


概要と開発の背景
Supacat ATMP(All Terrain Mobility Platform)は、1980年代初頭にイギリスのSupacat(現 SC Group)が開発した6輪駆動(6×6)の超軽量全地形対応多用途車両である。開発の背景には、1982年のフォークランド紛争において露呈した空挺部隊および空挺機動部隊の地上機動力不足と、重装備・資材の輸送難という課題が存在した。これを受けた英国防省の要求に応じる形で、試作車「Jura」の技術実証を経て開発が本格化した。本車は、パラシュート降下直後の降下地帯(ドロップゾーン)における資材回収や、105mm L118榴弾砲、81mm迫撃砲、対戦車ミサイル、弾薬などの迅速な輸送・部隊展開を可能にする空輸・落下傘投下可能な超軽量車両として設計された。厳しい試験と検証を経て、1988年にイギリス陸軍へ正式導入され、空挺旅団や特殊部隊の機動力を支える主要プラットフォームとして位置付けられた。
構造と技術的特徴
本車の構造における最大の特徴は、アルミニウム張りの中空モノコック車体構造(ハル)を採用している点にあり、これにより軽量化と高い車体剛性を達成すると同時に水上での浮航能力(水陸両用性)を確保している。駆動系には6輪駆動(6×6)方式を採用し、パワーユニットにはVW製の1.9Lターボチャージャー付きディーゼルエンジンを搭載する。操舵メカニズムには、フロント4輪の動力補助操舵と左右の車輪回転差を利用するスキッドステアを組み合わせた独自のハンドルバー制御システムが用いられており、狭小地での卓越した小回り性能と登坂能力を発揮する。足回りには低圧の超極太タイヤを装備し、ぬかるんだ湿地や砂地といった過酷な不整地でも接地圧を分散させて安定した走破性を維持する。車体前部には自衛・揚収用ウインチと一体化されたスロープを備え、パレット資材の自力積載やフォークリフト・パレット・トレーラー(FLPT)との連結運用、患者輸送(CASEVAC)に迅速に対応する柔軟な設計思想が具現化されている。
運用実績と評価
1988年の制式採用以降、イギリス陸軍の第16空挺突撃旅団(旧第5空挺旅団)やパラシュート連隊、王立海兵隊、王立空軍(RAF)、さらにはマレーシア陸軍をはじめとする国外組織で広く配備・運用された。1991年の湾岸戦争(グランビー作戦)をはじめ、1999年のコソボ紛争、アフガニスタン紛争(ヘリック作戦)、イラク戦争などの主要な作戦環境へ投入された。C-130輸送機からのパラシュート降下投下やCH-47チヌークヘリコプターによる機内積載および機外吊り下げ空輸に対応し、滑走路や整備されたインフラが存在しない前線地域へ即座に投入可能な補給・機動アセットとして高く評価された。基本の部隊・物資輸送型に加え、防空ミサイルシステム牽引型、航空燃料輸送型(Fuel Cat)、患者輸送型など多岐にわたる派生・改修形態が展開された。近年では全電動およびハイブリッド駆動の追加や無人遠隔操作機能(Optionally Manned)を備えた技術実証モデルも発表されており、登場から長年月を経てなお即応型軽量全地形車両として運用・評価が続けられている。
| Official Name (正式名称) | Supacat ATMP (All-Terrain Mobility Platform) |
| Country of Origin (開発国) | イギリス |
| Manufacturer (製造メーカー) | Supacat (現 SC Group) |
| Designed (設計年) | 1980年代初期(1980年代初頭から開発が開始され、1982年にプロトタイプが発表・試作)に設計・開発され、1988年にイギリス陸軍での正式運用が開始された |
| Primary Operators (主な運用組織) | イギリス:イギリス陸軍(第16空中侵入旅団(16 Air Assault Brigade Combat Team)やパラシュート連隊(Parachute Regiment)、王立砲兵連隊(Royal Artillery)等においてATMP(All Terrain Mobility Platform)として配備・現役運用) イギリス海軍(SBSにて湿地・沿岸部・難路での特殊機材輸送用途で運用)、王立海兵隊、イギリス空軍 ブラジル:ブラジル軍(全路面機動プラットフォーム(ATMP)として導入・保有・運用) マレーシア:マレーシア軍(全路面機動プラットフォーム(ATMP)として導入・保有・運用) |
| Crew / Capacity (乗員および兵員輸送数) | 乗員 2名 + 兵員輸送数: 最大 8名 |
| Combat Weight (戦闘重量) | 車両総重量 (Gross Vehicle Weight / GVW): 3,500 kg (7,716 lbs / 3.5 tonnes) 車両自重 (Kerb Weight): 1,800 kg – 1,900 kg (3,968 lbs – 4,188 lbs) 最大積載量 (Payload Capacity): 1,600 kg (3,527 lbs) |
| Dimensions (寸法: 全長/全幅/全高) | L (全長): 約 3.33 m – 3.44 m (3,335 mm – 3,443 mm / 131.3 in – 135.6 in / 10.9 ft – 11.3 ft) W (全幅): 約 1.87 m – 2.03 m (1,870 mm – 2,030 mm / 73.6 in – 79.9 in / 6.1 ft – 6.7 ft) D (全高): 約 1.85 m – 2.01 m (1,850 mm – 2,010 mm / 72.8 in – 79.1 in / 6.1 ft – 6.6 ft) [※オープン型・フレーム部: 1,850 mm – 1,873 mm / キャブ装着時: 2,010 mm / 非キャブ折りたたみ時最小: 1,210 mm (47.6 in / 4.0 ft)] |
| Armor (装甲の詳細: 複合装甲、ERA、APSの有無) | None |
| Main Armament (主武装) | None |
| Secondary Armament (副武装) | 標準固定火器は非搭載、自衛用に 7.62mm GPMG や MILAN 対戦車ミサイル発射機等の着脱式マウント装着が可能 |
| Engine (エンジン出力 hp/kW) | Volkswagen ADE 1.9-litre Turbocharged Diesel Engine (1.9L 4気筒 ターボディーゼル) 出力: 58 kW (78 hp – 78 bhp) |
| Max Speed (最高速度: 整地/不整地) | Paved (整地): 約 60 km/h – 64 km/h (37 mph – 40 mph) Unpaved (不整地): 水上自走速度 約 5 km/h (3.1 mph / 2.7 knots) / 不整地速度 不明 |
| Operational Range (航続距離) | Paved (整地): 約 850 km (528 miles) |
OPERATING FORCES / 運用国・軍種
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画像の引用元
- By Calreyn88 – Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=128239663
- By Alf van Beem – Own work, CC0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=22694310
- By MyLifeStory – originally posted to Flickr as Ready for Combat, CC BY 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=5946571












