
概要と開発の背景
USH-60Kは、2000年代初頭に日本の防衛庁技術研究本部(現・防衛装備庁)とMitsubishi Heavy Industries, Ltd.(三菱重工業株式会社)によって開発された哨戒ヘリコプター「SH-60K」の試作1号機(旧機体番号: 8401)を改修転用し、2004年(平成16年)度に海上自衛隊へ導入された回転翼の多用途評価機(試験評価機)である。海上自衛隊では従来、前世代にあたる「SH-60J」ベースの試作・評価アセット等を用いて飛行試作やアビオニクス機器の各種計測を行っていた。しかし、新世代の哨戒ヘリコプターであるSH-60Kの本格導入に伴い、機首形状やキャビン構造が大幅に再設計された新プラットフォームに対応する試験評価環境の構築が急務となった。最新アビオニクス、各種新技術、将来センサーの各種飛行評価や試作機器の検証試験に柔軟に対応するため、技術試験を終えたSH-60K試作1号機を専用の飛行試験評価アセットへと転用・改修する形で開発がスタートした。
構造と技術的特徴
構造上の最大の特徴は、SH-60K試作機の優れた機体プラットフォームを踏襲しつつ、機内から戦術情報処理機器やソノブイ投射機等の量産型実戦哨戒装備を取り外し、各種試作・評価アビオニクスやデータ収集用計測ステーションを迅速に着脱・実証できる柔軟なテストベッド構造を備えている点にある。機体構造には、前級SH-60Jと比較してキャビン天井高さを約15cm拡張して容積を拡大した胴体設計や、先端部が下方に湾曲した複合材料製「アンソップ(AnStep)ブレード」がそのまま採用されている。これにより、試験用機材の積載スペースが大幅に確保されているだけでなく、重量増加時においても優れたホバリング効率と高い操縦安定性を保持する。推進機関にはIHI(株式会社IHI)がライセンス生産する「T700-IHI-401C」ターボシャフトエンジン2基を搭載し、高荷重飛行下でも安定した動力を供給するメカニズムを実現している。
運用実績と評価
2004年度にSH-60K試作1号機としての開発技術試験を終了したのち、機体番号を「8901」へ改め、海上自衛隊厚木航空基地に所在する第51航空隊(VX-51)へ制式導入・配備された。世界でわずか1機のみ存在する極めて希少な試作・評価アセットとして、自衛隊における回転翼航空装備品やセンサー技術の技術実証・飛行試験に従事している。実際の試験運用においては、SH-60K量産機の能力向上プログラムや各種新機能の先行試作、さらには後継型である「SH-60L」の開発過程における要素技術の検証飛行において、実機に即した過酷な洋上・飛行環境下で高精度なデータ計測を実現した実効性が具体的に評価された。試作機由来の優れた基本性能とテストプラットフォームとしての柔軟性を存分に生かし、現代の海上自衛隊における回転翼航空技術の進化と次世代アセットの開発研究を陰で支える唯一無二の存在として確固たる地位を確立している。
| Official Name (正式名称) | USH-60K / Mitsubishi USH-60K |
| Country of Origin (開発国) | 日本 |
| Manufacturer (製造メーカー) | 三菱重工業(機体製造・システム統合) / IHI(エンジンライセンス生産) |
| Designed (設計年) | 1990年代後半にMitsubishi SH-60K開発用飛行試験機として改修・開発が進められ、2001年前後から各種飛行試験や装備評価に使用された技術実証機 |
| Primary Operators (主な運用組織) | 日本:海上自衛隊(航空集団直轄の「第51航空隊(厚木航空基地)」にて、新型の航空装備品、ミサイル・魚雷などの各種兵装、または次世代機(SH-60L等)のシステムに関わる飛行試験・実用評価を行うためのテストベッド機として、すべての機体を集中運用中) |
| Crew (乗員) | 3 – 4名(操縦士、副操縦士、機上整備員、航空士など。試験内容により変動) |
| Dimensions (寸法):全長、全幅(翼幅)、全高 | 運用時(ローター回転時):W: 16.4 m × D: 19.8 m × H: 5.4 m / 格納時:W: 4.4 m × D: 12.5 m × H: 4.1 m |
| Empty / Max Takeoff Weight (自重 / 最大離陸重量) | 自重(空虚重量):約 7.0 t / 最大離陸重量:約 10.9 t |
| Powerplant (エンジン):型式、推力 | 2x IHI T700-IHI-401C2 (ターボシャフト)、出力:各基 約 2,145 shp |
| Max Speed (最大速度):マッハ表記、高度別の速度 | マッハ表記:約 Mach 0.13(低高度)、高度別の速度:139 kt(約 257 km/h)(海面高度における最大速度。巡航速度は約115kt / 約213km/h) |
| Combat Range (戦闘行動半径) / Ferry Range (航続距離) | 戦闘行動半径:非公開(各種航空試験の実施に対応する飛行性能を保持) / 航続距離:約 800 km |
| Service Ceiling (実用上昇限度) | 約 4,000 m(13,120 ft) |
| Hardpoints (ハードポイント):ミサイルや爆弾の搭載能力 | なし(試作機として機体に計測機器等を搭載しており、実戦用のミサイル、魚雷、対潜爆弾などの攻撃兵装を搭載する運用能力はなし) |
| Fixed Armament (固定武装):機関砲の口径、弾数 | なし |
OPERATING FORCES / 運用国・軍種
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画像の引用元
- By Hunini – Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=128714612












