

概要と開発の背景
Remington Model 870(レミントン M870)は、1950年にアメリカの防衛・大手火器メーカーである Remington Arms 社(設計者: L. Ray Crittendon, Phillip Haskell, Ellis Hailston, G.E. Pinckney 等)が開発し、同年に民間および市場へ導入されたポンプアクション式散弾銃である。開発の背景には、同社がそれまで製造していた主力散弾銃である Remington Model 31 や、競合他社である Winchester Model 12 などの旧式ポンプアクション散弾銃が抱えていた、製造工程の複雑さによる高コストや分解・整備性の課題が存在した。第二次世界大戦後の技術革新に伴い、大量生産に適したプレス成形部品の導入と作動信頼性の飛躍的な向上、および民間での狩猟・スポーツ射撃から軍・警察機関の近接防御・破砕用途まで多目的に対応できる低コストで堅牢な標準散弾銃の獲得ニーズに応える形で本銃が開発された。
構造と技術的特徴
構造上の最大の特徴は、レシーバー(機関部)に削り出しの一体型スチール(鋼鉄)製ボディを採用し、強固な作動耐久性と堅牢性を確保している点にある。ポンプアクション機構の中核として、フォアエンド(前部スライドハンドル)とボルトを結ぶ左右2本のデュアル・アクションバー(二重作動バー)構造を標準統合している。これにより、片側のバーのみに荷重がかかってねじれや装填不良(かみ込み)を起こす事態を回避し、過酷な作動環境下においても常に滑らかで確実な装填・排莢動作を実現する。作動方式は手動のポンプアクションであり、銃身下部のチューブ型マガジンへ装弾する構造を持つ。ライバル機である Mossberg 500 等と比較してスチール製レシーバーによる高い構造耐久性を誇るほか、工具なしで容易に銃身や各種アタッチメントを組み替えられるモジュール性とカスタマイズ性を兼ね備えた設計思想を有する。
運用実績と評価
1950年の発売開始以降、Remington Model 870 はアメリカ陸軍、アメリカ海兵隊(Mark 1 仕様等)、アメリカ海軍、アメリカ空軍(M870 MCS等)、および各国の法執行機関(警察SWAT等)において標準散弾銃として制式配備された。日本においても陸上自衛隊の特殊作戦群や警察の特殊部隊(SIT/SAT)、海上保安庁の特別警備隊(SNT)などで導入されている。実際の運用においては、ベトナム戦争でのジャングル近接戦闘からイラク戦争・アフガニスタン紛争での市街地突入、扉の鍵・蝶番の無効化(ブリーチング用途)、ならびに暴動鎮圧時の非致死性弾薬の発射アセットとして投入された。2009年には累計生産数が1,000万丁を突破し、史上最も多く生産・販売されたポンプアクション散弾銃として世界記録を保持している。高耐久なスチールレシーバー、圧倒的な動作信頼性、および無数のカスタムパーツの存在により、現在も世界中の治安機関および民間市場で不動の地位を築いている。
| Official Name (正式名称) | Remington Model 870 (M870) |
| Country of Origin (開発国) | アメリカ合衆国 |
| Manufacturer (製造メーカー) | Remington Arms(現 RemArms) |
| Designed (設計年) | Remington Model 870の設計年は1949年、運用開始(市場導入)は1950年 |
| Primary Operators (主な運用組織) | アメリカ合衆国:アメリカ陸軍(標準型および各制式仕様:M870)、アメリカ海軍(特殊部隊「Navy SEALs」を含む艦艇ガード・航空部隊)、アメリカ海兵隊(かつて「M870 Mark 1」として制式採用、現行部隊でもブリーチング用に保有)、アメリカ空軍(セキュリティフォース)、アメリカ沿岸警備隊、連邦捜査局(FBI)、秘密検察局(USSS)、国境警備隊(USBP)、内国歳入庁(IRS)、連邦教育省(ED)、および各州・地方自治体の警察特殊部隊(SWAT)等の法執行機関全般 イギリス:イギリス陸軍・イギリス海軍・イギリス空軍(イギリス特殊部隊「UKSF」においてドアブリーチング用火器「L74A1」の制式名で運用)、北アイルランド警察(PSNI)、各地方警察の特別銃器担当官(SFO) 