
アメリカのエアロヴァイロメント社が開発した、歩兵携帯・手投げ発射型の全天候型戦術無人航空機(SUAV)である。本機は、先行機であるRQ-11よりも一回り大きい機体を持ち、主翼やレシーバーに強化コンポジットカーボン素材を採用した「All Environment(全天候)」仕様が特徴である。これにより悪天候や海上・極地での運用が可能であり、機首に搭載された高精度なジンバル式EO/IRセンサー(光学・赤外線カメラ)と50倍ズーム機能を用いて、長時間の昼夜間偵察や目標捕捉を行う。アメリカ陸軍や海兵隊、特殊作戦コマンド(USSOCOM)に標準採用されているほか、ウクライナ紛争にも精密情報収集アセットとして投入されている。
| Official Name (正式名称) | AeroVironment RQ-20 Puma(各バリエーション呼称:RQ-20A Puma AE / RQ-20B Puma AE Block 2 / Puma 3 AE / Puma LE:Long Endurance) |
| Country of Origin (開発国) | アメリカ合衆国 |
| Manufacturer (製造メーカー) | AeroVironment, Inc.(エアロヴァイロメント社)※トルコ運用分はALTOY社によるライセンス生産・維持管理 |
| Designed (設計年) | 原型機(Pointerの技術に基づくアップグレード仕様)の試作開発および初期飛行試験は2007年に完了し、2008年7月にアメリカ特殊作戦コマンド(USSOCOM)の次世代無人機プログラムに選定されたことで公式発表・初期導入が達成された。その後、機体設計を一新した「Puma AE」がアメリカ陸軍や海兵隊、空軍によって正式発注され、軍制式コード「RQ-20A」が付与された2012年3月から、アフガニスタン等の実戦戦闘部隊における本格的な作戦運用が開始 |
| Primary Operators (主な運用組織) | アメリカ合衆国:アメリカ陸軍(各歩兵中隊・旅団レベルの標準戦術偵察用)、アメリカ海兵隊(遠征部隊の地上・沿岸監視用)、アメリカ海軍(誘導ミサイル駆逐艦や沿岸巡視船の艦載用)、アメリカ空軍(特殊作戦コマンド(AFSOC)等)、および合衆国特殊作戦コマンド(USSOCOM)にて、主力中距離小型無人航空機(SUAV)として大規模現役運用中 ウクライナ:ウクライナ陸軍、ウクライナ空中強襲軍(第148空中強襲旅団の空中偵察部隊等)、および海軍陸戦隊にて、米国からの直接防衛援助パッケージ(2022年以降の大量供与)を前線の精密昼夜間視察・砲兵目標捕捉用として大規模に実戦現役運用中 トルコ:トルコ陸軍、および国家情報機構(MIT)にて、2016年の購入契約に基づき導入された30機以上のPuma 3 AE(国内企業ALTOY社によるライセンス生産・維持モデル含む)を正規現役運用しているほか、シリア・イラク国境周辺の紛争(PKKとの衝突戦域等)で相手側から追加で直接押収・戦術鹵獲した機体も保有中 イギリス:イギリス海軍(王立海軍・艦隊航空隊の第700海軍航空飛行隊等)にて、各水上戦闘艦や実験艇への派遣展開班用の標準艦載小型ISR(情報・監視・偵察)アセットとして公式現役運用中 カナダ:カナダ陸軍(各戦術歩兵ユニット等)、およびカナダ海軍(キングストン級沿岸防衛艇等における周辺海域・密輸監視用として12機以上)を統合戦術無人機アセットとして公式現役運用中 オーストラリア:オーストラリア陸軍(第6旅団・第20監視偵察連隊など)にて、RQ-11B等と並ぶ地上部隊直協の中距離戦術空中観測フリートとして公式現役運用中 フランス:フランス海軍(海軍コマンド部隊(Commandos Marine)など)にて、2017年の初期調達および2020年の追加購入枠組みに基づき、沿岸・特殊作戦用の潜入偵察アセットとして公式現役運用中 ドイツ:ドイツ海軍(海軍航空隊など)にて、制式名「LARUS(軽量空域偵察無人システム)」として、3システムのRQ-20B Puma AE IIを艦載沿岸・哨戒アセットとして公式現役運用中 スペイン:スペイン陸軍(情報連隊、および各種機械化作戦大隊)にて、NATO相互運用性および海外派遣部隊のフォースプロテクション(部隊防護)用スタンドオフ視界確保のために公式現役運用中 オランダ:オランダ王立国家憲兵隊(Royal