H&K GMG (Grenade Machine Gun)

H&K GMG (Grenade Machine Gun)
イギリス空軍の兵士、Land Rover WMIK(ディフェンダー)にL134A1 GMGが装備されている

概要と開発の背景

H&K GMG(Grenade Machine Gun / ドイツ軍名称: GMW)は、1992年から1995年にかけてドイツの Heckler & Koch 社が開発し、1996年に同国陸軍(ドイツ連邦軍)へ導入された40mm口径の自動擲弾銃である。開発の背景には、前線部隊が直面する遠距離の陣地や遮蔽物裏に潜む目標に対し、従来の12.7mm重機関銃では障害物裏への効果が限られ、軽迫撃砲では機動性や即応性に制約が生じるという作戦上の空白が存在した。アメリカ軍で先先行配備されていた Mk19 自動榴弾銃などの運用実績を踏まえつつ、より軽量で取り回しやすく、左右両側からの給弾選択や過酷な環境下での優れた作動信頼性と安全性を備えた次世代の標準分隊・車載用自動支援火器として本機の開発と導入が推進された。

構造と技術的特徴

構造上の最大の特徴は、特別な工具を用いることなくパーツの配置を入れ替えるだけで、左右どちら側からでも32発入り分解式リンクベルトを装填できる左右切り替え可能な給弾機構を備えている点にある。作動方式には API(Advanced Primer Ignition)ブローバック機構とオープンボルト発射構造を採用しており、ボルトが完全前進する手前で着火させることで後座エネルギーを相殺し、連続射撃時の強烈な反動と本体の跳ね上がりを大幅に軽減している。本体には軽量高強度アルミニウム合金が多用され、単体重量を28.8kgに抑えた設計思想を持つ。自動ボルトセーフティと手動セーフティを組み合わせた二重の安全構造により不測の誤作動を排除しているほか、機構部上部には Picatinny レールマウントを備え、標準のラダーサイトやドットサイトに加え、ACOG 光学照準器や射撃統制システム(FCS)の装着に対応している。

運用実績と評価

1996年の制式化以降、H&K GMG は開発国であるドイツ連邦軍をはじめ、イギリス軍(L134A1 の制式名称で導入)、カナダ軍、オランダ軍、アイルランド軍、ポルトガル軍など、NATO加盟国を中心とする世界各国の軍組織において標準自動擲弾銃として幅広く導入された。実際の運用においては、アフガニスタン紛争における基地防御や、イギリス軍の WMIK ランドローバーおよび各種装甲車輌のピントルマウント・車載火器として第一線へ投入された。従来型の Mk19 と比較して、左右両方から給弾可能な柔軟性、制御しやすい低反動と安定した着弾精度、および容易な点検・分解整備性が前線部隊から高く評価された。近年では無人遠隔射撃用リモートウェポンステーション(RWS)への組み込み展開も行われており、現代の歩兵・車載用自動榴弾アセットの最高峰として第一線で運用が続けられている。

