M1151A1 HMMWV (Armament carrier)

M1151A1 HMMWV
第855憲兵中隊に所属するアリゾナ州陸軍州兵

概要と開発の背景

M1151A1 HMMWV(High Mobility Multipurpose Wheeled Vehicle)は、2000年代半ばにアメリカ合衆国のAM Generalが開発し、アメリカ軍に制式採用された高拡張能力(ECV)シャーシベースの装甲軽戦術車両(重火器担載車)である。1980年代より運用されていた初期型M998シリーズなどのハンヴィー(HMMWV)は、元来非装甲の非線形戦域・後方輸送を想定していたため、イラク戦争やアフガニスタン紛争における非対称戦への突入に伴い、簡易爆発装置(IED)や伏撃、狙撃手からの攻撃に対して防御力の不足が露呈した。初期の追加装甲型(M1114等)は車体重量増加によりエンジンや足回りに過大な負荷がかかり、機動性と不整地走破性が低下した。これに対し、より高出力のエンジンと補強されたECVシャーシを採用し、作戦環境や脅威レベルに応じて現地で追加装甲(A-kit / B-kit)を着脱可能な近代化モデルとして、M1025A2などの旧式火器担載ハンヴィーの更新ニーズからM1151A1の開発が推進された。

構造と技術的特徴

構造上の最大の特徴は、高拡張能力(ECV)シャーシをベースとし、工場出荷時に標準装備される車体下部・キャビン構造の統合防護パッケージ(IAP: Integrated Armor Protection、通称A-kit)に加え、必要に応じて装甲ドアや複合装甲パネル、防弾ガラスを追加装着できるモジュール式装甲システム「B-kit(B1キット)」を採用している点にある。これにより、強固な小火器・地雷・IED爆風衝撃防護と必要に応じた軽量化の両立を可能にしている。パワートレインには190馬力を発揮するGeneral Engine Products (GEP) 製6.5リッターV8ターボディーゼルエンジンと4速自動変速機を搭載し、大幅に増大した車重を支えるため強化型フレーム、ヘビーデューティー仕様のサスペンションおよびブレーキ、ポータルアクスル構造の4輪駆動メカニズムが導入されている。屋根上には360度旋回可能な防護アタッチメント付き銃塔を備え、12.7mm M2重機関銃や40mm Mk 19自動擲弾発射器、7.62mm M240機関銃など多様な重火器を設置できる。

運用実績と評価

2006年の制式化以降、アメリカ陸軍、アメリカ海兵隊、アメリカ海軍、アメリカ空軍をはじめ、ウクライナ、イラク、サウジアラビアなど世界多数の同盟国やパートナー国の軍隊・治安機関で大規模に導入された。イラク戦争やアフガニスタン紛争の実戦評価では、従来の非装甲ハンヴィーや初期の追加装甲型と比較して搭乗員の生存性が高まり、前線での哨戒や警戒支援任務において実用性を証明した。一方で、B1キットやFRAGキット(側面防護強化装甲)などの追加装備による車重の著しい増加(車両全重約4.7トン以上)は、サスペンションやトランスミッションへの高負担、最高速度および登坂能力の低下、燃費悪化といった課題を招くこととなった。この重量増加と耐地雷性能の限界は、後に後継となるJLTV(統合軽戦術車両)の開発・導入を加速させる直接の契機となった。しかし、既存の膨大なインフラと信頼性から、現在に至るまで歩兵部隊や支援部隊の主力軽装甲車両として運用が継続されている。

Official Name (正式名称)M1151A1 HMMWV (Armament carrier)
Country of Origin (開発国)アメリカ合衆国
Manufacturer (製造メーカー)AM General
Designed (設計年)2000年代前半(2004年ごろ)に設計・改良が行われた装甲強化型、ベースとなるHMMWVは1980年代に設計
Primary Operators (主な運用組織)アメリカ合衆国:アメリカ陸軍、アメリカ海軍、アメリカ空軍、アメリカ海兵隊
コロンビア:コロンビア軍(複数型の一部としてM1151A1を運用)
イラク:イラク軍(FMSによる導入)
レバノン:レバノン軍(導入・追加供与)

以下の国もHMMWVを多数保有しており、M1151A1が含まれる可能性が高いが型式が混在しているため詳細は不明
・アフガニスタン旧政府軍
・各国NATO、中東諸国(サウジ、UAEなど)、アフリカ、南米諸国の一部
Crew / Capacity (乗員および兵員輸送数)4名(Commander, Driver, Gunner, Loader/Passenger)
Combat Weight (戦闘重量)約4,672 kg〜5,488 kg (約10,300 lbs〜12,100 lbs)
Dimensions (寸法: 全長/全幅/全高)W (全幅):約2.31 m (91 in / 7 ft 7 in)
L (全長):約4.93 m (194 in / 16 ft 2 in)
D (全高):約1.99 m (78.3 in / 6 ft 6 in)
Armor (装甲の詳細: 複合装甲、ERA、APSの有無)Integrated Armor Package (IAP) A-Kit (鋼板、溶接アルミニウム、複合素材による標準統合下部/側面装甲)+B-Kit (着脱式追加モジュール装甲)、Perimeter Armor、Overhead Armor
Main Armament (主武装)12.7mm M2HB Heavy Machine Gun (50 caliber / 12.7x99mm NATO)、40mm Mk 19 Automatic Grenade Launcher (40x53mm)、7.62mm M240B Machine Gun (7.62x51mm NATO)、または BGM-71 TOW Anti-Tank Guided Missile System (ルーフ上360度全周リングマウント銃塔経由で運用)
Secondary Armament (副武装)None (ルーフ上主武装のみ運用。一部車両に M239 Smoke Grenade Launcher 搭載可能)
Engine (エンジン出力 hp/kW)General Engine Products (GEP) 6.5-liter V8 Turbocharged Diesel Engine
出力:190 hp (約142 kW)
Max Speed (最高速度: 整地/不整地)Paved (整地):約113 km/h (約70 mph) ※最大重量積載時は約88 km/h (55 mph)
Operational Range (航続距離)約402 km (約250 miles)

OPERATING FORCES / 運用国・軍種

PR:関連商品

画像の引用元
  1. By Staff Sgt. Brian Barbour – https://www.dvidshub.net/image/1807702, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=39639320
  2. Photo: Staff Sgt. Armando Limon / U.S. Army via DVIDS. (Public Domain).
  3. Photo: 1st Sgt. HollyAnn Nicom / U.S. Army National Guard via DVIDS. (Public Domain).
  4. Photo: Sgt. 1st Class William Gates / U.S. Army via DVIDS. (Public Domain).

上部へスクロール