
概要と開発の背景
M1131 Fire Support Vehicle(M1131 FSV / ストライカー火力支援車)およびその近代化改修型であるM1251A1 FSVVA1は、2000年代初頭にアメリカのGeneral Dynamics Land Systems(GDELS)によって開発され、2003年よりアメリカ陸軍へ導入された8×8の装輪式火力支援・砲兵観測装甲車である。開発の背景には、アメリカ陸軍が進めた中型高機動部隊構想「ストライカー旅団戦闘団(SBCT)」において、地上部隊に随伴しつつ高精度な間接火力支援を統制する機動観測アセットの配備ニーズが存在した。従来の砲兵前進観測部隊(FIST)では、履帯式のM981 FIST-Vや非装甲・軽装甲のM1025/M1114 HMMWV(ハンヴィー)派生型が運用されていた。しかし、M981は路上速力や自走航続距離の面で高速展開する装輪部隊に追従できず、ハンヴィー派生型は防護性能や大型精密センサーの運用性に限界を抱えていた。これらを刷新し、8×8共通車台による高い機動力と乗員防護力を備え、即座に砲兵や航空火力へ目標諸元を伝送できる新世代の火力支援車として開発がスタートした。
構造と技術的特徴
構造上の最大の特徴は、歩兵輸送型(M1126 ICV)の車体構造をベースに、M707 Strikerミッション装備パッケージやFS3(Fire Support Sensor System)を車上統合し、自律的な目標捕捉・自動伝送メカニズムを構築した点にある。光学TVカメラ、熱源暗視装置(FLIR)、高精度レーザー距離測定器および目標指示器(LTD)を統合したセンサーユニットにより、遠距離の目標を精密に標的化し、M982エクスカリバーなどの精密誘導弾やレーザー誘導兵器の誘導を可能にしている。車内にはAFATDS(野戦砲兵自動火力統制システム)などの戦術データリンク端末が配置され、観測した諸元は無線ネットワーク経由で砲兵部隊や射撃単位へ自動伝送される。自衛兵装としてリモート式兵器ステーション(M151 RWS)を備え、車内から12.7mm M2重機関銃等を遠隔操作できる。さらに、最新の改修型であるM1251A1 FSVVA1では、車体下部を二重V字構造(DVH-A1)へ刷新し、地雷や爆風に対する防護力を飛躍的に高めたほか、450馬力のCaterpillar C7エンジン、910アンペア大容量オルタネーター、55,000lb対応強化サスペンション、車内ネットワーク基盤が導入されている。
運用実績と評価
2003年の初期運用能力(IOC)獲得以降、アメリカ陸軍のストライカー旅団戦闘団(SBCT)所属の機動中隊や砲兵大隊の火力支援チーム(FIST)に配備・運用されている。イラク戦争やアフガニスタン紛争へ実戦投入され、遠距離目標の精密標的化と、デジタルデータ通信による火力支援要請時間の短縮において極めて高い有効性が証明された。前級のM981 FIST-Vと比較して路上巡航速度や航続距離が格段に進化し、ハンヴィーFIST車と比較して過酷な脅威下での生存性と安定したセンサー運用能力が具体的に評価された。非対称戦における地雷や即席爆発装置(IED)の脅威増大に対応するため、二重V字底車台(DVH-A1)を備えたM1251A1 FSVVA1への近代化改修が行われ、防護性能と大容量給電能力、懸架走破性が大幅に向上した。現在においても、ストライカー旅団戦闘団における観測・精密打撃誘導の要として現役運用が続けられている。
| Official Name (正式名称) | M1131 fire support vehicle / M1251A1 FSVVA1 |
| Country of Origin (開発国) | アメリカ合衆国 / カナダ |
| Manufacturer (製造メーカー) | General Dynamics Land Systems (GDLS) |
| Designed (設計年) | M1131 FSVは2000年にアメリカ陸軍の暫定装甲車両(IAV)計画として選定されてから2002年にかけて車体の試作・量産設計が行われ、最初のストライカー旅団戦闘チーム(SBCT)を構成した第2歩兵師団第3旅団へ他のバリアントとともに順次引き渡され、同旅団が2003年10月にイラク戦域へ展開、初期作戦能力(IOC)を達成したことで2003年に公式に運用を開始 M1251A1 FSVVA1は、アメリカ陸軍のストライカー近代化プログラム(エンジニアリング変更提案:ECP)に基づき2012年から約6年をかけて二重V字型車体底面の導入や新型パワーパックの統合設計が行われ、2018年9月に実戦部隊(第2歩兵師団第2旅団)による最終的な全規模運用試験をクリアしたことで量産が承認され、翌2019年から2020年にかけて最初のストライカー旅団戦闘チームへ配備されたことで公式に運用を開始 |
| Primary Operators (主な運用組織) | アメリカ合衆国:アメリカ陸軍(開発国かつ世界唯一の公式現役運用国。各ストライカー旅団戦闘チーム(SBCT)傘下の歩兵大隊・各中隊に随伴する火力支援班(FIST:Fire Support Teams)、および偵察大隊に広く実戦配備。基本型の「M1131(FSV)」に加えて、現在は耐地雷・IED防護性能を劇的に高めた二重V字型車体底面(ハル)構造の派生品である「M1251(Double-V Hull:DVH-FSV)」、および足回りと車内ネットワークを最新世代に近代化アップデートした最新派生型の「M1251A1(DVH-A1 FSV)」を独占的に主力現役運用中) |
| Crew / Capacity (乗員および兵員輸送数) | 4名 (操縦手、車長、火力支援将校、無線電話通信手) ※車内に4名の専門火力支援・前線観測班を完全収容する |
