H&K AG36

H&K AG36
イギリス陸軍第1大隊ロイヤル・フュージリア連隊(1 RRF)の兵士、L85A2(SA80 A2)へL123A2(AG36)をマウントし運用

概要と開発の背景

H&K AG36(Heckler & Koch AG36)は、1990年代末にドイツの Heckler & Koch 社が同国の G36 アサルトライフル向けに開発し、2002年より量産および配備が開始された 40mm 口径の単発式アドオン型擲弾発射器(Under-Barrel Grenade Launcher)である。開発の背景には、ドイツ連邦軍をはじめとする欧州各国軍において、旧来のライフルグレネード(小銃装着式榴弾)や旧式アドオン射撃アセット(HK79 や HK AG3 等)が抱えていた、再装填速度の遅さ、対応弾薬の制限、および装着時の小銃本体への重量・操作性悪影響という課題が存在した。1990年代に G36 小銃が標準採用されたことに伴い、小銃のハンドガード部と即座に組み替え交換可能で、各種特殊機能弾薬を柔軟に運用でき、かつ安全で素早い装填動作を完遂できる次世代の歩兵用曲射・面制圧火力アセットとして本機が構築された。

構造と技術的特徴

構造上の最大の特徴は、一般的なアメリカ製 M203 擲弾発射器のような前後スライド開閉方式ではなく、砲身後部が左側へ横開きに開口する中折れ式(スイングアウト / チルティング・バレル)装填メカニズムを採用している点にある。これにより、従来の前後スライド方式では全長が長すぎて装填不可能であった長尺の特殊弾薬(催涙弾、非致死性ゴムバトン弾、照明弾、長距離特殊着弾弾薬等)を一切の制限なく装填・射撃可能とする設計思想を実現した。作動方式には安全性の高いダブルアクション・オンリー(DAO)トリガーと左右両利き対応(アンビ)の手動セーフティレバーを導入し、ハンマーを手動でコッキングすることなくトリガーを引き切るだけで着火できる構造を持つ。本体には高強度ポリマー樹脂と軽量アルミニウム合金が用いられており、標準装備として本体左側面にフリップアップ式の折りたたみラダーサイトを備えるほか、最新の電子式測距照準モジュールの装着にも対応している。

運用実績と評価

2002年の制式導入以降、AG36 は開発国であるドイツ連邦軍(G36 装着型)をはじめ、スペイン軍、トルコ軍特殊部隊、およびイギリス軍(L85A2 / L85A3 用 L123A2 UGL、L119A1 用 L17A1 UGL)など、世界各国の防衛機関において標準分隊支援火器として幅広く配備された。実際の運用においては、アサルトライフルの下部に装着して歩兵分隊の近接面制圧火力を大幅に拡張したほか、単体運用用の脱着式ストックキットを装着することで単体用グレネードランチャー(スタンドアロン仕様)としても運用された。従来の M203 等と比較して、左側スイングアウト構造による多様な特殊弾薬運用能力、DAO トリガーによる高い不発処理・作動安全性、およびモジュール化された高い着脱性が部隊から絶賛された。その後、Picatinny レール装着に対応した改修型 AG-C / EGLM(Enhanced Grenade Launching Module)や、アメリカ軍に制式採用品として導入された M320 GLM へと進化・発展を遂げ、現代の歩兵用アドオン・グレネードランチャーにおける世界標準仕様として不動の立ち位置を築いている。

