




概要と開発の背景
M240中機関銃は、1950年代にベルギーのFN Herstal社が開発した名作汎用機関銃「FN MAG(MAG 58)」をベースに、アメリカ合衆国で改良・採用された7.62x51mm NATO弾を使用する汎用中型機関銃である。1970年代当時のアメリカ軍では、第二次世界大戦や朝鮮戦争時代から引き継がれたM1919A4や、ベトナム戦争で多用されたM60機関銃の動作不良や耐久性不足が深刻な問題となっていた。特に、M2ブラッドレー歩兵戦闘車やM1エイブラムス戦車などに搭載する同軸機関銃(M73/M219等)の信頼性の欠如が大きな課題とされ、より過酷な環境下でも安定して作動する後継火器の導入が急務であった。これに伴い、各国の中機関銃を比較評価する厳格な試験が実施され、抜群の作動信頼性を証明したFN MAGが選定された。1977年に車載同軸型の「M240」としてアメリカ陸軍へ正式採用されたことを皮切りに開発が推進され、従来の老朽化したM60機関銃を全面的に置き換える主力中型機関銃として制式化が進められた。
構造と技術的特徴
作動方式にはロングストローク・ガスピストン式とチルティング・ボルト(傾斜閉鎖)機構を採用しており、オープンボルト状態から発射される空冷式設計によって、過熱による自発火(クックオフ)現象を防止している。M13分解式リンクベルトを用いて給弾され、高負荷な連続射撃においても安定した給排殻を維持する。最大の特徴は、スチール削り出しのレシーバーとリベット接合による堅牢極まりない構造にあり、極めて高い機械的耐久性と圧倒的な動作信頼性を実現している点にある。また、多様な運用環境に応じた豊富なバリエーション展開がなされており、歩兵用地上モデルの「M240B」はピカティニー・レールやバイポッドを備え、M2 / M3ブラッドレー用の同軸型「M240C」は右側給弾機構に変更され、ヘリコプターや車両のドアガン型「M240D」はスペードグリップを装備している。さらに、最新の軽量型である「M240L」では、チタン製レシーバーとポリマー製トリガーグループを導入したことで、従来の耐久性や信頼性を完全に維持しながら約2.5kg(5ポンド)の大幅な軽量化を達成している。
運用実績と評価
1977年の車載型採用に続き、1990年代後半にはアメリカ陸軍および海兵隊の歩兵部隊へ地上用「M240B」および「M240G」が配備され、M60機関銃からの完全な転換が行われた。現在ではアメリカ陸軍、海兵隊、海軍、空軍、沿岸警備隊の全軍種で制式配備されているほか、同盟国をはじめとする世界各国の軍・治安機関で広く運用されている。1990年代の湾岸戦争やパナマ侵攻をはじめ、2000年代以降のアフガニスタン紛争やイラク戦争など、現代におけるほぼすべての主要な実戦環境へ投入された。過酷な砂塵や泥濘、極度の連続射撃下においてもジャム(作動不良)を起こさない抜群の信頼性と高い抑止火力が高く評価されている。歩兵の過重負担に対してはチタン採用のM240Lが投入されるなど継続的な改修が行われており、歩兵分隊・小隊の直接火力支援から各種車両・艦艇・航空機搭載火器に至るまで、現代の軍事組織における中型汎用機関銃の決定版として不変の立ち位置を誇っている。
| Official Name (正式名称) | M240B/C/D/L(原型呼称:FN MAG 58) |
| Country of Origin (開発国) | アメリカ合衆国(※基本設計のベースはベルギー) |
| Manufacturer (製造メーカー) | FN America, LLC(FNハースタル社の米国現地法人) |
| Designed (設計年) | ベースとなった原型機FN MAGの基本設計は1950年代初頭に推進され、1958年に量産製造・公式運用が開始された。その後、アメリカ軍における同軸機関銃(M240)としての制式仕様設計および比較試験は1970年代半ばに完了し、1976年に制式型分類、1977年から戦車等の車載インベントリとして公式に本格運用が開始された。なお、 infantry(歩兵)用の地上展開型(M240G/B)としての本格的な部隊更新・運用配備は1991年である。 |
