦車ファミリーとして順次調達し、ロシア国境付近の防衛・一般歩兵部隊および民兵組織の主力兵器として「FGM-148F」等の最新世代を含め現役運用中)
リトアニア:リトアニア陸軍(「アイアン・ウルフ」機械化歩兵旅団などの前線歩兵・対戦車ユニットにおいて、主力の歩兵携行撃ち放し式ミサイルとして公式に配備運用中)
チェコ:チェコ共和国軍(陸軍の第4急速展開旅団や第601特殊作戦大隊等の精鋭・海外派遣対応部隊において、偵察・対装甲アセットとして小規模ながら公式配備・現役運用中)
アイルランド:アイルランド国防軍(陸軍の歩兵部隊において、国連平和維持活動(PKO)派遣部隊の自衛火力強化、および主権防衛用の標準対戦車誘導ミサイルとして公式調達・現役運用中。近年最新の「Lightweight CLU(軽量型発射機)」を伴う追加調達を進行中)
サウジアラビア:サウジアラビア陸軍、サウジアラビア国家警備隊(SANG:各機械化歩兵・歩兵部隊において、対装甲アセットの主要コンポーネントとして大規模に調達・運用中)
アラブ首長国連邦:アラブ首長国連邦軍(陸軍歩兵部隊および特殊作戦部隊において、中距離対装甲アセットとして通常型・各種バリアントを公式に調達・配備運用中)
オマーン:オマーン王立陸軍(陸軍歩兵旅団および王立ガード部隊等において、個人の携行用または車両積載用の近代的な対装甲・対構造物兵器として公式配備運用中)
カタール:カタール首長国陸軍(機械化歩兵部隊等において、高機能な撃ち放し式防衛火器として通常型および光学・熱映像装置を伴うシステムを調達・配備運用中)
バーレーン:バーレーン王立陸軍(一般歩兵・防衛部隊において、歩兵分隊・小隊レベルの高性能な対戦車アセットとして公式調達・保有運用中)
ヨルダン:ヨルダン王立陸軍(特殊作戦旅団や主要な機械化歩兵部隊において、各種戦術車両(ハマー等)への積載および歩兵携行用として広く公式配備・現役運用中)
インド:インド陸軍(近年米国防安全保障協力局(DSCA)より、最新の「Javelin LwCLU(軽量型発射機)」およびミサイルを公式に調達するFMS承認が下り、国境紛争多発地帯の歩兵精鋭部隊や特殊部隊等に向けて配備運用を開始)
インドネシア:インドネシア陸軍(陸軍戦略予備軍(Kostrad)の第1歩兵師団や、特殊部隊(Kopassus)などの精鋭ユニットにおいて、東南アジア地域における最高峰の携行型対戦車兵器として公式に調達・配備運用中)
ニュージーランド:ニュージーランド陸軍(陸軍歩兵部隊において、中距離対戦車能力を担う唯一の主力歩兵携行式誘導弾アセットとして公式配備・現役運用中)
モロッコ:モロッコ王立陸軍(北アフリカ地域の防衛力近代化パッケージの一環として、米政府より数百発規模の最新「FGM-148F」および発射機の公式調達承認を獲得し、主要な機械化歩兵旅団等への配備を進行中)
コソボ:コソボ治安軍(KSF:正規軍への改組・近代化プロセスに伴い、米政府による公式な有償軍事援助(FMS)の承認を経て数百発規模のミサイルと発射機を正式調達。歩兵・防衛部隊において主力対装甲アセットとして配備訓練運用中)
アルバニア:アルバニア陸軍(NATO加盟国としての標準化および対装甲戦闘能力向上を目的として、近年の公式合意に則り調達。精鋭歩兵部隊等において現役配備・実戦演習運用中)
北マケドニア:北マケドニア共和国軍(陸軍の軽歩兵旅団戦闘チーム等において、NATO相互運用性を担保するための主力撃ち放し式対戦車ミサイルとして公式調達・現役配備運用中)
ルーマニア:ルーマニア陸軍(東欧防衛の最前線として、歩兵部隊および特殊部隊の近代化を目的に公式調達契約を締結・現役配備中)
Type (種類):Man-portable fire-and-forget anti-tank guided missile (ATGM) system (歩兵携行式・撃ち放し式対戦車誘導弾)
Caliber / Diameter (口径/ミサイル直径):ミサイル弾体(直径): 127 mm
発射筒(ランチャー外径): 142 mm
Guidance System (誘導方式):Soft launch / Solid-fuel rocket propulsion (軟発射/固体燃料ロケット推進方式)
※引き金を引くと、まず前方に低圧で押し出すための「射出用モーター」により発射筒から安全に撃ち出され、射手から数メートル離れた空中で主ロケットモーター(固体燃料推進)が点火・飛行するシステム(これによりバックブラストが劇的に抑えられ、建物などの閉所から安全に発射可能)
Overall Length (全長/キャニスターサイズ):ミサイル単体の全長: 1,082 mm (1.08 m)
ランチャー(保管・発射筒)の全長: 1,198 mm (1.20 m)
Wingspan (翼幅):0.91 m (約911 mm / 35.9 インチ)
※発射筒から撃ち出された直後に、スプリングの力で自動展開される主翼(メインウイング)の幅。折り畳み時は弾体直径(127mm)に密着して収納
Weight (重量/総システム重量):サイル単体重量: 11.8 kg 発射筒収納状態のロケット(All-Up Round): 15.5 kgコマンド発射ユニット(CLU)重量: 7.0 kg(※旧型CLU。近年導入が進む最新の軽量型「LWCLU」は5.11 kgまで軽量化されている)
運用時の総システム重量(即応状態): 22.3 kg 〜 22.5 kg
Flight Speed (飛翔速度):High subsonic (高亜音速) / 約 秒速 140 m (140 m/s)
Effective Range (有効射程):最小射程: 65 m (ダイレクトアタックモード時) / 150 m (トップアタックモード時)
最大有効射程: 2,500 m(初期型CLU使用時)/ 4,000 m(最新のLWCLU発射ユニット使用時)/ 車載・固定プラットフォームからは最大 4,750 m
Warhead & Propulsion (弾頭/推進方式):弾頭: Tandem-shaped charge high-explosive anti-tank (HEAT) warhead (タンデム成形炸薬弾:先端の先駆弾頭が爆発反応装甲「ERA」を無力化し、主弾頭が本装甲を貫通する構造)
装甲貫通力: RHA(均質圧延装甲)換算で 762 mm (30インチ) を大きく超える装甲を破砕
推進方式: Two-stage solid-fuel rocket motor (2段階式固体燃料ロケットプロペラントシステム)
※後方爆風を抑えて室内等の閉所から安全に発射できるよう、低圧の射出用モーター(低G)で筒外へ撃ち出した後、射手から数メートル離れた空中で主ロケットモーターが点火する「ソフトlaunch(軟発射)」構造
  1. By Photo by Sgt. 1st Class Ben Houtkooper34th Red Bull Infantry Division – https://www.dvidshub.net/image/2673475/practice-makes-perfect-saber-strike, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=49778464

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