M32 MGL / M32A1 MGL (Mk 14 Mod 0)

M32 MGL / M32A1 MGL (Mk 14 Mod 0)
第6海兵連隊第1大隊アルファ中隊の擲弾兵

概要と開発の背景

M32 MGL および改良型の M32A1 MGL(USSOCOM 制式名: Mk 14 Mod 0)は、1980 年代初頭に南アフリカの Milkor Ltd. が開発した 6 連発グレネードランチャー Milkor MGL をベースとし、アメリカの Milkor USA, Inc. が製造・改修を手掛けた 40 mm 多連装擲弾発射器である。開発および導入の背景には、2000 年代初頭のアメリカ海兵隊(USMC)やアメリカ特殊作戦軍(USSOCOM)において、既存の M203 や M320 などの単発式 40 mm グレネードランチャーでは、市街地戦や近接戦闘(CQB)における連続火力投入に限界があったという運用上の課題が存在した。単発式ランチャーは 1 発射撃するごとに手動で次弾を装填する必要があり、交戦時に密集した目標や遮蔽物背後の危険に対して即座に広範囲を連射制圧することが困難であった。このため、1 人の歩兵で迅速に 6 発の 40 mm 弾薬を連続投射できる手動/ガス連動スプリング駆動式ランチャーが選定され、2005 年に MGL-140 を基とする M32 MGL がアメリカ海兵隊へ導入された。

構造と技術的特徴

構造上の最大の特徴は、事前に手動でスプリングを巻き上げておく 6 連発の回転式シリンダーとダブルアクション機構を組み合わせた半自動リボルビング作動方式にある。トリガーを引くとダブルアクションで撃針が作動して発射され、発射ガスの一部で作動するピストンプラグがシリンダーのロックを一時的に解除し、内蔵スプリングの力でシリンダーが自動回転して即座に次弾がセットされる。前級の M203 等の単発式発射器と比較して、わずか 3 秒足らずで 6 発の 40 mm 弾薬を連続投射できる圧倒的な火力を誇る。フレームやレシーバーには高強度のアルミニウム合金やステンレススチールが使用され、NP3 テフロンニッケルコーティングが施されることで過酷な海洋環境下でも塩害等に対する高い耐久性を発揮する。レシーバー上面やハンドガード周囲には MIL-STD-1913 ピカティニーレールを備え、仰角射撃時の距離補正機能を備えた M2A1 コリメーター照準器を標準装備する。改良型の M32A1 / Mk 14 Mod 0 では、銃身長が従来の 12 インチから 8 インチ(203 mm)へ短縮されたものの構造強度が大幅に強化され、従来の 40×46 mm 低速弾(LV)だけでなく、最大有効射程が大幅に伸びる 40×51 mm 中速弾(MV)の発射性能を獲得している。

運用実績と評価

2006 年にイラク派遣中の第 2 海兵師団第 3 大隊で実戦運用試験が行われた後、M32 MGL はアメリカ海兵隊の全歩兵大隊に制式採用され、主要な歩兵支援火器として集中運用された。続いて 2009 年〜2010 年代には、中速弾(MV)対応で短砲身化された M32A1 が海兵隊に、ならびに Mk 14 Mod 0 の制式名でアメリカ特殊作戦軍(USSOCOM)に配備された。実際の運用(イラク紛争、アフガニスタン紛争等)においては、伏撃を受けた際の即応反撃や、建物・陣地背後に潜む目標に対する即座の曲射支援において極めて高い効果を発揮した。1 人の射手で従来の歩兵分隊数人分に相当する 40 mm 弾薬を短時間で集中集弾させられる機動性と面制圧力が現場で高く評価された。また、40×51 mm 中速弾の使用によって最大有効射程が従来の約 400 m から約 800 m へと倍増し、遠距離の目標へピンポイントで着弾させる精度が具現化された。現在もアメリカ海兵隊や USSOCOM をはじめ、韓国軍、ポーランド軍などの同盟国軍・法執行機関で基幹の多連装発射器アセットとして第一線で現役運用が続けられている。