| Combat Weight (戦闘重量) | M1131 FSV:17,237 kg (17.24 t) ※基本仕様での数値 防護用のスラット(ケージ)装甲や各種追加目標指定モジュール(MEP)をフル装備した作戦時の最大総重量(GVW)は約 18,500 kg 〜 19,000 kg 前後 M1251A1 FSVVA1:28,576 kg (28.58 t / 63,000 lbs) ※最新の二重V字型車体底面(DVH)構造、足回りの強化、および追加装甲マウントをすべて含む最大総重量 |
| Dimensions (寸法: 全長/全幅/全高) | M1131 FSV: W (全幅): 3,890 mm (3.89 m ※サイドミラー・各種外装マウント部含む) / 車体幅:2,720 mm (2.72 m) L (全長 / 砲身含まず車体長): 7,000 mm 〜 7,300 mm (7.0 m 〜 7.3 m ※車体バンパー・マウント等の仕様突起部含む) H (全高 / D指定の垂直高): 3,180 mm (3.18 m ※車長キューポラおよび高度火力目標指示・前線観測センサーマウント展開時の全高) / 車体天面高:2,640 mm (2.64 m) M1251A1 FSVVA1: W: 3,406 mm (3.40 m ※サイドミラー・外装マウント部含む) / L: 7,381 mm (7.38 m ※車体バンパーおよび各種センサーマウントを含む全長) / D: 3,180 mm (3.18 m ※車長キューポラ、および高度火力目標指示・前線観測センサーポッドを含む垂直高) / 基本車体幅:2,720 mm (2.72 m) / 車体天面高:2,640 mm (2.64 m) |
| Armor (装甲の詳細: 複合装甲、ERA、APSの有無) | M1131 FSV: High-hard steel structure hull with optional bolt-on ceramic armor, internal spall liners, and slat/cage armor options (高硬度鋼板溶接構造車体 + ボルト留め式セラミック増加装甲、内面防破ライナー、スラット装甲オプション、最新型はM1251二重V字型車体底面仕様) ※基本装甲と増加装甲の組み合わせにより、14.5mm重機関銃弾や152mm砲弾の空中炸裂破片に対する全周防御力を有する、複合装甲や爆発反応装甲(ERA)は装備していない M1251A1 FSVVA1: High-hard steel structure hull with Double-V Hull (DVH) design, optional bolt-on ceramic armor, and internal spall liners (高硬度鋼板溶接構造に加え、地雷・IEDの爆風を外側へ逃がす特殊な二重V字型車体底面(DVH)構造を標準採用。さらにボルト留め式セラミック増加装甲、内面防破ライナー、スラット/ケージ装甲オプションを統合) ※14.5mm重機関銃弾や152mm砲弾の空中炸裂破片、および地雷に対して極めて高い防御力を有する、M1131 FSVと同じく複合装甲や爆発反応装甲(ERA)は装備していない |
| Main Armament (主武装) | バリエーションおよび任務内容によりいずれか 1基をパワーアシスト付き車長キューポラマウントへ選択装備 1x 12.7 mm M2HB heavy machine gun 1x 40 mm Mk 19 automatic grenade launcher ※前線観測・アセットとして、最長15km先の目標を自動検知・レーザー/GPSにより正確に追跡・指示可能な自動化火力支援ターゲット捕捉システムセンサーポッドを主武装横に標準統合 |
| Secondary Armament (副武装) | 1x 7.62 mm M240B machine gun (車体後部スイングマウント) 4x M6 smoke grenade launchers |
| Engine (エンジン出力 hp/kW) | M1131 FSV: Caterpillar 3126 6-cylinder inline 4-cycle turbocharged liquid-cooled diesel engine (キャタピラー社製 3126 直列6気筒4サイクルターボチャージドディーゼル、出力: 350 hp / 260 kW ※2,500 rpm時 ※後期の量産・A1改修型仕様には Caterpillar C7 エンジン(350 hp)を搭載) M1251A1 FSVVA1: Caterpillar C7 6-cylinder inline 4-cycle turbocharged liquid-cooled diesel engine (キャタピラー社製 C7 直列6気筒4サイクルターボチャージドディーゼル。出力: 450 hp (336 kW) ※重量増加に対応するため、従来の350馬力から450馬力へ完全強化され、デジタル機器安定稼働用の910アンペア大容量オルタネーターを備えた最新パワーパック仕様) |
| Max Speed (最高速度: 整地/不整地) | Paved (整地): 96 km/h 〜 100 km/h (運用制限値:96.5 km/h / 60 mph) Unpaved (不整地): 約 40 km/h 〜 50 km/h |
| Operational Range (航続距離) | M1131 FSV:530 km (330 miles) M1251A1 FSVVA1:483 km (300 miles) ※車体底面の重装甲化および高出力パワーパックへの刷新に伴い、従来の530kmから483kmへ変更 |
OPERATING FORCES / 運用国・軍種
PR:関連商品
画像の引用元
- By Not listed on the Army web page – http://www.sbct.army.mil/product_fsv.html, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=1250428












