
概要と開発の背景
ボーイング KC-767(Boeing KC-767)は、2000年代初頭にアメリカの The Boeing Company が民間双発中型旅客機 Boeing 767-200ER をベースに開発し、2000年代半ばから配備が開始された空中給油・輸送機である。開発の背景には、冷戦期から半世紀近くにわたり世界各国で主力空中給油機として運用されてきた旧式の Boeing KC-135 Stratotanker などの老朽化に伴う更新ニーズと、冷戦後における国際平和協力活動や長距離部隊展開の急速な増加が存在した。戦闘機部隊に対する遠距離での空中給油能力と、大量の貨物・人員を同一機体で運搬できる柔軟な戦術・戦略輸送能力を統合した最新プラットフォームが要求され、イタリア空軍(Aeronautica Militare)および日本の防衛庁(現防衛省)からの調達要求に基づき「767 Tanker Transport」計画として開発がスタートした。
構造と技術的特徴
構造上の最大の特徴は、ベースとなった Boeing 767-200ER のワイドボディ構造を活かし、給油用燃料タンクを貨物室床下(アンダーフロア)に配置することで、メインデッキ全域を乗客・パレット貨物の輸送スペースとして完全に維持したコンバーチブル設計にある。推進システムには General Electric Company 製 CF6-80C2 ターボファンエンジン2基(各推力約268kN)を搭載し、優れた高高度巡航性能と低燃費性を確保した。給油機構には革新的なフライ・バイ・ワイヤ(Fly-by-Wire)制御方式の先進空中給油フライング・ブームを採用しており、従来機のように機尾下部の窓から直接目視監視する搭乗員席を排し、コクピット後部に遠隔給油視認システム(RSDS)を配置した。3Dビジョンカメラと高解像度モニターを介して操作員が給油アームを緻密に操作するメカニズムを世界で初めて実用化し、安全かつ高精度な給油制御と優れた保守性を両立させている。
運用実績と評価
2008年の航空自衛隊への初号機納入、および2011年のイタリア空軍での就役以降、KC-767 は日本の航空自衛隊(小牧基地の第404飛行隊)に4機(KC-767J)、イタリア空軍に4機(KC-767A)が制式採用され、集中運用されている。実際の運用においては、航空自衛隊の F-15J や F-2 に対する長距離空対空給油演習や対領空侵犯措置の支援任務に加え、東日本大震災での物資・人員輸送、国際緊急援助活動、海外邦人等輸送ミッションへ投入された。機内レイアウトの迅速な変更(人員最大200名または標準パレット19枚)が可能な高い汎用性と、長大な無給油航続距離(約7,200km〜12,200km)が高く評価された。アメリカ空軍向け後継型 KC-46A Pegasus の技術的礎となった本機は、日本およびイタリアにおける防衛体制と国際貢献の中核アセットとして第一線で現役運用が続けられている。
| Official Name (正式名称) | Boeing KC-767 |
| Country of Origin (開発国) | アメリカ合衆国 |
| Manufacturer (製造メーカー) | Boeing Integrated Defense Systems |
| Designed (設計年) | 開発ベースとなったボーイング767のプログラムは1978年に開始され、空中給油機としての製造は2003年から開始された。運用開始年については導入先の仕様や契約により異なり、航空自衛隊仕様(KC-767J)においては2008年から機体納入が開始され実用・運用試験等を経て2010年度から本格運用が開始されたほか、イタリア空軍仕様(KC-767A)においては2011年5月17日に正式な運用が開始され、コロンビア仕様においては2010年11月に引き渡しが行われている。 |
| Primary Operators (主な運用組織) | イタリア:イタリア空軍(第14航空団)で運用中(個別呼称仕様:KC-767A) コロンビア:コロンビア航空宇宙軍(第811空中給油飛行隊)で運用中(派生品:IAI社独自改修仕様 KC-767 MMT “Jupiter”) 日本:航空自衛隊(第1輸送航空隊第404飛行隊)で運用中(当初個別呼称:KC-767J、現在の呼称:KC-767) |
| Crew (乗員) | 3名(パイロット2名、ブームオペレーター1名。※日本国内向け公開仕様では4名〜8名)、旅客としての搭載能力は最大200名、または463L標準貨物パレット19枚 |
| Dimensions (寸法):全長、全幅(翼幅)、全高 | L: 48.5 m (159 ft 2 in ) W: 47.6 m (156 ft 1 in) H: 15.8 m (52 ft) |
| Empty / Max Takeoff Weight (自重 / 最大離陸重量) | 自重 (Empty Weight): 約82,377 kg (181,610 lb)(日本国内向け公開仕様では約86.3 t) 最大離陸重量 (Max Takeoff Weight): 約179,200 kg または 186,880 kg (395,000 lb) |
| Powerplant (エンジン):型式、推力 | 型式: 2x General Electric CF6-80C2 ターボファンエンジン(Pratt & Whitney PW4000の選択も可能) 推力: 1基あたり 60,200 lbf (268 kN) |
| Max Speed (最大速度):マッハ表記、高度別の速度 | マッハ表記: 約Mach 0.86(日本国内向け公開仕様では約Mach 0.84) 高度別の速度: 最高速度は570 mph (915 km/h)、巡航速度はMach 0.80(530 mph, 851 km/h) |
| Combat Range (戦闘行動半径) / Ferry Range (航続距離) | 航続距離 (Ferry Range): 約12,200 km (6,385 nmi)(日本国内向け公開仕様では30t積載時に約7,200 km) |
| Service Ceiling (実用上昇限度) | 約12,200 m (40,100 ft) |
| Hardpoints (ハードポイント):ミサイルや爆弾の搭載能力 | None |
| Fixed Armament (固定武装):機関砲の口径、弾数 | None |
OPERATING FORCES / 運用国・軍種
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画像の引用元
- By USAF – U.S. Air Force photo 070305-F-1287F-001 from the Edwards AFB site, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=9766037












