LAV-C2/C2A1/C2A2 (Light Armored Vehicle – Command and Control)

LAV-C2 (Light Armored Vehicle - Command and Control)
LAV-C2 (Light Armored Vehicle – Command and Control)

概要と開発の背景

LAV-C2(Light Armored Vehicle – Command and Control)は、1980 年代初頭にスイスの Mowag 社(現 General Dynamics European Land Systems)が開発した Piranha I 8×8 装甲車をベースとし、カナダの General Motors Diesel Division(現 General Dynamics Land Systems-Canada)が製造・開発を行ってアメリカ海兵隊(U.S. Marine Corps)へ導入された 8×8輪駆動の水陸両用装甲指揮通信車である。開発の背景には、1980 年代のアメリカ海兵隊における急速展開部隊構想のもと、歩兵や機甲部隊とともに前線へ高速で進撃し、過酷な状況下でも即座に大隊・中隊規模の戦術指揮所(Command Post)として機能する高い機動性と防護力を備えた専用車両の調達ニーズが存在した。従来のトラックベースや固定テント型の指揮設備では、広大な戦場を高速展開する軽装甲偵察部隊の進撃スピードへ追随できず、装甲防御や悪路走破性の面でも著しい課題を抱えていた。このため、主力戦闘車である LAV-25 と足回りや機関部を完全共有しつつ、車内天面を高く広げたハイルーフ構造を採用した専用の移動指揮プラットフォームとして LAV-C2 が構築された。

構造と技術的特徴

構造上の最大の特徴は、25 mm 砲塔を取り払って車体後部の天井高を拡張したハイルーフ(Raised Roof)構造と、車内に密に統合された各種多波長通信・データ伝送システムにある。車内には多系統の VHF SINCGARS 無線機、UHF 無線機、HF AN/GRC-213 無線機、PLRS(位置報告システム)、AN/VIC インターコムなどが配置され、車上天面の 7 基のアンテナマウントを通じて洋上艦艇や航空機、地上部隊とのシームレスな通信網を維持できる。パワートレインには 275 hp を発揮する Detroit Diesel 6V53T ディーゼルエンジンと Allison MT653 5 段自動変速機、選択式 8×8全輪駆動機構を踏襲し、最高速度 100 km/h の地上走破性能と車体後部プロペラによる水上航行能力を備える。自衛用として指揮官ハッチ部に 7.62 mm M240E/G 機関銃 1 挺をピントルマウントで装備する。改修型の C2A1(SLEP 改修)では排気系や電気系統の近代化が図られ、さらに C2A2 改修ではボルトオン式増加装甲の追加により 14.5 mm 重機関銃弾や砲弾破片対抗防護力を向上させるとともに、サスペンションの強化、電子戦・IED 妨害装置、最新 C4I データリンクアビオニクスが組み込まれた。

運用実績と評価

1980 年代半ばの制式配備以降、LAV-C2 はアメリカ海兵隊の全軽装甲偵察大隊(LAR Battalion)の大隊本部および各中隊本部に配備され、戦術移動指揮車(TAC)として集中的に運用された。実際の運用においては、1989 年のパナマ侵攻(Operation Just Cause)を皮切りに、1991 年の湾岸戦争(Operation Desert Storm)、2000 年代のイラク戦争(Operation Iraqi Freedom)やアフガニスタン紛争へ投入された。前線で強襲作戦を行う LAV-25 や LAV-AT などの戦闘小隊に直近で追従し、広域に分散した部隊に対するリアルタイムな作戦指揮や、航空・火力支援の統制調整を移動間であっても途絶させずに継続できる高い動的指揮統制能力(Command & Control on the Move)が現場で極めて高く評価された。本車は海兵隊の機動展開能力を影で下支えする中核アセットとして長年運用され、近年では後継となる 8×8 輪駆動水陸両用車 ACV-C(指揮型)等への更新が進められているものの、各部隊において第一線での運用の歴史を刻み続けている。

