
アメリカ軍が旧式化したM60 AVLBおよびM104ウルヴァリンの代替として開発した、最新鋭の無限軌道式重装甲架橋車である。最大の特徴は、信頼性の高いM1A1エイブラムス主力戦車の車体をシャシーベースに採用し、M1A2共通の重サスペンションやTIGERエンジン近代化プログラムを統合している点にある。これにより、主力機甲部隊と完全に同じ速度・地形走破性で戦場を随伴できる。架橋機構はレオナルドDRS社により設計され、車体上部にシザーズ式の重折り畳み橋(MLC95/MLC115規格)を搭載する。戦闘工兵部隊は、最前線の激しい砲火にさらされる状況下でも、車内からの完全遠隔操作によってわずか3分未満で頑強な突撃橋を展開でき、重量のあるM1A2 SEPv3戦車等の超大型主力戦車が河川や対戦車壕を迅速に安全渡河・突破することを可能にする。
| Official Name (正式名称) | M1074 JAB (Joint Assault Bridge System) (ポーランド・ルーマニア等への導入公式派生名は M1110 ) |
| Country of Origin (開発国) | アメリカ合衆国 |
| Manufacturer (製造メーカー) | Leonardo DRS(※ブリッジランチャーシステム(BLM)の設計・全体統合) / Anniston Army Depot (ANAD)(※M1A1余剰車体・シャシーの再アセンブリを担当) / Israel Military Industries (IMI)(※ Leonardo DRS社と共同での架橋機構のコア油圧設計開発を担当) |
| Designed (設計年) | アメリカ陸軍戦車車両研究開発技術センター(TARDEC)のもとで2012年に試作・基本設計が開始され、2014年の試作車完成および2016年からの初期低率生産(LRIP)承認を経て各種の過酷な実戦適合試験をクリアしたのち、2016年に公式に初期運用能力を実証して同年に運用を開始 |
| Primary Operators (主な運用組織) | アメリカ合衆国:アメリカ陸軍(各機甲旅団戦闘工兵大隊(BEB)および高機動増強工兵中隊(MAC))、およびアメリカ海兵隊にて、M60 AVLB等の旧式架橋車からの完全更新機材として、最新のTIGERエンジン換装およびTUSK(都市生存性キット)コンポーネントを統合した機体を主力突撃架橋アセットとして大量現役運用中 オーストラリア:オーストラリア陸軍(陸軍第1旅団等の重機甲・戦闘工兵ユニット)にて、自国保有のM1A1戦車フリートを「M1A2 SEPv3」へと近代化・更新する安全保障調達パッケージ(LAND 907 Phase 2)に完全紐づける形で公式に18両を調達し現役運用中 ポーランド:ポーランド陸軍(第18機械化師団、および第1機甲旅団等の東部防衛主力部隊)にて、自国の機甲戦力強化プログラムに伴い、M1A2 SEPv3主力戦車およびM1150突撃戦闘車(ABV)の導入と完全に並行する形で、同シャシーベースの公式派生品(JAB仕様)である「M1110 突撃橋(25両確定)」を戦闘工兵部隊の主力アセットとして公式導入し現役運用中 ルーマニア:ルーマニア陸軍(地上軍の重機甲戦闘工兵部隊)にて、米国政府より承認されたM1A2 SEPv3主力戦車調達パッケージ(FMS)に完全統合される形で、共通シャシー・ロジスティクスに基づく公式派生品「M1110 突撃橋(4両確定)」を、前線での対戦車壕・河川突破用の最新工兵アセットとして公式導入し現役運用中 |
| Crew / Capacity (乗員および兵員輸送数) | 2名(1名 車長 + 1名 操縦手) |
| Combat Weight (戦闘重量) | 車体単体重量(橋なし):約 48,300 kg / 架装折り畳み橋(HASB)単体重量:約 14,000 kg (15 short tons) / 最大戦闘時総重量(橋を完全に搭載した状態):約 62,300 kg (68.7 short tons) |
| Dimensions (寸法: 全長/全幅/全高) | W: 3,660 mm(12 ft) / L: 9,830 mm(32.25 ft ※折り畳み橋積載時の全長) / D: 3,080 mm(10.1 ft ※折り畳み橋積載時の全高 / 車体単体の全高は 1,710 mm) |
| Armor (装甲の詳細: 複合装甲、ERA、APSの有無) | Burlington Composite Armor(バーリントン複合装甲 / 別称:Chobham Armor / チョバム装甲)を基本構造に採用 / 複合装甲、爆発反応装甲(ERA)の有無:あり(※ソフトスキン車両や旧式車と異なり、主力戦車と同等の重複合装甲を標準保有する。さらに、市街戦環境などでの生存性を高めるため、Tank Urban Survivability Kit(TUSK)のコンポーネントである『Abrams Reactive Armor Tile 1(ARAT1:エイブラムス爆発反応装甲タイル)』、および車体底面用のAbrams Lightweight Underbody Kit(対地雷・IED用軽量車体下部防御キット)を状況に応じて追加装着可能) |
| Main Armament (主武装) | なし (油圧駆動式ブリッジランチャーメカニズム(BLM)および1基のHeavy Assault Scissor Bridge(HASB)を装備、展開時全長 18.3 m、有効架橋長 11.0 m) |
| Secondary Armament (副武装) | なし(標準状態では機関銃などの固定副武装は持たないが、車内の乗員自衛用として 1x M4A1 カービンまたはM16A4、および自衛用ピストル、煙幕展開・合図用のカラースモークグレネードを携行。車体側面等に自衛・隠蔽用のスモークグレネードランチャーを統合可能) |
| Engine (エンジン出力 hp/kW) | Honeywell AGT1500C multi-fuel gas turbine engine(ハネウェル製AGT1500ガソリン・ディーゼル・航空燃料対応マルチフューエル・ガスタービンエンジン、Total InteGrated Engine Revitalization(TIGER)近代化プログラム適用仕様) / 出力:1,500 shp (1,120 kW) |
| Max Speed (最高速度: 整地/不整地) | Paved (整地):72 km/h (45 mph)(※制限ガバナー制御下) / Unpaved (不整地):48 km/h (30 mph)(※M1A2共通の強化型トーションバー・ロータリーショックアブソーバーサスペンションにより、重主力戦車列と完全同期した高速不整地機動が可能) |
| Operational Range (航続距離) | 約 420 km (260 miles)(※容量 500 USガロン(約1,900L)の燃料タンク満タン時仕様基準) |