Official Name (正式名称)M32 MGL / M32A1 MGL (Mk 14 Mod 0)
Country of Origin (開発国)南アフリカ / アメリカ合衆国
Manufacturer (製造メーカー)Milkor USA, Inc. / Abrams Airborne Manufacturing, Inc.
Designed (設計年)ベースとなった原型機(Milkor MGL)の設計年は1980年であり、運用開始(制式採用)年は1983年であるが、米国仕様として改良されたM32 MGLそのものの調達(制式化)年は2005年、部隊での実戦テストおよび運用開始年は2006年であり、さらにバレルを短縮した改良型であるM32A1 MGL(Mk 14 Mod 0)の設計(発表)年は2011年以前、導入年は2014年である
Primary Operators (主な運用組織)アメリカ合衆国:アメリカ海兵隊(M32 MGLおよびM32A1 MGLを分隊支援火器として全般配備)、アメリカ特殊作戦コマンド(USSOCOMにおいて「Mk 14 Mod 0」の制式名で各特殊部隊に配備・運用)
大韓民国(韓国):大韓民国海軍(特殊戦旅団[UDT/SEAL]において、M32A1規格を特殊作戦用の火力支援兵装として公式導入・運用)
タイ:タイ王国海軍(海軍特殊戦コマンド[RTNSWC、通称タイ海軍SEALs]において、M32規格を公式に導入・運用)
ウクライナ:ウクライナ空中強襲軍、およびウクライナ特殊作戦軍(戦闘任務における近接環境用および対ドローン・面制圧用としてM32A1 MGLを導入・運用)
パキスタン:パキスタン陸軍(特殊サービスグループ[SSG]の対テロ部隊、および一般戦闘部隊においてM32A1規格の運用登録が存在)
フィリピン:フィリピン陸軍(各歩兵戦闘部隊において運用)、およびフィリピン海兵隊(海兵隊戦闘部隊における分隊支援火器としてM32A1規格の運用登録が存在)
デンマーク:デンマーク陸軍(憲兵部隊[Military Police]および陸軍特殊作戦部隊であるジェイガー中隊において運用。※データ上M32/M32A1として登録されているが、実態は南アフリカ製原型MGL/Y2規格の運用とされる)
ジョージア:ジョージア陸軍(陸軍特殊作戦部隊および各戦闘部隊において運用。※データ上M32として登録されているが、実態は南アフリカ製原型MGL規格の運用とされる)
Type (種類)Multi-shot revolver grenade launcher (回転輪式多連装擲弾発射器)
Caliber (口径)40x46mm Low Velocity (低初速弾) / 40x51mm Medium Velocity (中初速弾、M32A1のみ対応)
Action (作動方式)Double-action trigger / Gas plug operating index mechanism (ダブルアクション・ガス圧作動式シリンダー回転機構)
Overall Length (全長)M32 MGL:28 inches (711mm) ストック折り畳み・縮小時 / 32 inches (812mm) ストック展開時
M32A1 MGL:25.5 inches (648mm) ストック縮小時 / 29.1 inches (739mm) ストック展開時
Barrel Length (銃身長)12 inches (305mm、M32 MGL) / 8.0 inches (203mm、M32A1 MGL)
Weight (重量)13.0 lbs (5.9 kg、M32 MGL空虚重量) / 14.6 lbs (6.6 kg、M32A1 MGL光学照準器なし空虚重量)
Rate of Fire (発射速度)6 rounds in 3 seconds (3秒以内に6発、実効サイクル速度:3 rounds/sec)
Effective Range (有効射程)375m (Low Velocity弾使用時) / 800m (Medium Velocity弾使用時、M32A1のみ)
Feed System (給弾方式)6-round revolving swing out-type cylinder (6連発回転式スイングアウトシリンダー)

OPERATING FORCES / 運用国・軍種

PR:関連商品

画像の引用元
  1. By Cpl. Michelle Reif – https://www.dvidshub.net/image/1829547, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=40931281
  2. By Cpl. Eric C. Schwartz – This image was released by the United States Marine Corps with the ID 070604-M-5936S-002 (next).This tag does not indicate the copyright status of the attached work. A normal copyright tag is still required. See Commons:Licensing.العربية ∙ বাংলা ∙Bahasa Indonesia ∙Bahaso Jambi ∙Deutsch ∙ Deutsch (Sie-Form) ∙ English ∙ español ∙ euskara ∙ فارسی ∙ français ∙ italiano ∙ 日本語 ∙ 한국어 ∙ македонски ∙ മലയാളം ∙ Plattdüütsch ∙ Nederlands ∙ polski ∙ پښتو ∙ português ∙ русский ∙ slovenščina ∙ svenska ∙ Türkçe ∙ українська ∙ 简体中文 ∙ 繁體中文 ∙ +/−, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=22999347
  3. By Sgt. Emmanuel Ramos – https://www.dvidshub.net/image/1838423, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=39467050
  4. By Cpl. Justin Updegraff – https://www.dvidshub.net/image/2689784/exercise-tradewinds, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=49770280

上部へスクロール