C-5M Super Galaxy

C-5M Super Galaxy

概要と開発の背景

ロッキード・マーティン C-5M スーパーギャラクシー(Lockheed Martin C-5M Super Galaxy)は、1990年代末から2000年代にかけてアメリカの Lockheed Martin Corporation が既存の C-5 ギャラクシー大型輸送機を基盤として開発し、2006年に初飛行、2014年に初期作戦能力(IOC)を獲得したアメリカ空軍最大の超大型長距離戦略輸送機である。開発の背景には、1960年代から1980年代にかけて配備された初期型の C-5A および C-5B における機体構造の老朽化、アビオニクスの陳腐化、および高負荷運用に伴うエンジン信頼性の著しい低下が存在した。米軍のグローバルな軍事力展開において、M1戦車などの重装備や巨大な過大貨物(Outsized Cargo)を大陸間で迅速に緊急空輸できる代替不能な運搬能力を維持するため、機体構造の寿命延伸を図るとともにシステムを一新する二段階の近代化改修プログラム(AMPおよびRERP)がスタートした。

構造と技術的特徴

構造上の最大の特徴は、従来の古くなった General Electric TF39 エンジンに代わり、民間大型旅客機で豊富な実績を持つ高信頼性の General Electric F138-GE-100(CF6-80C2)ターボファンエンジン4基へと全面換装された点にある。この推進システムの近代化により、各エンジンの推力が約22%向上し、離陸滑走距離の約30%短縮、上昇率の約58%向上、および劇的な燃費改善を達成した。機首ノーズコーンが上方に開口するバイザードアと機尾大型ランプドアを備え、車両が機内を直接通り抜けられる自走積載構造(ドライブスルー機能)や、機高を下げて床面高さを調整できる膝折り式降着装置を継承している。機内にはデジタル・グラスコクピットや最新の全天候型航法アビオニクス(AMP改修)が導入され、操縦性・安全性が格段に強化された。超大型貨物室は36枚の標準パレットを収容可能であり、C-17 Globemaster III などの主力輸送機と比較しても圧倒的な容積と最大約127トンの積載能力を誇る。

運用実績と評価

2014年の改修型本格配備以降、C-5M はアメリカ空軍(機動展開コマンド[AMC]傘下の第60機動航空団、第436機動航空団、空軍予備役コマンド[AFRC]、空軍州兵[ANG]等)において制式採用され、同軍唯一の超大型戦略輸送機として独占運用されている。全52機の対象機(C-5B、C-5C、および一部のC-5A)に対する C-5M への改修更新は2018年までにすべて完了した。実際の運用においては、中東や欧州、インド太平洋地域への部隊即応展開や大規模演習、ならびに人道支援・災害救援活動に投入され、M1戦車2両や大型攻撃ヘリコプター複数機、架橋架設車といった巨大装備の長距離無給油空輸において他機では代替不可能な戦術効果を示した。エンジンの刷新によって課題であった可動率(Mission Capable Rate)が飛躍的に改善され、運用維持コストの削減と信頼性の向向が実現した。現代においてもアメリカ軍のグローバルな長距離補給線の要として位置づけられており、2040年代以降に至るまで現役運用が継続される見込みである。