Official Name (正式名称)LAV-C2/C2A1/C2A2 (Light Armored Vehicle – Command and Control)
Country of Origin (開発国)カナダ / アメリカ合衆国 (スイスのMOWAG社製「Piranha I」をベースにカナダおよびアメリカ合衆国で共同開発・近代化)
Manufacturer (製造メーカー)General Dynamics Land Systems (GDLS) / GDLS-Canada (初期開発時はGeneral Motors Diesel Division)
Designed (設計年)LAV-C2の基本設計・開発プログラムの選定および初期生産契約の締結(設計年)は1982年であり、最初の機体が公式に引き渡されて初期運用能力を獲得した運用開始年は1987年
Primary Operators (主な運用組織)アメリカ合衆国:アメリカ海兵隊(各軽装甲偵察大隊[Light Armored Reconnaissance Battalion / LAR]等において、移動指揮所[CP]および戦術作戦センター[COC]機能を担う主力指揮通信車両としてLAV-C2 / LAV-C2A1 / LAV-C2A2を運用)
サウジアラビア:サウジアラビア国家警備隊(Saudi Arabia National Guard / SANG:米国からの対外有償軍事援助[FMS]を介して導入。同一のモデム・通信コンパートメントを装備した「LAV Command and Control Vehicle(LAV-CC)」仕様完成システムを公式受領し、機械化旅団の移動指揮ポストとして運用)
オーストラリア:オーストラリア陸軍(Australian Army:LAV-25(LAV II)をオーストラリア仕様にした「ASLAV」のType II車体に、拡張無線インストレーション、専用マップボード、増設通信マスト等のミッション役割キット[MRIK]を組み込んだ装甲指揮車型「ASLAV-C(Command)」を各騎兵連隊の連隊・中隊本部等にて現役運用)
カナダ:カナダ陸軍(Canadian Army:LAV-25と同一の8×8輪駆動車体プラットフォームをベースに製造された直系同型品である「バイソン装甲車」のバリアントとして、追加の通信ディバイスおよび専用作戦処理システムを内包した戦術コマンド・コントロール・コミュニケーション車型「Bison C3(Command Post Vehicle)」を 82両保有・現役運用)
Crew / Capacity (乗員および兵員輸送数)2名 (Commander、Driver) + 兵員輸送数(指揮・幕僚・通信要員)5名 (Battalion Commander、Staff Officer、Radio Operators 3名) 計7名
Combat Weight (戦闘重量)28,200 lbs (12,800 kg / 12.8 metric tons)
Dimensions (寸法: 全長/全幅/全高)W (全幅): 98.4 inches (2.50 m)
L (全長): 259.0 inches (6.58 m) ※車体長。主砲塔をもたないため砲身前方突出値はなし
D (全高): 110.0 inches (2.79 m) ※ルーフ拡張仕様の車体高。上面マウント機銃等の突出物は含まず
Armor (装甲の詳細: 複合装甲、ERA、APSの有無)高硬度圧延均質鋼製溶接車体(Welded rolled hard homogeneous steel armor)
基本仕様で7.62mm弾および砲弾破片に対応。A2/A3改修機では追加の弾道装甲パッケージ(BPUP)および内部スパルライナーの適用が可能。
Main Armament (主武装)None
Secondary Armament (副武装)車長用キューポラに装備された 1x M240 7.62mm機関銃(携行弾数:総計1,000発、うち即応弾200発、格納弾800発)、および 2x M257 4連装煙幕弾発射機(Smoke Grenade Launchers)
Engine (エンジン出力 hp/kW)General Motors 6V53T (6気筒2サイクル・スーパーチャージャー付きディーゼル)
出力: Gross 275 hp @ 2,800 rpm (205 kW)
Max Speed (最高速度: 整地/不整地)Paved (整地): 62 mph (100 km/h)
Unpaved (不整地): 不明 (※公式仕様上のオフロード時速の数値指定はなく「優れた不整地走破性」と規定)
水上航行(スクリュー推進): 6.5 mph (10 km/h)
Operational Range (航続距離)道路巡航において最大約400 miles (640 km)

OPERATING FORCES / 運用国・軍種

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画像の引用元
  1. By Cpl. Dylan Chagnon – https://www.dvidshub.net/image/5226860/1st-lar-marines-conduct-hot-checks, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=102895504
  2. By Lance Cpl. Dylan Chagnon – https://www.dvidshub.net/image/4192243/cleaning-day, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=102895135
  3. U.S. Marine Corps / DVIDS (ID: 7041426) – https://www.dvidshub.net/image/7041426/lar-sets-up-comm

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