LAV-AT (Light Armored Vehicle – Anti-Tank) / LAV-ATM (Light Armored Vehicle – Anti-Tank Modernization)

LAV-ATM (Light Armored Vehicle - Anti-Tank Modernization)
LAV-ATM (Light Armored Vehicle – Anti-Tank Modernization)

概要と開発の背景

LAV-AT(Light Armored Vehicle – Anti-Tank)は、1980 年代初頭にスイスの Mowag 社(現 General Dynamics European Land Systems)が開発した Piranha I 8×8装甲車をベースとし、カナダの General Motors Diesel Division(現 General Dynamics Land Systems-Canada)が製造・開発を手掛け、1987 年よりアメリカ海兵隊(U.S. Marine Corps)に導入された 8×8 輪駆動の水陸両用装甲対戦車車両である。開発および調達の背景には、1980 年代のアメリカ海兵隊における急速展開部隊(RDF)構想のもと、遠距離から敵の重装甲車輌や戦車を打撃・無力化できる強力な直射対戦車火力の獲得ニーズが存在した。従来の歩兵用対戦車ミサイル(TOW)地上発射班や軽小型車両搭載型では、機動展開時の防護力不足や悪路走破性の限界、前線での生存性に大きな課題を残していた。このため、主力偵察車両である LAV-25 と同じ 8×8輪駆動シャシーを活用し、装甲防護下で TOWミサイルを迅速に射撃・再装填できる長距離対戦車アセットとして LAV-AT の開発が進められた。

構造と技術的特徴

構造上の最大の特徴は、アメリカ陸軍の M901 ITV で実績のあった Emerson Electric 社製 Emerson 901 2連装 TOWミサイルランチャー砲塔(通称ハンマーヘッド)を車体後部に統合している点にある。移動時にはランチャーを低く折りたたんで車体全高を抑えて密蔽・走行し、射撃時には上部へ直立展開させて遮蔽物(ハルダウン位置)の背後から安全に照準・発射を行う機構を備える。使用弾薬には BGM-71 TOW および TOW 2 ワイヤ誘導対戦車ミサイルを採用し、車内に即応弾 2 発と予備弾 14 発(計 16 発)を装甲下で自動・手動再装填できる構造を有する。パワートレインには 275 hp を発揮する Detroit Diesel 6V53T ディーゼルエンジンと Allison MT653 5 段自動変速機、選択式 8×8全輪駆動機構を踏襲し、最高速度 100 km/h 以上の路上機動性と水上航行能力を備える。近代化改修型である LAV-ATM(Anti-Tank Modernization)では、機械式起立構造の Emerson 砲塔から Raytheon 社製の固定式新型対戦車兵器システム(ATWS)無人砲塔へ換装され、改修型目標補足システム(MTAS)により行進間での目標捜索・追尾機能や無線周波数(RF)誘導型 TOW 2 への対応能力を獲得している。

運用実績と評価

1987 年の部隊配備以降、LAV-AT はアメリカ海兵隊の全軽装甲偵察大隊(LAR Battalion)における対戦車小隊へ制式配備され、中隊・大隊の対戦車アセットとして集中運用された。実際の運用においては、1991 年の湾岸戦争(Operation Desert Storm)や 2000 年代のイラク戦争(Operation Iraqi Freedom)などの主要な作戦に投入され、遠距離からのアウトレンジ射撃によって敵の戦車や装甲車両を数多く制圧する戦果を挙げた。遮蔽物に身を隠した状態から射撃可能なハンマーヘッド機構と、高い路上・不整地走破性が現場で非常に高く評価された。可動部の摩耗や機械的信頼性の低下に伴い、2012 年より Raytheon 社製 ATWS 無人砲塔を統合する近代化プログラム(LAV-ATM)が始動し、2017 年より順次部隊配備された。デジタル化された火器統制システムと行進間捜索能力の獲得により、現代のアメリカ海兵隊における遠距離対戦車火力の主力として第一線で現役運用が続けられている。

