
BGM-71 TOWは、アメリカのヒューズ・エアクラフト社が開発し、現在はレイセオン社が製造を担う世界で最も広く普及している対戦車ミサイルシステムである。名称は「発射筒から発射され、光学的に追跡され、有線で誘導される」という特徴の頭文字に由来する。誘導方式には半自動指令照準線一致誘導(SACLOS)を採用しており、射手が照準器で目標を捉え続けることで、有線ワイヤーを介して飛行制御を行う。歩兵による三脚架での地上運用のほか、装甲車への車載や攻撃ヘリコプターへの搭載など多様なプラットフォームに対応する。1970年の生産開始以来、長年にわたり弾頭や誘導装置の改良が続けられ、数多くの西側諸国で主力的対戦車火力として配備・実戦運用されている。
| Official Name (正式名称): | BGM-71 TOW |
| Country of Origin (開発国): | アメリカ合衆国 |
| Manufacturer (製造メーカー): | Raytheon (※開発当初は Hughes Aircraft Company) |
| Designed (設計年): | 1963年から1968年にかけて地上およびヘリコプター搭載の双方に対応する形で進められ、1968年の試作試験契約とアメリカ陸軍での運用試験を経て1970年に制式化され、同年から地上部隊等への配備に伴う正式な運用を開始 |
| Primary Operators (主な運用組織): | アメリカ合衆国:アメリカ陸軍(各歩兵旅団戦闘団(IBCT)の歩兵大隊・対戦車小隊等)、アメリカ海兵隊(LAV-AT対戦車装甲車運用部隊等) ウクライナ:ウクライナ陸軍(※2022年以降に米国から大量供与、M1134ストライカーATGM等に車載) 台湾(中華民国):中華民国陸軍(各機械化歩兵旅団の反装甲中隊等)、中華民国海軍陸戦隊 サウジアラビア:サウジアラビア陸軍、サウジアラビア国家警備隊(SANG)(※LAV-25(AT)等に車載) イスラエル:イスラエル国防軍(陸軍:歴史的に各種装甲車や歩兵対戦車班で広範に運用) イラン:イランイスラム共和国軍(陸軍、航空部隊のAH-1J等)、イスラム革命防衛隊(IRGC)(※革命前の米国製TOWのほか、国内で密かにリバースエンジニアリングして量産した独自の無許可コピー派生品「トゥーファン(Toophan / 1〜11型)」を基幹対戦車戦力として全軍運用) ヨルダン:ヨルダン陸軍(※主力普通科部隊、ハンヴィーやM113等の車載運用) レバノン:レバノン軍(陸軍:対戦車大隊等、地上設置三脚型および各種車両搭載型) モロッコ:モロッコ王立陸軍(※歩兵部隊の主力重対戦車火器、M41 ITASシステムや最新のBGM-71-4B-RF無線誘導型を調達・配備) オマーン:オマーン王立陸軍(※地上三脚架、戦闘プラットフォームにて運用) タイ:タイ王国陸軍(※各歩兵師団の対戦車班、および軽装甲車両等に車載) パキスタン:パキスタン陸軍(※TOW-2シリーズを大量導入、また公式な国際派生品として、パキスタン国営のDEPO(防衛輸出促進組織)がライセンス生産を行うTOWの派生型「バクター・シカン(Baktar-Shikan)」を陸軍部隊に広く配備・運用) バーレーン:バーレーン陸軍(※TOW-2Bシリーズを含むシステムを地上・車載でアクティブ運用) クウェート:クウェート陸軍(※機械化歩兵部隊、デザート・ウォーリアIFV等への車載) チュニジア:チュニジア陸軍(※地上部隊のほか、SA-342ガゼル等の攻撃ヘリコプター搭載型) トルコ:トルコ陸軍(※装甲兵員輸送車、ACV-15対戦車車両のランチャー、または地上歩兵部隊) エジプト:エジプト陸軍(※米国の軍事援助に基づき、数百基規模の発射機と弾薬を歩兵・車載部隊に配備) コロンビア:コロンビア陸軍(※対ゲリラ戦および装甲車両対策として地上三脚・車載システムを運用) ポルトガル:ポルトガル陸軍(※M113装甲車搭載のM901 ITV(改良型TOW車両)などの機械化歩兵部隊) ボツワナ:ボツワナ国防軍(陸軍:機動部隊の重火力対戦車装備として配備) ケニア:ケニア陸軍(※50MDヘリコプター搭載用のヘリTOW、および地上発射機型を運用) エチオピア:エチオピア国防軍(陸軍:歴史的な調達ルートに基づき、初期の地上展開型を少数を配備) 中央アフリカ:中央アフリカ共和国軍(※防衛データベース上の売却記録に基づく保有) ルクセンブルク:ルクセンブルク陸軍(※独自の対戦車班向けに最小規模の数を配備・運用) カナダ:カナダ陸軍(※地上三脚用、およびM113装甲車ベースのTOWアンダーアーマー(TUA)車両等で長年運用) イギリス:イギリス陸軍(※陸軍航空隊(AAC)のリンクスAH.7/AH.9攻撃・多目的ヘリコプターに「ヘリTOWシステム」を搭載し、湾岸戦争などで大規模に実戦運用。