Official Name (正式名称)H&K AG36
Country of Origin (開発国)ドイツ
Manufacturer (製造メーカー)Heckler & Koch
Designed (設計年)設計開発は1990年代半ばから進められ、1999年に設計が完了
運用開始(市場導入およびドイツ連邦軍への制式採用)は2001年
Primary Operators (主な運用組織)アメリカ合衆国:アメリカ陸軍、アメリカ海兵隊、アメリカ海軍、アメリカ空軍(AG36をベースにした発展派生型を「M320 / M320A1」として制式採用・大規模配備)、各連邦法執行機関の特殊部隊
イギリス:イギリス陸軍、イギリス海軍、イギリス空軍(制式アサルトライフルL85A2/A3に装着する「L123A2 / A3 UGL」)、イギリス特殊部隊(UKSF:SAS/SBSなどにてL119A1/A2等に装着する「L17A1 UGL」として運用)
ドイツ:ドイツ連邦軍(陸軍の各歩兵部隊、海軍特殊部隊[KSM]、空軍、および陸軍特殊作戦司令部[KSK]等にて「AG36」としてG36等に装着、またはスタンドアロン型で運用)、連邦警察特殊部隊(GSG 9)、各州警察特別出動班(SEK)
フランス:フランス陸軍(主力小銃HK416Fへの更新に伴い、左右開閉式の最新派生型「HK269F」を主力アドオングレネードランチャーとして大規模導入・運用。それ以前より一部の特殊部隊が保有するG36用にAG36を少数運用)
オランダ:王立オランダ陸軍、王立オランダ海軍(オランダ軍仕様の光学サイト付きモデル「AG-NL」および「AG-C/EGLM」を、Diemaco C7/C8アサルトライフル等にマウントして運用)
カナダ:カナダ軍(「AG-C/EGLM」仕様をC7/C8アサルトライフル、および特殊部隊の各種タクティカルレールシステムを介して運用)
スペイン:スペイン軍(陸軍、海軍マリーン、空軍の各部隊で、制式採用しているG36Eアサルトライフルにマウントして運用)、国家警察(CNP)の特殊部隊(GEO)
ポルトガル:ポルトガル軍(ポルトガル陸軍特殊作戦部隊[CTOE]、およびG36を運用する各戦術セクションで導入)
リトアニア:リトアニア軍(リトアニア陸軍等で、主力制式火器であるG36V/G36KVアサルトライフルにマウントして運用)
ラトビア:ラトビア陸軍(ラトビア国家武装部隊においてG36の配備に伴い導入され運用)
ハンガリー:ハンガリー地上軍(近代化アセットの一環としてM320型を導入・運用)
イスラエル:イスラエル国防軍(一部の特殊作戦部隊および戦術評価用としてM320型を限定運用)
フィリピン:フィリピン海兵隊(部隊の火力支援アセットとしてM320型を調達・運用)
マレーシア:マレーシア軍(マレーシア陸軍、海軍特殊部隊[PASKAL]、空軍特殊部隊[PASKAU]、および王立警察の特別行動部隊[UTK]等でG36やHK416と組み合わせて運用)
インドネシア:インドネシア陸軍(陸軍特殊部隊[Kopassus])、インドネシア海軍(対テロ特殊部隊[Denjaka][KOPASKA]にてG36等と組み合わせて運用)
トルコ:トルコ軍(トルコ陸軍特殊部隊司令部[OKK]、および海軍特殊部隊[SAT]などの特殊作戦部隊において限定運用)
コソボ:コソボ治安軍(部隊近代化アセットの一環として導入)
モンテネグロ:モンテネグロ軍(歩兵部隊等の火力支援火器として保有)
サウジアラビア:サウジアラビア軍(サウジアラビア陸軍特殊部隊や国家警備隊の一部部隊において、国内ライセンス生産されているG36アサルトライフルとともに導入され運用が確認されている)
ヨルダン:ヨルダン軍(王室警護隊および特殊作戦部隊において、保有するG36シリーズ等にアドオンして運用)
アラブ首長国連邦 (UAE):UAE軍(特殊部隊等の一部の戦術ユニットにおいて、G36系火器のオプションとして少数運用)
タイ:タイ王立海軍(海軍特殊部隊[RTN SEALs]において、限定的に調達されたG36KVやHK416等に装着して運用)
ブラジル:ブラジル連邦警察(戦術作戦部隊[COT]など、G36を運用する一部の法執行機関の特殊部隊において限定保有)
ウクライナ:ウクライナ軍(2022年のロシア侵攻以降、西側諸国[主にドイツ・イギリスなど]からの防衛援助パッケージの一部、あるいは各種アサルトライフル供与の付属装備として、AG36、L123A2、M320などが前線部隊に流入し、実戦での運用が広く確認されている)
Type (種類)アンダーバレル・グレネードランチャー(Under-barrel grenade launcher / 銃架付てき弾発射器)(※専用ストックキット使用によりスタンドアローン火器としても運用可能)
Caliber (口径)40×46mm(低初速てき弾)
Action (作動方式)中折れ式(サイドスイング・ブリーチローディング)、ダブルアクション式トリガー
Overall Length (全長)約 348 mm – 350 mm (アサルトライフル等へ装着する本体単体の長さ)
Barrel Length (銃身長)280 mm(11 inches)
Weight (重量)1.36 kg
Rate of Fire (発射速度)約 6 rpm
Effective Range (有効射程)約 150 m(点目標) / 約 350 – 400 m(面目標)
Feed System (給弾方式)単発・手動装填(Single-shot, manually loaded)

OPERATING FORCES / 運用国・軍種

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画像の引用元
  1. By Photo: Cpl Si Longworth RLC (Phot)/MOD, OGL 2, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=34481446
  2. By U.S. Marine Corps photo by Cpl. Kenny Gomez – This image was released by the United States Marine Corps with the ID 191218-M-CO238-626 (next).This tag does not indicate the copyright status of the attached work. A normal copyright tag is still required. See Commons:Licensing.العربية ∙ বাংলা ∙Bahasa Indonesia ∙Bahaso Jambi ∙Deutsch ∙ Deutsch (Sie-Form) ∙ English ∙ español ∙ euskara ∙ فارسی ∙ français ∙ italiano ∙ 日本語 ∙ 한국어 ∙ македонски ∙ മലയാളം ∙ Plattdüütsch ∙ Nederlands ∙ polski ∙ پښتو ∙ português ∙ русский ∙ slovenščina ∙ svenska ∙ Türkçe ∙ українська ∙ 简体中文 ∙ 繁體中文 ∙ +/−, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=157760581
  3. By SGT ROB SUMMITT, USA – Defenseimagery.mil, VIRIN 070212-A-4746S-031, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=3561575

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