Official Name (正式名称)LAV-AT (Light Armored Vehicle – Anti-Tank) / LAV-ATM (Light Armored Vehicle – Anti-Tank Modernization)
Country of Origin (開発国)カナダ / アメリカ合衆国 (スイスのMOWAG社製「Piranha I」をベースにカナダおよびアメリカ合衆国で共同開発・近代化)
Manufacturer (製造メーカー)General Dynamics Land Systems (GDLS) / GDLS-Canada (初期製造時はGeneral Motors Diesel Division。LAV-ATMのATWS無人砲塔システム統合はRaytheon社が担当)
Designed (設計年)LAV-ATの設計年は基本ファミリーの調達・開発契約が締結された1982年(仕様策定・開発は1980年代半ば)であり、量産機体の公式納品が開始されて運用が開始された年は1987年である。近代化改修型であるLAV-ATMは、砲塔システムの刷新を目的としたLAV-ATMプログラムとして2012年に開発・統合契約(設計年)が締結され、改修された最初のシステムが部隊へ引き渡されて初期運用能力(IOC)を獲得し運用が開始された年は2017年である
Primary Operators (主な運用組織)アメリカ合衆国:アメリカ海兵隊(各軽装甲偵察大隊[Light Armored Reconnaissance Battalion / LAR]の対戦車小隊[Anti-Tank Platoon]等において、TOW対戦車ミサイルを運用する主力重標的破壊車両として運用)
サウジアラビア:サウジアラビア国家警備隊(Saudi Arabia National Guard / SANG:米国防安全保障協力局[DSCA]の対外有償軍事援助プログラムの正式調達承認に基づき、LAV-25シリーズのファミリー構成品の一部として 20両以上のLAV Anti-Tankシステムを正規導入し、各機械化部隊の対戦車火力として現役運用)
Crew / Capacity (乗員および兵員輸送数)4名 (Commander、Driver、Gunner、Loader) ※対戦車ミサイルシステム、射撃管制装置、および予備弾薬を車内に集約・格納しているため、通常の兵員輸送用コンパートメントスペースはなし
Combat Weight (戦闘重量)LAV-AT:27,650 lbs (12,540 – 12,525 kg)
LAV-ATM:約14.0 metric tons (14,000 kg) ※新型ATWS砲塔および近代化コンポーネントの統合に伴う重量変化
Dimensions (寸法: 全長/全幅/全高)W (全幅): 98.4 inches (2.50 m)
L (全長): 251.6 inches (6.39 m) ※車体長。主砲塔をもたないため砲身前方突出値はなし
D (全高):
LAV-AT:106.0 inches (2.69 m) ※ランチャー超低格納時。ランチャー通常格納時(Launcher stowed)は123.0 inches (3.12 m)、ランチャー直立展開時(Launcher erect)は138.5 inches (3.51 m)
LAV-ATM:約3.7 m ※常時直立固定式となった新型MTAS無人砲塔の全高基準
Armor (装甲の詳細: 複合装甲、ERA、APSの有無)高硬度圧延均質鋼製溶接車体(Welded rolled hard homogeneous steel armor)。基本仕様で7.62mm弾および砲弾破片に対応。LAV-ATM等の近代化適用機では必要に応じて追加の弾道装甲パッケージ(BPUP)や内部スパルライナーの統合が可能。
Main Armament (主武装)LAV-AT:1x Emerson 901 2連装TOWミサイルランチャー(TOW Anti-tank guided missile) (車内に予備ミサイル14発、ランチャー内即応弾2発、計16発を携行。BGM-71 TOW / TOW 2ワイヤ誘導ミサイルに対応)
LAV-ATM:Raytheon社製 Anti-Tank Weapon System (ATWS) 無人砲塔 1基 (Modified Target Acquisition System [MTAS]を統合し、ワイヤ誘導型および無線周波数[RF]誘導型TOWミサイルの双方に対応。携行弾数は同様に計16発)
Secondary Armament (副武装)車長用キューポラの銃架(Pintle mount)にマウントされた 1x M240 7.62mm機関銃(携行弾数:総計1,000発)、および 2x M257 4連装煙幕弾発射機(Smoke Grenade Launchers)(計8基のディスチャージャー)
Engine (エンジン出力 hp/kW)General Motors 6V53T (6気筒2サイクル・スーパーチャージャー付きディーゼル)
出力: Gross 275 hp @ 2,800 rpm (205 kW)
Max Speed (最高速度: 整地/不整地)Paved (整地): 62 mph (100 km/h)
Unpaved (不整地): 不明 (※公式仕様上のオフロード時速の数値指定はなく「優れた不整地走破性」と規定)
水上航行(スクリュー推進): 6.5 mph (10.4 km/h) ※ただし重量増やアンテナ等の追加機材統合に伴い水上航行能力が制限されている場合あり
Operational Range (航続距離)道路巡航において最大約400 miles (640 – 660 km)

OPERATING FORCES / 運用国・軍種

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画像の引用元
  1. By Cpl. Diana Jimenez – https://www.dvidshub.net/image/7641487/fuji-viper-232-v34-marines-conduct-tow-missile-range, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=162219046
  2. By Cpl. Alexis Sanchez – https://www.2ndmardiv.marines.mil/Photos/igphoto/2003519586/, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=162258352

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