
概要と開発の背景
M104 Wolverine HAB(Heavy Assault Bridge)は、1990年代から2000年代初頭にかけてアメリカ合衆国のGeneral Dynamics Land SystemsとドイツのMAN Mobile Bridges GmbHが共同開発し、アメリカ陸軍に採用された装軌式の重突撃架橋車である。アメリカ陸軍では1960年代よりM48およびM60パットン戦車の車体をベースとしたM60 AVLB(Armored Vehicle Launched Bridge)を長年運用してきた。しかし、主力戦車がM1エイブラムスに更新されたことで、最高時速約70kmに達するM1戦車の進撃速度にM60 AVLBが追従できない問題が生じた。さらに、重装甲化により60トンから70トン級へ増大したM1戦車がM60 AVLBの橋を渡る際は、極度の減速を強いられ渡河能力および安全上の限界が露呈した。機甲部隊の機動力を損なわずに溝や河川などの障害物を迅速に克服するため、M1A2 SEP戦車のシャーシと同一の走破性と防護力を備えた次世代架橋車として1983年より開発計画がスタートした。
構造と技術的特徴
構造上の最大の特徴は、M1A2 SEP戦車の砲塔を取り外した車体をベースとし、ドイツのMAN社が開発した「Leguan(レグアン)」水平スライド式架橋システムを結合・搭載している点にある。従来の折りたたみ(シザーズ)式架橋車と異なり、車上に取り付けられた2分割の橋体を水平に繰り出して接合・架設するメカニズムを採用したことで、展開時のシルエットを低く抑え、敵からの視認や被弾リスクを最小限に抑えている。パワートレインには1,500馬力を発揮するHoneywell製AGT1500ガスタービンエンジンとAllison製X1100-3B自動変速機を搭載し、M1A2戦車と完全に同等の不整地走破性と時速約67〜72kmの移動性能を発揮する。架設されるアルミ合金製Leguan橋体は全長26メートル(有効間口24メートル)で、MLC 70(約70トン)の重量車輌が時速約16kmで安全に通過可能である。乗員2名は完全な装甲防護下にとどまったまま、車内操作のみでわずか5分以内に橋の架設を、10分以内に回収を完了できる高い自動化機構を備えている。
運用実績と評価
2003年よりアメリカ陸軍の特定工兵部隊へ納入が開始され、M1A2戦車やM2ブラッドレー歩兵戦闘車と同一の機動力で最前線に追従し、短時間で大型車輌用ルートを開拓する卓越した戦術機動力を実証した。しかし、当初計画されていた465両の大規模調達に対して、実際の納入数はわずか44両にとどまった。この大幅な縮小には、冷戦終結に伴う軍事予算削減に加え、精密な水平スライド機構や油圧システムの油圧制御が複雑であり、非常に高額な製造コストと複雑な整備・維持負担が前線部隊にかかったことが具体的に影響した。高度なシステム性能を示したものの費用対効果の悪さが課題となり、アメリカ陸軍は後継として、よりシンプルで調達・維持コストを抑えたM1074 JAB(Joint Assault Bridge)の採用を決定し、M104は限定的な配備にとどまる結果となった。
| Official Name (正式名称) | M104 Wolverine HAB (Heavy Assault Bridge) |
| Country of Origin (開発国) | アメリカ合衆国 |
| Manufacturer (製造メーカー) | General Dynamics |
| Designed (設計年) | 1992年ごろに設計・開発が開始、その後試験・改良を経て、1990年代後半にアメリカ陸軍で配備が開始 |
| Primary Operators (主な運用組織) | アメリカ合衆国:アメリカ陸軍 |
| Crew / Capacity (乗員および兵員輸送数) | 2名 |
| Combat Weight (戦闘重量) | 63.5 t |
| Dimensions (寸法: 全長/全幅/全高) | L: 12.1m (folded) / W: 3.7m |
| Armor (装甲の詳細: 複合装甲、ERA、APSの有無) | Abrams chassis level protection(エイブラムスクラス相当の防護) |
| Main Armament (主武装) | Leguan bridge system (26m span) |
| Secondary Armament (副武装) | なし |
| Engine (エンジン出力 hp/kW) | Honeywell AGT1500 (1,500 hp) |
| Max Speed (最高速度: 整地/不整地) | 67 km/h |
| Operational Range (航続距離) | 420 km |
OPERATING FORCES / 運用国・軍種
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画像の引用元
- By 20th Engineers Bn – http://www.20thengineers.com/present-59E.html, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=6494450












