SH-60L / Mitsubishi SH-60L

SH-60L
SH-60L 哨戒ヘリコプター(8502号機)

概要と開発の背景

SH-60Lは、2010年代半ば(2015年度)から2020年代初頭にかけて日本の防衛省防衛装備庁とMitsubishi Heavy Industries, Ltd.(三菱重工業株式会社)によって共同開発され、2023年12月に部隊使用承認を受けた海上自衛隊の最新鋭艦載対潜・対水上哨戒ヘリコプターである。本機は前級である「SH-60K」の基本プラットフォーム(機体寸法、エンジン、ローター構造)を継承しつつ、搭載システムや飛行性能・運用安全性を大幅に引き上げた能力向上型である。周辺海域における外国潜水艦の著しい静音化や低ノイズ化、沿岸浅海域における音響探知難易度の高まりに対応するため、既存のSH-60Kを置き換えて対潜優位性を維持・確保する必要が生じた。多国間や護衛艦・僚機との高度なシステム連携が求められる現代の洋上戦闘環境に対応する次世代の艦載哨戒ヘリコプターとして開発がスタートした。

構造と技術的特徴

構造上の最大の特徴は、機体形状や機載T700エンジンをSH-60Kと共通化して整備体系を維持しつつ、高度な「マルチスタティック・ソーナーシステム」と高速大容量データリンクを統合した点にある。1機で送信と受信を完結させる従来の探知方式から進化し、送信機役と受信機役を複数機(僚機や護衛艦)で分担して海中の音響情報を同時に処理・共有することで、海底反響の大きい浅い海や静音潜水艦に対する探知・特定能力を劇的に向上させている。コックピットには大型タッチパネル画面を採用した飛行情報表示装置を導入し、乗員間の情報共有を効率化した。さらに、機体動揺時の操縦負担を軽減する「不良姿勢回復支援機能」などの全般的な自動操縦アシストを追加したほか、機体左右側面の国籍マーク周囲には最新のレーザー警戒装置(LWS)センサーが新たに配置され、機体の自衛・生存能力が高められている。

運用実績と評価

2021年5月に試作機(XSH-60L)が初飛行を果たし、同年9月の防衛装備庁への納入を経て各種性能確認試験が実施された。2023年12月に部隊使用承認を取得したことで正式に「SH-60L」として配備が開始され、海上自衛隊の各護衛艦および航空隊へ順次導入されている。部隊運用試験や各種訓練においては、複数機のヘリコプターと護衛艦を一つの統合対潜ネットワークとして連動させる高いシステム運用実効性と、過酷な浅海域における静音潜水艦への追跡能力が極めて高く評価された。また、統合表示パネルや自動操縦支援による夜間・荒天時の操縦安全性向上も具体的に示された。前級SH-60Kの後継として今後約80機規模の取得が計画されており、現代の海上自衛隊における洋上防衛および兵站線を支える中核アセットとして確固たる地位を築いている。

Official Name (正式名称)SH-60L / Mitsubishi SH-60L
Country of Origin (開発国)日本
Manufacturer (製造メーカー)三菱重工業(機体製造・システム統合) / IHI(エンジンライセンス生産)
Designed (設計年)2015年度から防衛省と三菱重工業によりにSH-60K能力向上型として開発が進められ、2023年12月22日から海上自衛隊で運用が開始された
Primary Operators (主な運用組織)日本:海上自衛隊(航空集団直轄の「第51航空隊(厚木航空基地)」にて、実用試験および運用検証のための飛行試験機(試作機)を先行運用中。2024年3月に量産機の製造契約が締結されており、今後、各航空群の航空隊および護衛艦付きの飛行隊へ順次本格配備を拡大予定)
Crew (乗員)3名(操縦士、副操縦士、航空士(SENSO))※必要に応じて4名での運用も可能
Dimensions (寸法):全長、全幅(翼幅)、全高運用時:W: 16.4 m × D: 19.8 m × H: 5.4 m / 格納時:W: 3.3 m × D: 12.5 m × H: 5.4 m
Empty / Max Takeoff Weight (自重 / 最大離陸重量)自重(空虚重量):約 7.0 t / 最大離陸重量:約 10.9 t(設計最大重量:24,000ポンド)
Powerplant (エンジン):型式、推力2x IHI製 T700-IHI-401C(ターボシャフト)、出力:各基 約 1,800 shp(※トランスミッション等の新型機動駆動系の刷新により、SH-60Kと同様の安定した高出力・機動性を洋上で確保)
Max Speed (最大速度):マッハ表記、高度別の速度マッハ表記:約 Mach 0.22(低高度)、高度別の速度:139 kt(約 257 km/h)(海面高度、巡航速度は約140kt超)
Combat Range (戦闘行動半径) / Ferry Range (航続距離)戦闘行動半径:非公開(機上処理能力や新型データリンク等の効率化に伴い、前型と同等以上の効率的な哨戒ステーション滞空性能を保持) / 航続距離:約 800 km
Service Ceiling (実用上昇限度)約 5,790 m(19,000 ft)
Hardpoints (ハードポイント):ミサイルや爆弾の搭載能力機体左右兵装ラック搭載能力:Mk46/97式/12式魚雷、対潜爆弾、対舟艇ミサイル「ヘルファイアII(AGM-114M)」、対潜ソノブイ各種
Fixed Armament (固定武装):機関砲の口径、弾数なし(不審船対処や自衛用ドアガンとして、74式7.62mm機関銃またはM2 12.7mm重機関銃を機体右側ドアマウントに装着運用可能)

OPERATING FORCES / 運用国・軍種

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画像の引用元
  1. By 海上自衛隊, CC BY 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=147099917
  2. By Hunini – Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=150970650
  3. By 海上自衛隊, CC BY 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=146148634
  4. By Hunini – Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=150970663
  5. By Hunini – Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=150970659

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