M203 Grenade Launcher

M203 Grenade Launcher
アメリカ海兵隊第3海兵師団第3海兵連隊第3大隊L中隊(M203)

概要と開発の背景

M203 Grenade Launcherは、1960年代後半にアメリカ合衆国のAAI Corporationが設計開発し、Colt’s Manufacturing Company等で量産された40x46mm低速擲弾を使用するアドオン(小銃下部装着型)単発式擲弾発射器である。ベトナム戦争下のアメリカ軍では、単体運用のM79擲弾発射器が歩兵の火力支援に活用されていたが、M79の射手は副火器として小型拳銃程度しか携行できず、近接戦闘における不意の遭遇戦に対応しにくいという大きな運用上の欠点を抱えていた。この課題を克服するため、アメリカ陸軍は小銃手に小銃と擲弾発射器の両方を同時に保持させるSPIW(特殊目的個人兵器)計画やGLAD(擲弾発射器装着開発)計画を推進した。初期に試作されたColt XM148の課題を改良し、AAI Corporationが提案した設計案が選定され、1969年より「M203」の制式名称で量産および実戦配備が開始された。

構造と技術的特徴

設計上の大きな特徴となっているのが、M16アサルトライフルやM4カービンの銃身下部に直接取り付け、小銃の弾倉(マガジン)をそのまま前部グリップとして活用しながら操作できる合理的なレイアウト構造にある。作動方式には単発・後尾装填(ブリーチロード)方式とスライドオープン(滑動砲身)機構を採用しており、ハンドガード兼用の砲身を前方にスライドさせて薬室を開放し、40x46mm低速擲弾を装填したのち後方へ戻して閉鎖する。撃発メカニズムはシングルアクション方式で、砲身を開閉する一連の動作によって内部のストライカーが自動的にコッキングされる。弾薬には「ハイ・ロー推進システム(高低圧作動原理)」を用いた40x46mm SR弾が使用され、射手への反動負担を抑えつつ十分な飛翔距離を確保している。照準系には、小銃上部やキャリングハンドルに装着するリーフサイトやクアドラントサイトが用いられ、面目標および点目標に対する的確な照準を可能にしている。

運用実績と評価

1969年の導入開始および1970年代初頭のベトナム戦争への実戦投入以来、アメリカ陸軍、海軍、空軍、海兵隊のアメリカ全軍種において標準的な歩兵分隊用アドオン擲弾発射器として定着した。パナマ侵攻、湾岸戦争、アフガニスタン紛争、イラク戦争など、現代のアメリカ軍が介入した主要な戦場へ幅広く配備された。小銃手自らが単発で破片擲弾(M406)、多目的成形炸薬擲弾(M433 HEDP)、照明弾、発煙弾、散弾(M576)などを即座に打ち分けられる極めて高い汎用性が実戦で高く評価された。一方で、滑動砲身のスライド量に限界があるため全長の長い特殊弾薬の装填が困難な点や、シングルアクションゆえの不発時の再撃発の手間、重量バランスの変化といった弱点も指摘された。しかし、カナダ軍(C7/C8小銃向け)やオーストラリア軍をはじめ、世界数十か国の軍・法執行機関で導入・ライセンス生産(Colt Canada等)が行われ、半世紀以上にわたり世界の軍用アンダーバレル擲弾発射器の代名詞として不動の評価を維持した。

Official Name (正式名称)M203 Grenade Launcher
Country of Origin (開発国)アメリカ合衆国
Manufacturer (製造メーカー)Colt / Various
Designed (設計年)1960年代後半に設計・開発が進められ、1967年頃に設計が確立
その後、アメリカ陸軍で1969年頃から運用が開始され、ベトナム戦争末期には実戦投入されるようになった
Primary Operators (主な運用組織)アメリカ合衆国:アメリカ陸軍(M320に移行済みだが一部で限定運用)、アメリカ海兵隊、アメリカ海軍、アメリカ空軍、ネイビーシールズ、デルタフォース、第75レンジャー連隊
オーストラリア:オーストラリア陸軍、特殊空挺連隊
カナダ:カナダ軍
オーストリア:オーストリア軍
バングラデシュ:バングラデシュ軍
ブラジル:ブラジル陸軍
ブルネイ:ブルネイ軍
カメルーン:カメルーン軍
キプロス:国家警備隊、OYK
チェコ:チェコ特殊部隊
エストニア:エストニア国防軍
フランス:フランス軍
ギリシャ:ギリシャ軍
インドネシア:インドネシア国軍、国内ではSPG-1として生産
アイルランド:アイルランド陸軍レンジャーウィング
日本:陸上自衛隊特殊作戦群(M4カービンと併せての限定的な導入)
マレーシア:マレーシア軍、特殊作戦部隊パスカウ
パキスタン:パキスタン陸軍
ポーランド:ポーランド特殊部隊、特にGROM
ポルトガル:特殊行動分遣隊
フィリピン:フィリピン軍、国内でFIC M203として生産
カタール:カタール軍
サウジアラビア:サウジアラビア軍
シンガポール:シンガポール軍
大韓民国:大韓民国陸軍、K201として国産化
スウェーデン:スウェーデン軍、Granattillsats 40 mm Akとして運用
タイ:タイ王国軍
トルコ:トルコ軍
ウクライナ:ウクライナ軍
アラブ首長国連邦:アラブ首長国連邦軍
ベトナム:ベトナム人民軍、国産派生型OPL-40Mを使用
イギリス:イギリス陸軍SAS、イギリス海軍SBS、イギリス海兵隊旅団偵察群などで過去運用実績あり
その他多数(中南米・アフリカ・中東・東南アジア諸国)
Type (種類)擲弾発射器
Caliber (口径)40×46mm
Action (作動方式)Single-shot, pump-action sliding barrel(シングルショット、ポンプアクション、スライド式銃身)
Overall Length (全長)約380 mm
Barrel Length (銃身長)約305 mm
Weight (重量)1.36 kg
Rate of Fire (発射速度)5–7 rpm
Effective Range (有効射程)150 m (point) / 350 m (area)
Feed System (給弾方式)Breech-loaded, single shot

OPERATING FORCES / 運用国・軍種

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画像の引用元
  1. By Lance Corporal Antonio J. Vega, United States Marine Corps – http://www.defenselink.mil/, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=3672917
  2. By Pfc. Zane Ortega – https://www.dvidshub.net/image/5807363/le-battalion-m203-and-mk-19-range, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=115862657
  3. By Cpl. Michelle Reif – https://www.dvidshub.net/image/1829543, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=40931263
  4. By Ministério da Defesa – 12/07/2019 – Operação Formosa, CC BY 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=107843330
  5. By 176th Wing Alaska Air National Guard from Anchorage, Alaska, United States – 160504-Z-MW427-465, CC BY 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=71246052

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