
アメリカのPolaris Government and Defense社が製造する、軍事特殊作戦や軽歩兵部隊向けの超軽量戦術車両(LTATV)である。同社の商用オフロードバギー「RZR」をベースとし、過酷な戦域に適合するようロールケージ(ROPS)の折り畳み機構や車体構造の強化、赤外線遮断モード(ブラックアウトモード)の統合など軍固有のモディファイが施された。最大の特徴は優れた空輸適応性にあり、V-22オスプレイやCH-47チヌーク、C-130輸送機等の機内(インダンプ)に直接積載して迅速に空中展開ができる。機動性を活かした隠密潜入、強襲、前線への弾薬補給、負傷者搬送(CASEVAC)に投入されるほか、近年はドローン対処(C-UAS)システムやレーザー兵器、各種重火器の移動プラットフォームとしてアメリカ全軍および50カ国以上の同盟国軍で広く現役運用されている。
| Official Name (正式名称) | Polaris MRZR |
| Country of Origin (開発国) | アメリカ合衆国 |
| Manufacturer (製造メーカー) | Polaris Government and Defense (Polaris Industries Inc. の防衛・政府車両部門) |
| Designed (設計年) | ベースとなる軍用戦術仕様の設計定義は2011年に完了し、2012年に初代モデルが公式に発表された。その後、アメリカ特殊作戦軍(USSOCOM)による実戦環境下での広範な試験評価プロセスをパスし、同2012年に最初の公式な調達・デリバリーが開始されたことで前線部隊における本格的な現役運用が開始、2015年〜2016年にターボディーゼル仕様の「MRZR D」シリーズが再設計され、2020年には完全刷新された「MRZR Alpha」が開発された |
| Primary Operators (主な運用組織) | アメリカ合衆国:アメリカ陸軍(第75レンジャー連隊、第82空挺師団、および特殊作戦コマンド(USASOC)のグリーンベレー等)、アメリカ海軍(海軍特殊戦コマンドのネイビーシールズ(Navy SEALs)等)、アメリカ海兵隊(各歩兵連隊に配備されている超軽量戦術車両(ULTV/UTV)ユニット)、アメリカ空軍(第21特殊戦術中隊等の空軍特殊作戦コマンド(AFSOC)所属部隊)、および連邦捜査局(FBI:人質救出チーム(HRT))にて大規模に現役運用中 ウクライナ:ウクライナ陸軍(特殊作戦軍(SSO)、および新設されたウクライナ突撃・レンジャー部隊(Ukrainian Ranger Corps))にて、対ロシア前線での迅速な潜入・威力偵察および急襲用戦術アセットとして大量公式運用中 イギリス:イギリス海軍(王立海兵隊(Royal Marines)の高速展開・沿岸強襲ユニット)、およびイギリス陸軍(イギリス陸軍特殊部隊(UKSF)の特殊空挺部隊SASや特殊舟艇部隊SBS等)にて公式現役運用中 ドイツ:ドイツ陸軍(特殊作戦軍(KSK)等の陸軍特殊ユニット向けに、空挺軽量多目的車両(LL-UTV)として公式導入された計65両の「MRZR D4」を現役運用中) カナダ:カナダ陸軍(カナダ特殊作戦軍(CANSOFCOM)の特殊作戦部隊JTF-2等において、DAGORと並ぶ超軽量潜入・強襲アセットとして公式現役運用中) フランス:フランス陸軍(陸軍特殊作戦コマンド(COM FST)の第1海兵歩兵落下傘連隊等において、不整地高速潜入アセットとして公式現役運用中) ポルトガル:ポルトガル陸軍(特殊作戦部隊および空挺大隊等)、およびポルトガル国家共和国警備隊(GNR)にて公式現役運用中 スペイン:スペイン陸軍(特殊作戦指揮部(MOE)など各即応展開ユニット)、およびスペイン海軍(海兵隊特殊部隊)にて公式調達アセットとして現役運用中 イタリア:イタリア陸軍(第9落下傘強襲連隊「コスキン」等の特殊部隊・空挺部隊アセット)にて公式現役運用中 