Marechaussee:王立マレショーセ)、および陸軍合同情報部隊にて、国境管理・治安維持および過酷環境下の戦術情報収集アセットとして公式現役運用中 ベルギー:ベルギー陸軍(地上作戦コンポーネントの偵察ユニットなど)にて、2017年に米陸軍からのリース形式で導入した機体パッケージをベースに、現在も公式現役運用中 チェコ:チェコ共和国軍(第102偵察大隊など)にて、2018年調達の初期型RQ-20Aに続き、2022年に追加調達した4システムの最新型「Puma 3 AE」を基幹戦術ドローンとして公式現役運用中 デンマーク:デンマーク陸軍(陸軍情報センターなど)にて、中隊・大隊レベルの前線展開戦術チームに追従する自律型空中偵察アセットとして公式現役運用中 エストニア:エストニア陸軍(国防軍の第1・第2歩兵旅団情報小隊など)にて、バルト海沿岸の国境境界監視およびロシア軍への対抗偵察アセットとして公式現役運用中 ラトビア:ラトビア陸軍(地上軍の各戦術大隊など)にて、3システムのRQ-20A Pumaをベースに、安全保障強化プログラムを通じた東部戦線防衛用として公式現役運用中 ノルウェー:ノルウェー陸軍(情報大隊など)にて、2018〜2019年にかけて締結された公式調達契約に基づき、極北地域における地上部隊の全天候状況認識向上のために現役運用中 スウェーデン:スウェーデン陸軍(各歩兵・情報連隊など)にて、2012年の初期調達以降、全天候型のポータブルISRアセットとして公式現役運用中 ギリシャ:ギリシャ陸軍(特殊作戦コマンド、および島嶼防衛部隊)にて、東地中海・沿岸境界地域における迅速な海洋・地上監視能力の維持を目的として公式現役運用中 アルバニア:アルバニア空軍(特殊航空作戦部隊など)にて、2020年にFMS経由で購入し2021年9月より受領した計6機のRQ-20B Puma Block AEを、国内治安およびNATO共同任務用として公式現役運用中 コソボ:コソボ治安軍(KSF:Kosovo Security Forces)にて、軍事近代化および即応能力強化の枠組みにおいて、米国から公式導入された4機のPumaドローンを戦術偵察用に公式現役運用中 コスタリカ:コスタリカ航空警備隊(Air Vigilance Service)にて、米国の軍事援助(グラント資金)プログラムを通じて公式寄贈された1システム(総計6機のPuma AEドローン)を、麻薬密輸取り締まりおよび国境警備用に公式現役運用中 エジプト:エジプト陸軍(特殊作戦部隊および国境不正規警備旅団など)にて、2020年までに引き渡しが完了した「RQ-20B Puma AE II」フリートを、砂漠地帯のテロ対策および境界監視用に公式現役運用中 フィリピン:フィリピン海兵隊(沿岸防衛・特殊作戦航空大隊等)にて、米国の軍事援助資金を介して受領した2システム(計8機のPuma AEドローン)を、群島・南部島嶼地域での戦術監視アセットとして公式現役運用中 ニュージーランド:ニュージーランド陸軍(第1旅団・戦術無人機運用班など)にて、南太平洋地域での作戦評価および高精度情報収集用として、最上位仕様のPumaドローンを限定現役運用中 ポルトガル:ポルトガル海軍(海兵隊特殊作戦ユニット等)にて、2024年に導入が公示された最新の「Puma 3 AE」システムを、洋上臨検および沿岸潜入任務の直協アセットとして公式現役運用中 クルディスタン(自治政府):ペシュメルガ(クルド人武装組織・治安部隊)にて、対ISIL(イスラム国)不正規戦の枠組みにおいて、2021年12月に米国が割り当てた500万ドル規模の軍事支援枠などに基づき供与されたフリートを現役運用中 ロシア連邦:ロシア陸軍、およびロシア国家親衛隊(特殊任務部隊スペツナズ等)にて、ウクライナの前線(ハルキウ、ドンバス、ザポリージャ、クルスク戦域など)において、ウクライナ軍の空中偵察ユニットから戦術鹵獲、あるいは墜落機から回収した電子基板やEO/IRセンサーが機能維持状態にあるRQ-20機体を、技術分析・実戦検証用に不正規現役運用中 |
| Crew (乗員) | 0名(無人機、地上運用時はシステム1式あたり 2〜3名の兵士(ミッションオペレーターおよび機体・地上管制ステーションオペレーター)によってバックパックあるいは単一の輸送ケースから展開・運用される) |