Official Name (正式名称)H&K GMG (Grenade Machine Gun)(ドイツ軍制式名:GMW または GraMaWa[Granatmaschinenwaffe]、イギリス軍制式名:L134A1、カナダ軍制式名:C16 CASW)
Country of Origin (開発国)ドイツ
Manufacturer (製造メーカー)Heckler & Koch
Designed (設計年)Heckler & Koch社GMG(Grenade Machine Gun)の設計開発は1992年にプライベート・ベンチャー(自主開発)プロジェクトとして開始され、1992年から1995年にかけて設計が行われた。その後、1995年にドイツ連邦軍での試験運用(トライアル)が開始され、1990年代後半(主力部隊への制式配備開始および量産移行は1996年以降)に正式な運用が開始されている。
Primary Operators (主な運用組織)ドイツ:ドイツ連邦軍(主力装甲車FennekやDingo 2、Boxer等に遠隔操作式兵器ステーション[FLW200]等を介して搭載、または三脚仕様の「GMW」として陸軍の各歩兵・偵察部隊等で大規模に運用)
アメリカ合衆国:アメリカ陸軍特殊作戦コマンド(USASOC)、アメリカ海軍特殊戦コマンド(NSWC / NAVSPECWARCOM)、アメリカ空軍特殊作戦コマンド(AFSOC)、アメリカ海兵隊特殊作戦コマンド(MARSOC)(USSOCOM傘下の各特殊作戦部隊において、火力支援用・車両マウント用兵器として運用)
イギリス:イギリス陸軍(制式名「L134A1」として、Land Rover WMIKなどの各種戦闘車両や地上三脚仕様で運用)
カナダ:カナダ軍(制式名「C16 CASW [Close Area Suppression Weapon]」として、Rheinmetall Defence Canadaにより多国籍ライセンス生産されたモデルを各歩兵部隊で運用)
フランス:フランス陸軍(新型装輪装甲車GriffonやServal、高機動車Sherpaなどの遠隔操作式兵器ステーション[Hornet RCWS]にマウントして運用)
ベルギー:ベルギー陸軍(FOX高機動急速反応車両や中型戦術車両の車載兵器としてマウント運用)
オランダ:王立オランダ陸軍(偵察車Fennekや戦術車両Defenture Vector、装甲回収車等に搭載して運用)
ルクセンブルク:ルクセンブルク陸軍(主力高機動車Dingol 2や各種装甲偵察車両のRWSにマウントして運用)
デンマーク:デンマーク軍(新型装輪装甲車Piranha VやSupacat HMT 400等のKongsberg Protector RWSにマウントして運用)
ノルウェー:ノルウェー軍(歩兵戦闘車CV90やM113装甲兵員輸送車等の兵器ステーションで運用)
スイス:スイス軍(装甲車Piranhaの兵器ステーションに搭載して運用)
フィンランド:フィンランド国防軍(独自制式名「40 KRKK 2005」として、RG32MやXA-185/XA-360装甲車等の各種ウェポンステーションにマウントして運用)
ポーランド:ポーランド軍(特殊部隊軍[Wojska Specjalne]の各戦術ユニット、および一部の地上・車両部隊で運用)
ポルトガル:ポルトガル陸軍、ポルトガル海兵隊、国家共和国警備隊(GNR)
スロベニア:スロベニア軍(装甲車Valuk 6×6やPatria 8×8等のKongsberg Protector 151にマウントして運用)
ギリシャ:ギリシャ軍(陸軍等の各種地上部隊、および沿岸警備部隊の火力支援兵器として運用)
キプロス:キプロス国家警備隊(特殊部隊および装甲車両の火力支援用兵器として運用)
アイルランド:アイルランド陸軍(装甲兵員輸送車Mowag Piranha APCやRG32M PVのRWSに搭載して運用)
ラトビア:ラトビア軍(地上部隊の火力支援兵器、および軽装甲車両の車載火器として運用)
リトアニア:リトアニア軍(リトアニア国防軍の各歩兵・戦闘部隊、および車両搭載用として運用)
ヨルダン:ヨルダン軍(特殊作戦部隊および王室警護隊の一部戦術車両にマウントして運用)
ニュージーランド:ニュージーランド軍(ニュージーランド陸軍等の火力支援火器として運用)
マレーシア:マレーシア海軍(精鋭特殊部隊「PASKAL [Pasukan Khas Laut]」において運用)
スリランカ:スリランカ陸軍(主力戦車等の車載兵器)、スリランカ海軍(高速戦闘艇の艦載兵器としてマウント運用)
ウクライナ:ウクライナ軍(ドイツ政府による軍事援助パッケージとして公式供与された100挺や、オランダ等から供与されたFennek偵察車等の車載兵器として前線に流入し、国防省情報総局[GUR]の国際連隊などの前線部隊で実戦運用)
Type (種類)自動擲弾発射器(Automatic grenade launcher / 重火器・中距離支援兵器)
Caliber (口径)40×53mm HV(High Velocity:高初速てき弾)
Action (作動方式)ブローバック方式(Advanced Primer Ignition[API]型ブローバック)、オープンボルト射撃
Overall Length (全長)1,090 mm(HK USAのカタログデータ等ではマウントパーツ等の差異により 1,180 mm との記載もあり。車両マウント・三脚運用専用の重火器であるため、伸縮ストック等の展開・折り畳み機構の概念自体が存在しない)
Barrel Length (銃身長)415 mm(HK USAのカタログデータ等では 577 mm と記載される場合もある)
Weight (重量)28.8 – 29.0 kg(弾薬、三脚、マウント等のアクセサリーを含まない本体のみの空重量)
Rate of Fire (発射速度)約 340 – 350 rpm
Effective Range (有効射程)1,500 m(有効戦闘射程) / 最大射程 約 2,200 m
Feed System (給弾方式)32連ベルトリンク給弾(左右両側からの給弾方向切り替えに対応。32発入りAmmo Boxを使用)

OPERATING FORCES / 運用国・軍種

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画像の引用元
  1. By Efren Lopez, U.S. Air Force – http://www.defenseimagery.mil; VIRIN: 100102-F-9171L-668, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=8973802
  2. By Sgt. Alexandra Hulett – DVIDS Hub, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=130918789
  3. By MKFI – Own work, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=59834956
  4. By Kārlis Dambrāns from Latvia – Silver Arrow 2016, Adazi Training Area, CC BY 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=52934930
  5. By http://www.marines.mil/unit/mcbquantico/PublishingImages/2005/guntech_099.jpg, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=23132524

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