オランダ:オランダ陸軍(特戦コマンド(KCT)および空挺旅団等の軽量戦術機動ユニット)にて公式現役運用中 ルーマニア:ルーマニア共和国軍(ルーマニア陸軍の特殊作戦部隊(SOF)ユニット等において、DAGORやMV850と併せて公式現役運用中) ハンガリー:ハンガリー軍(第34特殊作戦大隊等の特殊作戦および空挺・偵察部隊において、超軽量戦術車両アセットとして公式現役運用中) ラトビア:ラトビア国家武装共和国軍(ラトビア陸軍、およびナショナルガード(国境・領土防衛部隊))にて、米政府のFMSおよびFMFプログラムを介して導入された「MRZR 2」や「MRZR 4」を公式現役運用中 リトアニア:リトアニア陸軍(特殊作戦部隊、およびバルト三国防衛警戒タスクフォース等)にて公式現役運用中 アルゼンチン:アルゼンチン陸軍(特殊作戦部隊、憲兵特戦ユニット、および不整地パトロール大隊等)にて公式現役運用中 エルサルバドル:エルサルバドル陸軍(各歩兵・特戦旅団)、およびエルサルバドル海軍において、公式調達された「MRZR」を対カルテルおよび沿岸警備任務にて現役運用中 レバノン:レバノン陸軍(空挺レジメント、特殊作戦旅団等の国境治安・対テロ機動アセットとして公式現役運用中) トルクメニスタン:トルクメニスタン共和国軍(国境警備隊、および首都防衛特殊部隊等において、パレードおよび過酷な砂漠パトロール用アセットとして公式現役運用中) インド:インド陸軍(高高度・北部コマンドの歩兵部隊、および東部ラダック等の山岳作戦を展開する機動ユニット)にて公式現役運用中 タイ:タイ王立陸軍(特殊作戦コマンド、および山岳・密林偵察ユニット等)にて公式現役運用中 オーストラリア:オーストラリア陸軍(陸軍特殊作戦コマンド(SOCOMD)のSASR、および近年の遠征・強襲能力拡張に伴い新規調達された軽量戦術機動ユニット)にて公式現役運用中 ニュージーランド:ニュージーランド陸軍(特殊部隊NZSAS、および各種即応軽歩兵・空中強襲タスクフォース等において、従来のインベントリのほか最新機材を順次公式現役運用中) フィンランド:フィンランド陸軍(陸軍特殊部隊、および極地・密林偵察部隊等において、厳冬期対応オプションを含むポラリス・アセットを公式現役運用中) ノルウェー:ノルウェー陸軍(特殊作戦部隊(FSK:Forsvarets Spesialkommando)等において、最新の6×6輪駆動仕様「MRZR Alpha 6×6」を含む厳冬期・不整地仕様の高速潜入プラットフォームを公式現役運用中) サウジアラビア:サウジアラビア陸軍(特殊作戦旅団、および国境警備部隊等において、砂漠地帯での隠密偵察およびMRO(整備・補修)の国内体制構築を含めたポラリス・アセットを公式現役運用中) アラブ首長国連邦:アラブ首長国連邦軍(大統領親衛隊特殊作戦旅団等において、機動戦闘および偵察用の超軽量戦術車両アセットとして「MRZR Diesel」等を公式現役運用中) シンガポール:シンガポール共和国陸軍(特定の特殊作戦タスクフォース(SOTF)や特殊部隊ユニットにおいて、自国製車両の補助・検証、およびヘリコプター等による長距離空輸展開用の機動アセットとして限定現役運用中) マレーシア:マレーシア陸軍(特殊作戦部隊(GGK:Grup Gerak Khas)等において、密林地帯の高速パトロールや隠密潜入用アセットの評価・運用機材として限定現役運用中) |
| Crew / Capacity (乗員および兵員輸送数) | 4名 (Driver、Commander、後部座席 Passenger 2名) + 兵員輸送数:最大2名分の追加(後部貨物ベッドエリアにインサイド対面座席を追加可能。ただしAPC(装甲兵員輸送車)ではないため固定の追加席ではなく、基本は負傷者輸送用の担架(Litter)1〜2枚の積載スペースとして運用) |
