ACV-R (Amphibious Combat Vehicle – Recovery)

ACV-R (Amphibious Combat Vehicle - Recovery)

概要と開発の背景

BAE Systems / Iveco ACV-R(Amphibious Combat Vehicle – Recovery)は、2020 年代にアメリカの BAE Systems 社とイタリアの Iveco Defence Vehicles 社が共同開発し、アメリカ海兵隊へ導入が進められている 8×8 輪駆動の水陸両用装甲回収車である。開発の背景には、1970 年代より長年運用されてきた旧式の水陸両用装甲回収車 AAVR-7A1(AAVR-7)の老朽化と、アメリカ海兵隊が配備を進める新型水陸両用戦闘車 ACV ファミリー(歩兵輸送型 ACV-P、30 mm 機関砲型 ACV-30、指揮型 ACV-C)の運用を前線で直接支える最新の整備・回収支援アセットの獲得ニーズが存在した。従来型の AAVR-7A1 は装軌式(履帯)であり、舗装道路における機動走行速度や地雷・即席爆発装置(IED)に対する耐爆防護性能に制限があった。アメリカ海兵隊は、主力である ACV 艦隊と全く同等の水陸両用性能および過酷な環境での走破性・防護力を共有し、不具合や行動不能におち入った車両の現場回収やパワーパック(エンジン)交換を即座に実施できる新型装甲回収車として ACV-C 等に続く最終バリアントである ACV-R の開発および調達を決定した。

構造と技術的特徴

構造上の最大の特徴は、ACV ファミリー共通の優れた水陸両用車体フレームに、前線での本格的な車両整備・回収作業を可能にする大型旋回式クレーンと強力なウインチ機構を統合している点にある。車体上部には伸縮・旋回が可能なヘビークレーンが配置され、有線式ハンディコントローラーを用いて安全な位置から操作可能であり、野外において ACV の重いパワーパックや各種コンポーネントを即座に吊り上げて交換できる作業性能を備える。また、高張力の合成繊維ケーブルを採用した重荷重ウインチと牽引アセンブリを備え、泥濘地や過酷な地形にはまった車両の救出や長距離牽引を確実に実行する。車内には戦場用金属溶接・切断キットや各種工具類が整理収納され、乗員 2 名(車長、操縦手)に加えて 2 名の専門整備技師(計 4 名)を収容可能な空間が確保されている。パワートレインには 700 hp を発揮する Iveco Cursor 13 ディーゼルエンジンと H-Drive 8 輪全輪駆動、V 字型耐爆構造ボトムシェル(V-hull)を継承し、高い水上航行能力と耐爆生存性を誇る。

運用実績と評価

2022 年 3 月の設計・開発契約締結および 2024 年 4 月の試作生産車(PRTV)契約を経て、2026 年 9 月には BAE Systems に対して 32 両の量産型 ACV-R を受注する総額約 2 億 3,000 万ドルの契約変更が発注された。実際の運用評価においては、強襲揚陸艦のウェルドックから 12 海里(約 22 km)以上の洋上を進出して上陸した後、最前線で動的に展開する ACV 艦隊に追従して即座に故障車・動行不能車の救出やエンジン換装、野外修復を行える卓越した「Over-the-Horizon」サポート能力が高く評価された。従来の AAVR-7A1 を完全に置き換える存在であり、ACV-P や ACV-30、ACV-C と共通の駆動パーツや足回りを使用しているため、部品調達やメンテナンス・ロジスティクスの負担を大幅に軽減できる構造を実現している。アメリカ海兵隊の水陸両用作戦における車両稼働率と部隊の継続戦力を下支えする不可欠な機動回収アセットとして、2020 年代後半にかけて順次部隊配備が進められている。

Official Name (正式名称)ACV-R (Amphibious Combat Vehicle – Recovery)
Country of Origin (開発国)イタリアのIveco社製「SuperAV」プラットフォームをベースにアメリカ合衆国で共同開発)
Manufacturer (製造メーカー)BAE Systems / Iveco Defence Vehicles (IDV)
Designed (設計年)ACV-Rの基本設計およびフェーズ1の開発完了(設計年)は2024年であり、開発計画(DOT&E評価スケジュール)に基づく試験評価(実弾試験および運用試験)が2026年度から2027年度にかけて実施される予定であるため、フルレート生産決定(FRP決定)が計画されている運用開始年(正式な配備開始年)は2027年(2027年度第4四半期)である。
Primary Operators (主な運用組織)アメリカ合衆国:アメリカ海兵隊(各強襲水陸両用大隊[Assault Amphibian Battalion]および整備部隊向けの次世代主力装甲回収車として公式にプログラム選定。製造メーカーであるBAEシステムズ社との間で試作・試験車(PRTV)の設計・製造契約が締結され、2026年度から2027年度にかけて実弾試験[LFT&E]および運用試験[OT&E]を実施する計画が進行中であり、2027年度第4四半期に予定されるフルレート生産[FRP]決定を経て正式な部隊配備・運用が開始される予定)
Crew / Capacity (乗員および兵員輸送数)2名 (Crew) + 兵員輸送数(整備・回収専門スタッフ)2名 (Recover/Maintenance Personnel)
Combat Weight (戦闘重量)32 metric tons to 35 tons (約32,000 kg 〜 35,000 kg) ※搭載コンポーネントおよび追加ペイロードに依存
Dimensions (寸法: 全長/全幅/全高)W (全幅): 124 inches (3.1 m)
L (全長): 361 inches (9.2 m)
D (全高): 114 inches (2.9 m) ※Hull (車体全高。上部に統合される回収用クレーン構造物などの突出物は含まず)
Armor (装甲の詳細: 複合装甲、ERA、APSの有無)Blast-resistant armoured hull (耐爆構造装甲車体)。V型構造の弾道鋼製車体(V-shaped ballistic steel hull)により、地雷、即席爆発装置(IED)、動的エネルギー(KE)弾、および上方からの破片に対する防護性能を保有。自動消火システム(Automatic Fire Suppression System)を標準装備。
Main Armament (主武装)None (戦闘用の大型砲塔や遠隔操作武器ステーション[RCWS]に代わり、車体上部には重量物牽引・回収用の専用クレーンシステム、および車体後部にシンセティックケーブル仕様のヘビーデューティウインチ[Heavy-duty Winch]などの工作・回収用装備を搭載)
Secondary Armament (副武装)1x 近接自衛用軽量機銃マウント(M240 7.62mm機関銃等)
Engine (エンジン出力 hp/kW)FPT (Fiat Powertrain Technologies) Cursor 16
出力: 700 hp (520 kW) / トルク: 3,000 N·m
Max Speed (最高速度: 整地/不整地)Paved (整地): >65 mph (105 km/h)
Unpaved (不整地): >45 mph (72 km/h)
水上航行速度: 6+ knots (11+ km/h)
Operational Range (航続距離)陸上単独航行時:時速55 miles(89 km/h)巡航において最大325 miles (523 km)
水陸連続航行時:最大12 nmi(12 NM / 約22.2 km)の水上航行に続き、陸上で250+ miles (400+ km)

OPERATING FORCES / 運用国・軍種

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画像の引用元
  1. By U.S. Marine Corps – https://www.marcorsyscom.marines.mil/Portals/105/CorpComDirectorate/BriefstoIndustry/2023/APBI_PEO%20LS_26%20June%202023.pdf?ver=LWHDx3Qam7K6ouf62YmTdw%3D%3D, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=162984750

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