
概要と開発の背景
F-5N/F Tiger IIは、2000年代初頭にアメリカ合衆国のNorthrop Corporation(現Northrop Grumman)が製造したF-5E/Fをベースとし、アメリカ海軍およびアメリカ海兵隊向けに再整備・近代化改修されたアグレッサー(仮想敵機)演習用戦術戦闘機である。アメリカ海軍や海兵隊では、異機種間空中戦闘訓練(DACT)において敵機を模したアグレッサー機としてF-5E/Fを長年運用してきたが、機体の老朽化と飛行時間の累積に伴う機体寿命が大きな課題となっていた。この更新ニーズに対応するため、アメリカ海軍は2000年代初頭にスイス空軍から低飛行時間で状態の良好な退役F-5E/Fを購入し、構造補強とアビオニクスの刷新を施して「F-5N(単座型)」および「F-5F(複座型)」として再導入した。さらに2020年代にもスイス空軍からの追加購入機体に対し、統合デジタルアビオニクスを導入する大規模改修(F-5N+/F+)が実施されている。
構造と技術的特徴
構造上の最大の特徴は、小型軽量なエアフレームと優れた機動性を備えた原型のF-5E/F構造を維持しつつ、現代のアグレッサー運用に最適化された最新アビオニクスを統合している点にある。パワートレインにはGeneral Electric製J85-GE-21Cターボジェットエンジンを2基搭載し、アフターバーナー使用時に高い推力重量比を発揮する。初期改修のF-5NではAN/APG-69レーダーやLN-260 INS/GPS統合航法装置、暗視ゴーグル対応コックピットが導入された。さらに最新の改修型(F-5N+/F+)では、Tactical Air SupportおよびGarmin社との提携により、Garmin G3000統合フライトデッキ(大型エリアディスプレイやタッチスクリーン)や合成視認技術が組み込まれた。このコンパクトな機体と最新アビオニクスの組み合わせにより、F/A-18やF-35といった第一線機に対し、レーダー反射断面積が小さく高機動な小型脅威機を低コストで再現できる技術的優位性を確保している。
運用実績と評価
2003年のF-5N配備開始以降、アメリカ海軍の第13戦闘捜索・アグレッサー飛行隊(VFC-13)や第111戦闘捜索・アグレッサー飛行隊(VFC-111)、アメリカ海兵隊の第401海兵戦闘訓練飛行隊(VMFT-401)等に配備・運用されている。TOPGUN(アメリカ海軍海戦法正規学校)やWTI(海兵隊航空武器・戦術インストラクターコース)などの高度な対抗部隊演習において、パイロットの空対空戦闘技術向上に直接貢献している。機体の小型さと軽快な運動性能を生かし、ソ連製MiG-21をはじめとする脅威機の戦術や飛行特性を的確に模擬できる点が高く評価された。最新のF-5N+/F+への改修を経たことで、老朽化や部品枯渇の課題を解決しつつ、極めて優れたコストパフォーマンスで現代の高度な空戦シナリオに対応する不可欠なアグレッサーアセットとして確固たる立ち位置を維持している。
| Official Name (正式名称) | F-5N/F Tiger II |
| Country of Origin (開発国) | アメリカ合衆国 |
| Manufacturer (製造メーカー) | Northrop |
| Designed (設計年) | 原型となるF-5 Tiger IIが1960年代後半にNorthropによって設計され、F-5Nは2000年代初頭にアメリカ海軍向けアグレッサー機として近代化改修された。F-5Nは2003年頃からアメリカ海軍で運用が開始され、F-5F複座型も訓練支援用として継続運用されている |
| Primary Operators (主な運用組織) | アメリカ合衆国:アメリカ海軍(戦闘機複合飛行隊〔VFC〕:VFC-13 “Saints”、VFC-111 “Sun Downers”/海軍戦闘兵器学校〔TOPGUN〕支援)、アメリカ海兵隊(海兵戦闘攻撃訓練飛行隊〔VMFT〕:VMFT-401 “Snipers”)※F-5N/F-5F スイス:スイス空軍 ※旧F-5E/F運用国(F-5N供与元) ブラジル:ブラジル空軍 ※F-5EM/FM(近代化型) 台湾:中華民国空軍 ※RF-5E/F-5F 韓国:大韓民国空軍 ※KF-5E/F シンガポール:シンガポール空軍 ※F-5S/T タイ:タイ空軍 ※F-5TH チリ:チリ空軍 ※Tiger III Plus メキシコ:メキシコ空軍 ※F-5E/F チュニジア:チュニジア空軍 ※F-5E/F サウジアラビア:サウジアラビア空軍 ※F-5E/F ホンジュラス:ホンジュラス空軍 ※F-5E/F イラン:イラン空軍 ※Azarakhsh/Saeqehなど派生型含む モロッコ:モロッコ空軍 |
| Crew (乗員) | F-5N 1名 / F-5F 2名 |
| Dimensions (寸法):全長、全幅(翼幅)、全高 | L: 14.45m / W: 8.13m / H: 4.08m |
| Empty / Max Takeoff Weight (自重 / 最大離陸重量) | 4,349 kg / 11,214 kg |
| Powerplant (エンジン):型式、推力 | 2x GE J85-GE-21B (5,000 lbf each) |
| Max Speed (最大速度):マッハ表記、高度別の速度 | Mach 1.63 / 1,730 km/h |
| Combat Range (戦闘行動半径) / Ferry Range (航続距離) | 1,400 km |
| Service Ceiling (実用上昇限度) | 51,800 ft(15.788 km) |
| Hardpoints (ハードポイント):ミサイルや爆弾の搭載能力 | 5 stations (Training pods) |
| Fixed Armament (固定武装):機関砲の口径、弾数 | 2x 20mm M39A2 |
OPERATING FORCES / 運用国・軍種
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画像の引用元
- By Lance Cpl. Ashley Phillips – https://media.defense.gov/2017/Feb/07/2001695707/-1/-1/0/170125-M-PL134-005.JPG, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=119407579