| Dimensions (寸法):全長、全幅(翼幅)、全高 | Puma AE / RQ-20B / Puma 3 AE:L: 1.4 m (4.6 ft) / W: 2.8 m (9.2 ft) / H: 設定なし(手投げ固定翼機であり、地上脚を持たないため機体全高データは公式定義なし) Puma LE:L: 2.2 m (7.3 ft) / W: 4.6 m (15 ft) / H: 設定なし |
| Empty / Max Takeoff Weight (自重 / 最大離陸重量) | Puma AE / RQ-20B:自重(センサー・標準バッテリー含む重量):5.9 kg (13 lbs) / 最大離陸重量(MTOW):6.3 kg (14 lbs) Puma 3 AE:自重(Mantis i45センサー含む総重量):7.0 kg (15.4 lbs) / 最大離陸重量(MTOW):7.0 kg (15.4 lbs) ※オプションのVTOLキットや拡張機材を装着しない標準手投げ時の最大重量 Puma LE:自重(機体単体、センサー含む重量):10.8 kg (23.8 lbs) / 最大離陸重量(MTOW):12.4 kg (27.3 lbs)重量 |
| Powerplant (エンジン):型式、推力 | 1x Electric motor(高効率ブラシレス電動モーター × 1基、機首にプロペラを配置するプッシャー/プル構成。Puma LE等はより高出力化された新型推進システムを採用) / 推力(出力):非公表(リチウムイオン/リチウムポリマー二次電池駆動、オプションのスマートバッテリー「PS2500」等の使用による推進時間の変更に対応) |
| Max Speed (最大速度):マッハ表記、高度別の速度 | Puma AE / RQ-20B / Puma 3 AE:最大運用(ダッシュ)速度:Mach 0.07 (45 knots 〜 47 knots / 83 km/h) / 標準巡航速度:Mach 0.04 (25 knots / 47 km/h) Puma LE:巡航速度:Mach 0.04 (25 knots / 47 km/h) |
| Combat Range (戦闘行動半径) / Ferry Range (航続距離) | 戦闘行動半径(地上管制ステーション(GCS)からの見通し通信範囲):標準デジタルデータリンク(DDL)運用時:15 km 〜 20 km / 拡張型長距離トラッキングアンテナ(LRTA)使用時:60 km(中継アンテナおよび前方パス運用時最大 90 km 〜 100 km) 航続距離(最大飛行持続時間ベース):Puma AE初期型:120分(2時間) / RQ-20B / Puma 3 AE:180分 〜 210分(3時間 〜 3.5時間)以上の徘徊飛行可能 / Puma LE:390分(6.5時間)の連続徘徊飛行が可能 |
| Service Ceiling (実用上昇限度) | 標準巡航高度:地上高度 91 m 〜 914 m (300 ft 〜 3,000 ft AGL) ※通常は500 ft (152 m) AGLを標準展開高度とする 最大運用限界高度(Ceiling):海術 3,200 m (10,500 ft MSL) / 最大発射高度限界(Max Launch Altitude):海抜 3,048 m (10,000 ft MSL) |
| Hardpoints (ハードポイント):ミサイルや爆弾の搭載能力 | なし 機体下部にセンサーやサードパーティ製電子機器モジュールを追加するための補助拡張ベイ「Universal Transit Bay / Auxiliary payload bay」を 1箇所搭載可能 |
| Fixed Armament (固定武装):機関砲の口径、弾数 | なし 機首交換式センサーポッドに以下のいずれかのパッケージの光学・指示アセットを内蔵・装備可能 ・Mantis i45 / Mantis i45 N センサー組(15メガピクセル高解像度デュアルEOカラーカメラ、長波長赤外線(LWIR)サーマルイメージャー、低照度カメラを統合した360度連続回転・チルト式ジンバルシステム) ・統合型赤外線レーザーイルミネーター(860 nm IR Laser Illuminator / 標的指示用、一部バリアントには最新のレーザーターゲットディジグネーター(LTD)の統合対応を含む) |