Official Name (正式名称)C-5M Super Galaxy
Country of Origin (開発国)アメリカ合衆国
Manufacturer (製造メーカー)Lockheed Martin Corporation
Designed (設計年)ロッキード・マーティン社が2001年から信頼性向上およびエンジン換装プログラム(RERP)の開発・設計を開始し、改修型としての初飛行を2006年6月19日に達成した後、2009年2月9日に最初の実戦運用機がアメリカ空軍のドーバー空軍基地へ引き渡されて運用が開始され、2014年2月21日に初期運用能力(IOC)を公式に獲得した
Primary Operators (主な運用組織)アメリカ合衆国:アメリカ空軍(現役部隊である空中機動軍団(AMC)傘下の第60空中機動航空団(第22空輸飛行隊・トラヴィス空軍基地)および第436空輸航空団(第9空輸飛行隊・ドーバー空軍基地)、空軍予備役コマンド(AFRC)傘下の第433空輸航空団(第356空輸飛行隊(公式訓練部隊)・ラックランド空軍基地)および第439空輸航空団(第337空輸飛行隊・ウェストーバー航空予備役基地)において、総計52機のC-5Mを戦略輸送プラットフォームとして集中統合運用中。)
Crew (乗員)基本飛行運用クルー: 7名 (操縦士2名、航空機関士(Flight Engineer)2名、ロードマスター(Loadmaster)3名。※任務最低限の構成員は4名:操縦士2名、航空機関士2名)
増強・交代用クルー (Augmented Crew): 最大8名 (長時間飛行の際、コックピット後方の前部アッパーデッキの専用交代要員席および3段ベッド2部屋(計6床)に収容)
後部アッパーデッキ搭乗者 (Troop Compartment): 73〜81名 (貨物室とは隔離された2階後方の旅客専用キャビンに、兵士や関係者を搭乗可能。専用のギャレーやトイレを完備)
最大総搭乗可能人数 (Air Bus Configuration): 350名 (1階貨物室に臨時の旅客用シートパレットを全面配置し、2階キャビンと合わせて兵員輸送に特化させた場合の最大収容数)
Dimensions (寸法):全長、全幅(翼幅)、全高L (全長): 75.53 m (247 ft 10 in)
W (全幅): 67.91 m (222 ft 9 in)
H (全高): 19.84 m (65 ft 1 in)
Empty / Max Takeoff Weight (自重 / 最大離陸重量)Empty (自重): 181,437 kg (400,000 lb) (公式の運用空虚重量(Operating Weight Empty)データに基づく数値であり、換装前の初期型ベースのデータとして約169,644 kg(374,000 lb)や約172,370 kgを提示する資料も存在する)
Max Takeoff Weight (最大離陸重量): 381,018 kg (840,000 lb) (この重量制限内において、最大 129,274 kg(285,000 lb / 公式ファクトシート基準では127,460 kg(281,001 lb))の貨物ペイロードを可搬可能である。
積載車両・航空機の同時搭載目安としては、M1 Abrams主力戦車であれば 2両、あるいはM2/M3 Bradley歩兵戦闘車であれば 6両、またはUH-60 Black Hawkヘリコプターであれば 6機、もしくはCH-47 Chinook大型輸送ヘリコプターであれば 2機を機体前後のランプ扉からカーゴベイ内へ自走・直接格納して同時に大陸間空輸することが可能である。その他、陸軍の架橋戦車M1074 JABSなどや、463Lマスターパレット最大36枚を積載できる)
Powerplant (エンジン):型式、推力型式: 4x General Electric F138-GE-100 (民間型式: CF6-80C2) (ターボファンエンジン)
推力: 1基あたり 50,580 lb〜51,250 lb (約 225 kN〜230 kN)
Max Speed (最大速度):マッハ表記、高度別の速度マッハ表記: Mach 0.77 (通常巡航速度としてのマッハ規定値であり、限界最大マッハ数をマッハ 0.79とする資料もある)
高度別の速度: 不明 (公的な高度別の正確な最高速度・巡航速度の数値データは非公開。機体性能上限として 518 mph(約 833.5 km/h)または 932 km/h とするデータが存在する)
Combat Range (戦闘行動半径) / Ferry Range (航続距離)Combat Range (戦闘行動半径): 不明 (戦略空輸機のため戦闘行動半径は非公開)
Ferry Range (航続距離): 7,000 nautical miles (約 12,964 km) (貨物を搭載しない完全空荷状態での無給油最大航続距離。なお、120,000 lbの貨物積載時は 5,524 miles(約8,890 km)、285,000 lbの最大貨物積載時は 5,500 nautical miles(約10,186 km)と規定される。空中給油の受油能力を備えるため、受油により実質無限に延長可能)
Service Ceiling (実用上昇限度)41,000 ft (12,497 m) (運用資料により最大 45,000 ft(13,716 m)まで可能とのデータもある)
Hardpoints (ハードポイント):ミサイルや爆弾の搭載能力None
Fixed Armament (固定武装):機関砲の口径、弾数None

OPERATING FORCES / 運用国・軍種

PR:関連商品

画像の引用元
  1. By U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Kevin Dunkleberger – This image was released by the United States Air Force with the ID 250529-F-CW240-3151 (next).This tag does not indicate the copyright status of the attached work. A normal copyright tag is still required. See Commons:Licensing.العربية ∙ বাংলা ∙Bahaso Jambi ∙Deutsch ∙ Deutsch (Sie-Form) ∙ English ∙ español ∙ euskara ∙ فارسی ∙ français ∙ italiano ∙ 日本語 ∙ 한국어 ∙ македонски ∙ മലയാളം ∙ Plattdüütsch ∙ Nederlands ∙ polski ∙ پښتو ∙ português ∙ русский ∙ slovenščina ∙ svenska ∙ Türkçe ∙ українська ∙ 简体中文 ∙ 繁體中文 ∙ +/−, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=181290487

上部へスクロール