| Primary Operators (主な運用組織) | アメリカ合衆国:アメリカ陸軍(歩兵支援用にM240B/M240L、戦闘車両の同軸用にM240C、ヘリコプター等ドアマウント用にM240D)、アメリカ海兵隊(歩兵大隊重火器小隊およびLAV-25等の車載用にM240B/C)、アメリカ空軍(セキュリティフォースの地上防御およびCV-22等のドアマウント用にM240B/D)、アメリカ海軍(各水上戦闘艦、特殊戦グループ(SEALs)の河川哨戒艇等にM240B/D)を全軍の基幹機関銃として大規模現役運用中 ウクライナ:ウクライナ陸軍、およびウクライナ空中強襲軍(各前線戦術旅団の歩兵ユニット、および米国から戦闘援助として供与されたM2ブラッドレー歩兵戦闘車、M113装甲車、HMMWV等の車載・同軸用としてM240BおよびM240C)をロシア軍との前線において大規模に実戦現役運用中 インドネシア:インドネシア陸軍(特殊部隊(Kopassus)や戦略予備軍(Kostrad)の特殊作戦、およびレオパルト2A4/RI主力の装甲車・ローダーマウント用同軸機関銃としてM240CおよびM240D)を現役運用中 イラク:イラク陸軍(第9装甲師団等、米国から導入したM1A1エイブラムス戦車、M113装甲兵員輸送車、およびHMMWVの車載武装および対テロ作戦の同軸用にM240CおよびM240B)を現役運用中 サウジアラビア:サウジアラビア陸軍(装甲・機甲旅団等にて、米国製M1A2Sエイブラムス戦車、M2A2ブラッドレー歩兵戦闘車、およびLAVシリーズの主同軸機関銃および対地制圧用にM240CおよびM240B)を現役運用中 クウェート:クウェート陸軍(第35親衛機甲旅団等にて、米国から取得したM1A2エイブラムス主力戦車の車載ターレットおよび同軸兵装としてM240C)を現役運用中 エジプト:エジプト陸軍(機甲師団等にて、国内の戦車工場でライセンス生産・更新が継続されているM1A1エイブラムス主力戦車の車載同軸システムとしてM240C)を現役運用中 モロッコ:王立モロッコ陸軍(機甲旅団等にて、FMS経由で導入した改装型M1A1/M1A2SAエイブラムス戦車の標準車載・同軸兵装としてM240C)を現役運用中 オーストラリア:オーストラリア陸軍(第1機甲連隊などにて、新型導入のM1A2 SEPv3エイブラムス戦車への車載・同軸、および新たに配備されたUH-60Mブラックホークのサイドドアマウント自衛用にM240CおよびM240D)を現役運用中 中華民国(台湾):中華民国陸軍(機械化歩兵旅団および機甲旅団にて、新規受領が完了したM1A2Tエイブラムス戦車、CM-34装輪戦闘車、およびUH-60Mブラックホーク航空隊の戦術ドアガン仕様としてM240CおよびM240D)を現役運用中 ポーランド:ポーランド陸軍(第1機甲旅団などにて、急速展開が進む米国製M1A1 FEP / M1A2 SEPv3エイブラムス戦車フリートの標準車載同軸兵装としてM240C)を現役運用中 ジョージア:ジョージア陸軍(特殊作戦旅団および歩兵大隊にて、NATO相互運用性プログラムおよび米国からの軍事援助の一環として、M60機関銃の代替歩兵火器としてM240B)を現役運用中 コロンビア:コロンビア陸軍(特設対ゲリラ部隊などにて、米国政府の対麻薬・治安維持支援プログラム(Plan Colombia)に基づき公式供与されたM240B)を現役運用中 フィリピン:フィリピン陸軍、およびフィリピン海兵隊(特殊作戦航空大隊や沿岸防衛部隊にて、V-150コマンドー装甲車やHMMWVの銃架マウント、および自衛用歩兵火器としてM240B)を現役運用中 タイ:タイ王立陸軍(歩兵大隊および機甲部隊にて、米国から調達したストライカー装輪装甲車(M1126 ICV)の遠隔兵器ステーション(RWS)マウントおよび歩兵支援用にM240B)を現役運用中 アルゼンチン:アルゼンチン陸軍(山岳歩兵部隊・陸軍航空隊にて、HMMWVのルーフマウント、およびUH-1H/ヘリコプターのドアガン・セキュリティー目的としてFMS取得したM240B)を現役運用中 ケニア:ケニア国防軍(陸軍前線部隊にて、アフリカの角地域における対テロ作戦の米国安全保障資金援助プログラムに基づき取得した、地上制圧用の歩兵火器としてM240B)を現役運用中 リトアニア:リトアニア陸軍(機械化歩兵旅団「アイアン・ウルフ」にて、米国製M113装甲車、HMMWVの銃架マウント、およびNATO相互運用プログラムを通じた主力汎用機関銃としてM240B)を現役運用中 ジブチ:ジブチ陸軍(国境警備・特殊任務部隊にて、米軍との相互防衛協力プログラムに基づき調達・供与された拠点防衛・地上火力支援用M240B)を現役運用中 イエメン:イエメン共和国軍(親政府軍・大統領指導評議会軍にて、過酷な紛争地域において米国からの過去の軍事援助、およびサウジアラビア軍の機甲フリートから公式補給移管されたM240BおよびM240C)を現役運用中 パキスタン:パキスタン陸軍(特殊作戦群(SSG)や前線防衛部隊などにて、過去の対テロ同盟・対外有償軍事援助、および導入したAH-1F/Sコブラ攻撃ヘリコプターの自衛・支援インベントリとして維持されるM240B)を現役運用中 ロシア連邦:ロシア陸軍、およびロシア国家親衛隊(特殊任務部隊(Spetsnaz)などにて、ウクライナにおける実戦の前線(バフムート、アウディーイウカ、クルスク方面等)において、ウクライナ軍の機甲旅団や歩兵ユニットから戦術鹵獲した状態の良いM240BおよびM240C)を実戦検証および不正規戦闘用に不正規現役運用中 |
