
概要と開発の背景
Terrier Armoured Engineer Vehicle(テリア装甲施設作業車)は、イギリス陸軍の王立工兵隊(Royal Engineers)向けに開発された中量級の履帯式戦闘工兵車両である。本車は、1970年代から運用されていた旧式のFV180 Combat Engineer Tractor(CET)の老朽化に伴い、その後継機として2002年7月にイギリス国防省からBAE Systems Land & Armaments(現 Rheinmetall BAE Systems Land)が設計・製造契約を受注して開発が開始された。旧型のCETは水陸両用性能を備えていたものの、過酷な作戦環境における防護性能の不足やメンテナンスの複雑さ、機動性の限界が課題とされていた。これに対しTerrierは、現代の野戦環境において主力戦車や装甲戦闘車両と同等の即応機動力を維持しつつ、高い生存性と多様な施設作業能力を兼ね備えた多機能プラットフォームを目指して設計された。2005年に試作車が公開された後、試験を経て2010年より量産車の製造が始まり、2013年からイギリス陸軍へ正式に導入された。
構造と技術的特徴
本車の全備重量は約30トンから31.5トンであり、輸送機Airbus A400Mによる空輸が可能な設計となっている。パワーユニットにはCaterpillar Inc.製のC18ターボチャージャー付きディーゼルエンジン(最高出力700馬力)を搭載し、整地速度で最高70 km/h、不整地で約40 km/hの走行性能を発揮する。従来機のCETと比較して走行速度と防護性能が大幅に格上げされており、Challenger 2主力戦車やWarrior歩兵戦闘車で構成される機甲部隊に遅れることなく追従できる。車体構造にはCorus社製の溶接鋼板装甲が用いられ、地雷の爆風や各種小火器、砲弾の破片に対する耐性を備えるほか、モジュール式の増加装甲やCBRN防護装置を装着可能である。最大の特徴は先進的なデジタル電子制御と遠隔操作システムにあり、乗員は車内のジョイスティックと多機能ディスプレイを用いて直感的に操作できる。さらに、最大1 km離れた安全な位置から無線制御によって遠隔操縦や施設作業を実施できる機能を備えており、危険地域での作業において乗員の安全確保に寄与している。車体前部にはモジュール式アタッチメント機構を備え、掘削バケット、ドザーブレード、フォークリフト、ロックハンマー、地雷処理ローラーなどを迅速に換装して運用可能である。
運用実績と評価
Terrierは、イギリス陸軍王立工兵隊において計60両が制式採用され、主要な施設作業アセットとして配備されている。野戦においては、陣地構築、障害物の設置および撤去、ルート開削、地雷原の突破支援、追従用ファシン(側溝埋め用粗朶)の敷設など、多岐にわたる戦闘施設支援を担う。遠隔操作機能を活用した危険地域での障害排除作業は、危険性の高い作戦下における人身リスクの低減に大きく寄与していると評価されている。また、優れた不整地踏破能力と輸送力(最大5,000 kgの資材運搬能力)を生かし、軍事作戦のみならず、土砂崩れや洪水等の自然災害における大規模な瓦礫撤去、仮設インフラ構築支援といった人道支援・災害救助活動においても導入実績を有する。前級のCETで課題とされていた信頼性と路上機動性が大幅に改善されたことで、現代の多領域作戦における即応型戦闘工兵車両の標準的モデルとして位置付けられており、イギリス陸軍の機甲・機動工兵部隊の中核として運用が継続されている。
| Official Name (正式名称) | Terrier Armoured Engineer Vehicle / Terrier Armoured Digger |
| Country of Origin (開発国) | イギリス |
| Manufacturer (製造メーカー) | BAE Systems Land & Armaments (現 BAE Systems) |
| Designed (設計年) | 2002年(開発契約締結:2002年7月、設計・開発期間:2002年–2005年、試作機公開:2005年5月)に設計・開発され、2013年(2013年6月5日)にイギリス陸軍での運用が開始された |
| Primary Operators (主な運用組織) | イギリス:イギリス陸軍(ロイヤル・エンジニアズ(王立工兵連隊/Royal Engineers)において戦闘工兵車(AEV)として配備・現役運用) |
| Crew / Capacity (乗員および兵員輸送数) | 乗員 2名 (Driver, Commander) [※最大 1,000 m 離れた場所からのリモートコントロール無人運用が可能] |
| Combat Weight (戦闘重量) | 戦闘重量 (Combat Weight / Fully Equipped Weight): 約 31,500 kg – 32,000 kg (31.5 – 32.0 tonnes / 34.7 – 35.3 short tons / 69,445 – 70,547 lbs) [※アタッチメント装着時] 輸送時空輸重量 (Air Transportable Weight): 約 24,000 kg (24.0 tonnes / 26.5 short tons / 52,910 lbs) |
| Dimensions (寸法: 全長/全幅/全高) | L (全長): 6.81 m – 7.10 m (6,810 mm – 7,100 mm / 268 in – 279.5 in / 22.3 ft – 23.3 ft) [※各種ツールアタッチメント未装着・収納時] W (全幅): 2.95 m – 3.20 m (2,950 mm – 3,200 mm / 116.1 in – 126 in / 9.7 ft – 10.5 ft) D (全高): 2.50 m – 3.00 m (2,500 mm – 3,000 mm / 98.4 in – 118.1 in / 8.2 ft – 9.8 ft) |
| Armor (装甲の詳細: 複合装甲、ERA、APSの有無) | アルミニウム・スチール接合構造装甲 (STANAG 4569 レベル3 相当対弾・地爆防護) 追加装甲パッケージ (Applique Armor) および対RPGスラットアーマー (Bar Armor) 装着可能 |
| Main Armament (主武装) | None |
| Secondary Armament (副武装) | 1x 7.62mm GPMG (General Purpose Machine Gun) [自衛用機関銃] 76mm Smoke Grenade Launchers (スモークグレネード発射機) ※Remote Weapon Station (RWS) への 7.62mm 機関銃装着に対応 |
| Engine (エンジン出力 hp/kW) | Caterpillar C18 18.1-litre 6-cylinder Inline Turbocharged Diesel Engine 出力: 522 kW (700 hp / 700 bhp) [※トランスミッションは Allison X300-5D 自動変速機] |
| Max Speed (最高速度: 整地/不整地) | Paved (整地): 約 70 km/h – 72 km/h (43.5 mph – 44.7 mph) |
| Operational Range (航続距離) | Paved (整地): 約 600 km (373 miles) |
OPERATING FORCES / 運用国・軍種
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画像の引用元
- By Airwolfhound from Hertfordshire, UK – Terrier, CC BY-SA 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=154349963












