CH-101 / Kawasaki CH-101

CH-101

概要と開発の背景

CH-101は、2000年代初頭にイギリスおよびイタリアが共同開発した「EH101(現:Leonardo S.p.A. AW101)」をベースに、日本のKawasaki Heavy Industries, Ltd.(川崎重工業株式会社)がライセンス生産を行って完成させた大型の多用途ヘリコプター(南極輸送支援ヘリコプター)である。海上自衛隊および文部科学省では、南極地域観測事業における輸送支援用として長年Sikorsky Aircraft社製の「S-61A」を運用していたが、機体の老朽化に伴い後継機の導入が急務となった。また、砕氷艦「しらせ(初代)」から新造される「しらせ(2代)」への移行に合わせ、昭和基地と艦艇間における観測資材や隊員の空輸能力を大幅に強化し、過酷な極地環境下でも高い安全性と輸送効率を発揮できる新世代機として導入がスタートした。本機は文部科学省予算で調達され、実際の運用と整備は海上自衛隊が担う体制が採られている。

構造と技術的特徴

構造上の最大の特徴は、Safran Helicopter Engines(旧Rolls-Royce / Turbomeca)設計の「RTM322」ターボシャフトエンジンを3基搭載したトリプル・エンジン構造と、極地の過酷な低温環境に対応する強固な防氷・耐寒構造を採用している点にある。前級S-61Aと比較して機体容積と最大離陸重量(約14.6トン)が飛躍的に拡大しており、1回あたりのフライトで数トンの大型貨物や多数の隊員を速やかに空輸できる圧倒的な輸送能力を備える。5枚のメインローターブレードとテールローターには全自動折りたたみ機構が組み込まれており、砕氷艦「しらせ」の艦上格納庫へコンパクトに収容できる優れた艦上適合性を誇る。掃海ミッションシステムを備える同型機「MCH-101」に対し、CH-101では純粋な人員・物資空輸に特化したキャビン構造や荷役メカニズムが施されており、多様な極地輸送ニーズに応える設計思想が具現化されている。

運用実績と評価

2007年より順次納入され、海上自衛隊の岩国航空基地(第111航空隊)に配備された。2009年の第51次南極地域観測協力(砕氷艦「しらせ」2代目の初航海)より本格的な運用が開始され、昭和基地への観測機材・燃料・生活物資の空輸や隊員の移動、さらには氷海や野外拠点の観測活動に従事している。実際の南極観測支援においては、強風や吹雪が吹き荒れる極限状態においても3発エンジンによる高い出力余裕と安定したホバリング性能を発揮し、前級S-61Aを遥かに凌ぐ物資輸送実効性と航行安全性が具体的に高く評価された。配備された3機は文部科学省と防衛省の密接な協力体制のもとで運用され、日本の南極地域観測事業における輸送線を維持する不可欠な主軸アセットとして確固たる地位を確立している。

Official Name (正式名称)CH-101 / Kawasaki CH-101
Country of Origin (開発国)イギリス / イタリア :共同開発(日本でライセンス生産・文部科学省予算による調達)
Manufacturer (製造メーカー)川崎重工業(主契約企業・ライセンス生産) / Leonardo (旧 AgustaWestland:原設計)
Designed (設計年)1990年代に開発されたAgustaWestland AW101を基に、2000年代前半に南極観測支援・輸送任務向けとして海上自衛隊仕様の開発・導入が進められ、2007年に海上自衛隊で運用が開始された大型輸送ヘリコプター
Primary Operators (主な運用組織)日本:海上自衛隊(第21航空群「第21航空隊(館山航空基地)」にて、南極観測船「しらせ」に艦載される南極観測支援機(物資・人員輸送、気象観測任務)としてCH-101を運用。また、機体の維持や実用試験評価を目的として、航空集団直轄の「第51航空隊(厚木航空基地)」でも少数の同機が運用されている)
Crew (乗員)4名(操縦士、副操縦士、機上整備員、航空士)※物資・人員輸送任務に応じて最大24名以上の搭乗が可能
Dimensions (寸法):全長、全幅(翼幅)、全高W: 18.6 m × D: 22.8 m × H: 6.6 m / 格納時(ローター折りたたみ時):W: 5.5 m × D: 15.7 m × H: 5.2 m
Empty / Max Takeoff Weight (自重 / 最大離陸重量)自重(空虚重量):約 10.5 t / 最大離陸重量:約 14.6 t
Powerplant (エンジン):型式、推力3x Rolls-Royce Turbomeca RTM322-01/08 (ターボシャフト)、出力:各基 約 2,100 shp
Max Speed (最大速度):マッハ表記、高度別の速度マッハ表記:約 Mach 0.25(低高度)、高度別の速度:150 kt(約 278 km/h)(海面高度における巡航速度)
Combat Range (戦闘行動半径) / Ferry Range (航続距離)戦闘行動半径:非公開(南極観測船から昭和基地等へのピストン輸送を想定) / 航続距離:約 1,000 km
Service Ceiling (実用上昇限度)約 4,570 m(15,000 ft)
Hardpoints (ハードポイント):ミサイルや爆弾の搭載能力なし(攻撃用のハードポイントは装備せず、床下スリング等の物資輸送用アセットを装備)
Fixed Armament (固定武装):機関砲の口径、弾数なし (自衛用として74式7.62mm機関銃をドアマウントに装備可能)

OPERATING FORCES / 運用国・軍種

PR:関連商品

楽天ブックス
¥1,980 (2026/10/25 15:30時点 | 楽天市場調べ)
楽天ブックス
¥4,620 (2026/10/26 09:31時点 | 楽天市場調べ)
画像の引用元
  1. By Hunini – Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=69003568

上部へスクロール