| Type (種類) | Medium Machine Gun / General Purpose Machine Gun (汎用機関銃) |
| Caliber (口径) | 7.62×51mm NATO |
| Action (作動方式) | Gas-operated(ガス直噴方式」), open bolt(オープンボルト方式) |
| Overall Length (全長) | M240B / M240D:1,232 mm (48.5 in) M240C:1,054 mm (41.5 in) ※車載同軸用にバットストック(銃床)を排除した仕様 M240L (標準銃身):1,227 mm (48.3 in) / (短銃身・Shorter Barrel仕様):1,130 mm (44.5 in) |
| Barrel Length (銃身長) | M240B / M240C / M240D / M240L (標準銃身):549 mm (21.6 in) M240L (短銃身仕様):447 mm (17.6 in) |
| Weight (重量) | M240B:12.5 kg (27.6 lbs) ※歩兵地上用、標準バイポッドおよびヒートシールド含む M240C:10.4 kg (23.0 lbs) ※車載同軸型、給弾カバーやトリガーのソレノイド化による差異 M240D:11.6 kg (25.6 lbs) ※航空マウント用、スペードグリップ装着仕様 M240L:10.1 kg (22.3 lbs) ※レシーバー等にチタン合金を採用した軽量仕様(短銃身構成時は 9.9 kg / 21.8 lbs) |
| Rate of Fire (発射速度) | 550 rpm 〜 650 rpm (毎分550〜650発 / ※ガスレギュレーターの調整位置、および初期・現行の仕様段階により、技術最大サイクルとして 750 rpm 〜 950 rpm まで可変設定可能) |
| Effective Range (有効射程) | バイポッド(二脚)展開による点標的射撃:800 m M122A1等の三脚(トライポッド)運用、または車載同軸マウントによる区域標的射撃:1,800 m 最大射程(Maximum Range):3,725 m |
| Feed System (給弾方式) | Disintegrating metallic split-link belt (M13分離式金属リンクベルト給弾 / 通常、歩兵運用時は50発または100発入りの着脱式ソフトパック「コンバット・ポーチ」や、M19A1弾薬箱などから引き出して給弾。M240Cのみ右側給弾、その他は左側給弾方式) |
OPERATING FORCES / 運用国・軍種
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画像の引用元
- 作者 Hellraiser Media – 100407-A-4254B-083,CC BY 2.0,https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=11082040
- U.S. Army photo by Staff Sgt. True Thao. (VIRIN: 190402-A-BW445-0073). Public Domain, via DVIDS.
- By U.S. Naval Forces Central Command/U.S. Fifth Fleet – 160601-N-UG095-077, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=72110984
- By Photo Courtesy of PEO Soldier – https://www.flickr.com/photos/peosoldier/4639655648/in/photostream/, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=11309462
- By Navy Petty Officer 1st Class Kenji Shiroma – https://www.defense.gov/observe/photo-gallery/igphoto/2002147260/, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=101805120






