Trojan AEV(Armoured Engineer Vehicle)

Trojan AEV(Armoured Engineer Vehicle)
モシュタラク作戦時のイギリス陸軍王立工兵隊

概要と開発の背景

Trojan Armoured Engineer Vehicle(Trojan AVRE)は、2000年代初頭にイギリスのVickers Defence Systems(2004年にBAE Systemsが買収、現 Rheinmetall BAE Systems Land)によって開発された装甲戦闘工兵車である。イギリス陸軍が長年運用していたChieftain AVRE(チーフテンAVRE)などの旧式施設工兵車両の老朽化と機動性不足に伴い、主力戦車Challenger 2やWarrior歩兵戦闘車で構成される機甲部隊へ遅滞なく追従できる新型車両の獲得を目指す「Future Engineer Tank」プロジェクトとして開発が始まった。2001年に開発・製造契約が締結され、計33両が製造された。本車は、前線の過酷な直接照準射撃エリアにおいて敵の地雷原や人工障害物を迅速に排除し、味方戦闘部隊の移動経路を確保(ブリーチング)することを主要目的として設計された。2007年の演習参加を経て、イギリス陸軍王立工兵隊(Royal Engineers)へ正式に配備された。

構造と技術的特徴

本車は、Challenger 2主力戦車の車体をベースとして設計されており、砲塔に代えて多機能な油圧エキスカベーターアーム(吊り上げ能力6.5トン、1立方メートルバケット装着)を車体右前に装備する。車体前部にはドーザーブレードまたは地雷処理用プラウを装着可能であり、さらに車内からのリモート操作で発射可能なロケット推進式地雷処理システム「Python」の爆破ホースを伸長させることで、地雷原に幅7メートル・長さ230メートルの安全通路を短時間で展開できる。パワートレインには最高出力1,200馬力を発揮するPerkins CV12-8A V12ディーゼルエンジンとDavid Brown TN54変速機、油気圧サスペンションを採用し、全備重量62.5トンでありながら整地で最高59 km/h、不整地で40 km/hの機動力を有する。車体構造はChallenger 2と同等水準の重装甲を備え、地雷爆風耐性やCBRN防護装置を標準装備するほか、車内から遠隔操作可能な7.62mm L7A2汎用機関銃を備える。前級のChieftain AVREと比較して掘削作業効率、機動性、防御性能、およびシステム自律性が格段に進化している。なお、Trojan の後部などに搭載されているパイプの束は、対戦車壕や掘り割り(溝)、小さな川などを速やかに埋めて車両の通路を確保するための「パイプ・ファシーン(Fascine / 粗朶:そだ)」と呼ばれる資材である。

運用実績と評価

Trojanは、イギリス陸軍の王立工兵隊(Royal Engineers)において計33両が制式採用され、主要な機甲工兵アセットとして運用されている。2009年にはアフガニスタンでの作戦(ヘリック作戦および2010年のモシュタラク作戦など)へ実戦投入され、即席爆発装置(IED)や複雑な地雷原、障壁が多発する環境下で迅速な進路開削を行い、後続部隊の安全な前進を支えた。カナダのサフィールド陸軍訓練基地(BATUS)にも常駐しており、機甲戦闘団の大規模演習において日常的に運用されている。同一のChallenger 2車体をベースに開発された架橋戦車Titan AVLBと主要コンポーネントを共通化しているため、部品調達や現場での後方支援・維持整備コストの削減に大きく寄与している。強固な防護力と多機能な施設作業能力を活かし、現代の多領域作戦における高脅威環境下の障害突破車(Assault Breacher)として高く評価されており、現在もイギリス陸軍の主力重装甲工兵アセットとして第一線で運用が続けられている。

Official Name (正式名称)Trojan AEV(Armoured Engineer Vehicle)(Trojan Armoured Engineer Vehicle / Armoured Vehicle Royal Engineers: AVRE)
Country of Origin (開発国)イギリス
Manufacturer (製造メーカー)BAE Systems Land & Armaments (現 Rheinmetall BAE Systems Land / RBSL)
Designed (設計年)2001年(契約締結および基本設計開始、2000年代初頭)に設計・開発され、2007年(2006年末に公開納入、2007年に部隊運用・演習開始)にイギリス陸軍での運用が開始された。
Primary Operators (主な運用組織)イギリス:イギリス陸軍(ロイヤル・エンジニアズ(王立工兵連隊/Royal Engineers)において重装甲戦闘工兵車(AEV/AVRE)として33台が配備・現役運用)
Crew / Capacity (乗員および兵員輸送数)乗員 3名 (Commander, Driver, Operator / Engineer)
Combat Weight (戦闘重量)戦闘重量 (Combat Weight / Fully Equipped Weight): 約 62,500 kg (62.5 tonnes / 68.9 short tons / 137,789 lbs)
車両自重 (Empty Weight): 約 57,300 kg (57.3 tonnes / 63.2 short tons / 126,325 lbs)
Dimensions (寸法: 全長/全幅/全高)L (全長): 車体長: 約 8.30 m – 8.95 m (8,300 mm – 8,950 mm / 326.8 in – 352.4 in / 27.2 ft – 29.4 ft) / マインプラウ装着時: 約 11.5 m (11,500 mm / 452.8 in / 37.7 ft)
W (全幅): 車体幅: 約 3.50 m – 3.51 m (3,500 mm – 3,510 mm / 137.8 in – 138.2 in / 11.5 ft) / 追加装甲装着時: 約 4.20 m (4,200 mm / 165.4 in / 13.8 ft)
D (全高): 約 2.50 m – 3.04 m (2,500 mm – 3,040 mm / 98.4 in – 119.7 in / 8.2 ft – 10.0 ft)
Armor (装甲):
Challenger 2 主力戦車シャーシベースの溶接スチール・モジュール装甲 (Dorchester 複合装甲技術準拠) / 各種追加装甲パッケージ (Applique Armor) 装着可能
Armor (装甲の詳細: 複合装甲、ERA、APSの有無)Challenger 2 主力戦車シャーシベースの溶接スチール・モジュール装甲 (Dorchester 複合装甲技術準拠) / 各種追加装甲パッケージ (Applique Armor) 装着可能 ※複合装甲: あり (Dorchester / Modular Composite Armor) / 爆発反応装甲(ERA): なし
Main Armament (主武装)None
Secondary Armament (副武装)1x 7.62mm L7A2 GPMG (General Purpose Machine Gun) [自衛用機関銃 / エンクロージャー・遠隔操作型 / RWS 装着可能]
76mm Smoke Grenade Launchers (スモークグレネード発射機)
Engine (エンジン出力 hp/kW)Perkins CV12-8A / CV12-6A 26.1-litre V12 Turbocharged Diesel Engine
出力: 895 kW (1,200 hp / 1,200 bhp) [※トランスミッションは David Brown TN54 エピサイクリック自動変速機 (前進6段/後進2段)]
Max Speed (最高速度: 整地/不整地)Paved (整地): 約 59 km/h (36.6 mph)
Unpaved (不整地): 約 40 km/h (25 mph)
Operational Range (航続距離)Paved (整地): 約 450 km – 500 km (280 miles – 310 miles)

OPERATING FORCES / 運用国・軍種

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画像の引用元
  1. By Photo: MoD/Crown Copyright/MOD, OGL v1.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=26910420
  2. By Airwolfhound from Hertfordshire, UK – Trojan, CC BY-SA 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=154349961
  3. By Photo: Steve Dock/MOD, OGL v1.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=26920814
  4. By Photo: Sgt Rupert Frere RLC/MOD, OGL v1.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=26896868

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