| Combat Weight (戦闘重量) | MRZR D4: Gross Vehicle Weight (GVW):3,601 lbs (1,633 kg) / Curb Weight (空虚重量):2,101 lbs (953 kg) MRZR Alpha 4: Gross Vehicle Weight (GVW):5,140 lbs (2,331 kg) / Curb Weight (空虚重量):3,140 lbs (1,424 kg) |
| Dimensions (寸法: 全長/全幅/全高) | MRZR D4: W: 59.5 in (1.51 m) / L: 140.6 in (3.57 m、固定砲身なし) / D: 73.8 in (1.87 m、ロールケージ展開時。折り畳み時は 60 in / 1.52 m 以下) MRZR Alpha 4: W: 59.5 in (1.51 m) / L: 173.5 in (4.41 m、固定砲身なし) / D: 73.4 in (1.86 m、ロールケージ展開時) |
| Armor (装甲の詳細: 複合装甲、ERA、APSの有無) | なし (防弾鋼板、複合装甲、爆発反応装甲(ERA)は一切装備されていない。機動性とV-22オスプレイ等の機内積載(ITV)空輸要件、および空中投下(Low Velocity Air Drop)を最優先した完全なオープントップの非装甲軽量構造であり、乗員保護は管状スチール製の折り畳み式ロールケージ(ROPS)のみである) |
| Main Armament (主武装) | 固定の主武装はなし ただし、助手席のダッシュボード上部マウント、または中央ロールケージ上部のスイングアーム式機銃架に、部隊の戦術要求に応じて以下のいずれかを選択して搭載 ・1x 7.62mm M240 機関銃 ・1x 5.56mm M249 軽機関銃 ・1x 12.7mm M2HB 重機関銃(MRZR Alpha等の強化マウント、または対ドローン(C-UAS)電子戦・レーザー兵器システム等) |
| Secondary Armament (副武装) | なし (同軸機関銃や独立した固定副武装は持たないが、車体各所に個人用火器(M4カービン等)を固定するためのガンマウントクリップや汎用ラックを複数装備) |
| Engine (エンジン出力 hp/kW) | MRZR D4: 1.0L Three-Cylinder Turbo Diesel Engine (1.0リットル 直列3気筒ターボディーゼル。使用燃料:Diesel D1/D2、JP5/JP8、F24、ULSD) / 出力:55 hp (41 kW) MRZR Alpha 4: 1.5L Four-Cylinder Turbo Diesel Engine (1.5リットル 直列4気筒コモンレール式ターボディーゼル。使用燃料:同上) / 出力:118 hp (88 kW) |
| Max Speed (最高速度: 整地/不整地) | Paved (整地): 約 60 mph (約 96 km/h、安全ガバナー制御による) Unpaved (不整地): 約 30 mph〜40 mph (約 48 km/h〜64 km/h、サスペンションのストローク量および路面凹凸条件による) |
| Operational Range (航続距離) | MRZR D4: 最大 200 miles (約 321 km、燃料タンク容量:9.5 gal / 36 L、時速30マイル整地巡航時) MRZR Alpha 4: 最大 225 miles〜300 miles (約 362 km〜483 km、燃料タンク容量:10 gal / 38 L、最大積載・運用条件による) |
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画像の引用元
- By Tim Rademacher, Wikimedia Commons, CC-BY-SA-4.0, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=169428940