日本:陸上自衛隊(特殊作戦群)、警察庁(各都道府県警察の刑事部特殊班[SIT]および特殊急襲部隊[SAT])、海上保安庁(特別警備隊[特警隊]) オーストラリア:オーストラリア国防軍(各軍種で運用) オーストリア:オーストリア連邦軍、連邦警察特殊部隊(EKOコブラ) バングラデシュ:バングラデシュ軍、ダッカ首都警察SWAT ベルギー:ベルギー軍、連邦警察特殊部隊(CGSU) ブラジル:ブラジル陸軍(第1特殊作戦大隊[BFEsp]) カナダ:カナダ軍、王立カナダ騎馬警察(RCMP)、カナダ沿岸警備隊、オンタリオ州警察(OPP)、ロンドン警察(LPS)、およびカナダ矯正局(CSC) フィンランド:フィンランド陸軍(「pumppuhaulikko 12 HAUL REM 870」の制式名称で運用) ドイツ:ドイツ連邦軍(海軍特殊部隊「KSM」等を含む)、連邦警察特殊部隊(GSG 9)、各州警察特別出動班(SEK) ギリシャ:ギリシャ警察特殊部隊(EKAM) アイルランド:アイルランド陸軍(陸軍レンジャー実戦部隊[Army Ranger Wing])、アイルランド警察特殊探偵部隊(SDU)、緊急対応部隊(ERU) イスラエル:イスラエル国防軍(IDF)、警察国境地域特務部隊(YAMAM) ルクセンブルク:大公国警察特殊部隊(Unité Spéciale de la Police) マレーシア:マレーシア軍(陸軍特殊部隊「Grup Gerak Khas」、海軍特殊部隊「PASKAL」、空軍特殊部隊「PASKAU」)、ジョホール軍(JMF Elite Forces)、マレーシア国家警察(Pasukan Gerakan Khas、Unit Gempur Marin、Grup Taktikal Khas) ポルトガル:ポルトガル海軍(海兵隊[Portuguese Marine Corps]) シエラレオネ:シエラレオネ警察(2001年の紛争終結以降に調達) スウェーデン:スウェーデン国防軍(「Förstärkningsvapen 870」の制式名称で運用) スイス:スイス軍(「Mehrzweckgewehr 91; MzGw 91」の制式名称で運用) 大韓民国:大韓民国海軍(特殊戦旅団[ROKN UDT/SEAL]) 台湾:台湾沿岸警備隊、台湾予備陸軍(一部部隊でT85散弾銃等のローカルモデルと併せて保有) |
| Type (種類) | ショットガン(散弾銃) |
| Caliber (口径) | 12 gauge, 16 gauge, 20 gauge, 28 gauge, .410 bore |
| Action (作動方式) | ポンプアクション(Pump action) |
| Overall Length (全長) | 946 mm – 1,245 mm(37.25 – 50.5 inches) (銃身やストックの仕様による。なお、一般的な固定銃床を採用している標準モデルのため「ストック展開時/折り畳み時」の区分はなく固定値となるが、一部の警察・軍用折り畳みストック仕様の数値は公式データとして一元化されていないため不明) |
| Barrel Length (銃身長) | 457 – 762 mm(18 – 30 inches) |
| Weight (重量) | 3.2 – 3.6 kg(7.0 – 8.0 pounds) |
| Rate of Fire (発射速度) | 手動でコッキングを行うポンプアクション式 |
| Effective Range (有効射程) | 約 23 m(バックショット弾時) / 約 68 – 91 m(スラッグ弾時) |
| Feed System (給弾方式) | 4 – 8連チューブラーマガジン(管状内蔵弾倉) (基本モデルは4発、チューブ延長により最大8発。なお、着脱式箱型弾倉を使用するモデルは別派生型の「870 DM」となる) |
OPERATING FORCES / 運用国・軍種
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画像の引用元
- By Justin Young – https://www.dvidshub.net/image/661579/operation-nahr-e-saraj, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=119305103
- By AMISOM Public Information – Flickr, CC0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=41438064