現在は後継のヘルファイア等への更新により退役が進む) ドイツ:ドイツ陸軍(※空挺部隊や軽歩兵部隊向けに、空挺戦闘車「ヴィーゼル1A2 TOW(Wiesel 1A2 ATGM)」の車載システムとして、TOW-2シリーズを主力対戦車火力の一角として長年配備・運用) イタリア:イタリア陸軍(※歩兵部隊の地上三脚運用のほか、国産歩兵戦闘車「ダルド(Dardo IFV)」の砲塔側面にTOW発射機を統合し機械化歩兵部隊で運用) スウェーデン:スウェーデン陸軍(※公式ライセンス派生品として、スウェーデン国軍仕様に適合させた「Rbs 55(ロボット55)」を開発し、地上三脚型および「Hkp 9(Bo 105)」ヘリコプター搭載型として運用。現在は後継のRbs 56等へ移行) スイス:スイス陸軍(※公式ライセンス・車載派生品として、ピラーニャ6×6装甲車をベースにした駆逐戦車「パンツァーツェーガー90(Panzerjäger 90)」を開発、2連装TOWランチャーを搭載し機械化部隊で運用) オランダ:オランダ陸軍(※過去にAMX-VCIをベースにした「AMX-PRAT」、およびYPR-765ベースの「YPR-765 PRAT」などのTOW車載型駆逐戦車を機械化部隊で大規模運用、現在は退役) デンマーク:デンマーク陸軍(※過去に歩兵部隊、および対戦車ヘリコプター部隊のディフェンダーヘリ搭載型として運用、現在は退役) ノルウェー:ノルウェー陸軍(※過去にM113装甲車載型「NM142」などのTOW対戦車車両を運用、現在は退役) ギリシャ:ギリシャ陸軍(※M901 ITV(改良型TOW車両)や地上三脚型を現在も大規模に保有・運用) スペイン:スペイン陸軍(※地上三脚、および各種装甲車両やM113車載型として配備) 日本:陸上自衛隊(※対戦車ヘリコプターAH-1Sコブラの固定武装として、ライセンス生産された「対戦車誘導弾(ヘリコプター用)」を航空自動車部隊・対戦車ヘリコプター隊にて長年運用) 韓国:大韓民国陸軍(※歩兵部隊の重MAT、ディフェンダーヘリおよびAH-1Sコブラの対戦車ミサイルとして長年運用。現在は国産の「玄弓(ヒョングン)」等への更新が進む) シンガポール:シンガポール陸軍(※軽装甲車両や歩兵部隊の主力対戦車火器として長年配備) レソト:レソト国防軍(陸軍:少数の地上発射型システムを保有) チャド:チャド陸軍(※トヨタ・ランドクルーザー等のテクニカルにTOWシステムを搭載し、不正規戦・対テロ戦で運用) チリ:チリ陸軍(※M113装甲車搭載型および地上歩兵部隊用に配備) イラク(政府および武装組織):イラク連邦警察、民間動員部隊(PMU / 各種親イラン派民兵)。※イランから密輸されたTOW無許可派生品「Toophan」を対ISIL戦等で大規模運用。 シリア(政府および武装組織):シリアアラブ軍、レバノン・ヒズボラ、YPG(クルド民兵)、自由シリア軍等の各種反体制派民兵組織。※米国製オリジナルTOW(カタールやサウジ経由の供与品)と、イラン製の派生品「Toophan」が敵味方双方で大量に鹵獲・混用。 イエメン(武装組織):フーシ派武装組織(※オリジナルTOWの鹵獲品のほか、イラン製派生品「Toophan」の未特定型を対サウジ紛争で多用) |
| Type (種類): | 対戦車誘導弾 (重対戦車ミサイルシステム) |
| Caliber / Diameter (口径/ミサイル直径): | 152mm (※初期のA型〜C型は127mm、改良型のTOW 2A等は147mm〜152mm) |
| Guidance System (誘導方式): | 半自動指令照準線一致誘導方式 (SACLOS:有線ワイヤー誘導。※最新のTOW 2B Aeroなど一部の派生型には無線誘導(RF)方式も存在) |
| Overall Length (全長/キャニスターサイズ): | 1,160mm〜1,174mm (※BGM-71CやTOW 2Aなどの伸縮式ノーズプローブ展開時は1,400mm〜1,510mm) |
| Wingspan (翼幅): | 展開時 約450mm〜460mm / 尾翼幅 約340mm |
| Weight (重量/総システム重量): | ミサイル単体重量 約18.8kg〜22.6kg (※型式依存:初期A型18.9kg、TOW 2Aは21.6kg、TOW 2Bは22.6kg) / 総システム重量は地上三脚および照準器等の構成品含め約120kg (約265.5ポンド) |
| Flight Speed (飛翔速度): | 最大速度 約278m/s〜360m/s (マッハ0.7〜マッハ0.9、型式により異なる) |
| Effective Range (有効射程): | 最小射程 65m (TOW 2Bは200m) から 最大射程 3,750m (※初期A型は3,000m、最新のTOW 2B Aero型は最大4,500m) |
| Warhead & Propulsion (弾頭/推進方式): | 成形炸薬弾頭(HEAT)またはタンデム成形炸薬弾頭(Tandem HEAT、※その他随時Bunker Buster等の爆風破片・通常炸薬型あり) / 推進方式:固形燃料ロケット・モーター (射手保護用の発射モーターおよび飛翔用の2段階推進方式) |
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