UAV(近距離用)JUXS-S1 (JMO-S1)

JUXS-S1

概要と開発の背景

UAV(近距離用)JUXS-S1(無人機本体名称:JMO-S1)は、2000年代後半から2010年代初頭にかけて日本の防衛省技術研究本部(当時)の要求のもと、Hitachi, Ltd.(株式会社日立製作所)とKawada Industries, Inc.(川田工業株式会社)によって共同開発され、2011年(平成23年)2月より陸上自衛隊へ配備が開始された小型の戦術偵察用無人航空機システムである。陸上自衛隊では従来、広域や中域の偵察・観測には「遠隔操縦観測システム(FFOS)」や「無人偵察機システム(FFRS)」などの大型・中型UAVが用いられていた。しかし、これらは大型の車両群や地上インフラを必要とし、最前線の小隊や中隊単位の隊員が直面する山林、市街地、建造物の陰といった近距離の視界外における敵状況を即座に確認するには適していなかった。歩兵部隊や小規模部隊が自ら携帯・手軽に運用でき、危険な近距離エリアの状況を安全かつ速やかに把握できる小型軽量な即応型偵察アセットの獲得ニーズが高まったことで本システムの開発がスタートした。

構造と技術的特徴

構造上の最大の特徴は、滑走路や大がかりな発射機を必要としない無尾翼構造の小型固定翼機であり、手投げ(手投擲)またはゴムロープ(バンジー)によって手動射出できる利便性と高い可搬性を備えている点にある。機体(JMO-S1)は全幅約1.5m、全重約3.9kgという極めて軽量な設計であり、胴体や主翼の分解が可能である。機体構造材には耐衝撃性に優れた強化発泡スチロール(発泡ポリプロピレン等)が採用されており、不整地への着陸時や落下の衝撃による破損を防ぎ、狭小地での滑空着陸や回収用ネットによる着捕に対応する。パワーユニットには静粛性に優れた電動モータを搭載し、低視認性と低騒音性を確保している。システム全体は無人機本体、市販のノートPC(Panasonic製TOUGHBOOK等)を基盤とした地上制御装置、アンテナ、伝送処理機材で構成され、専用バッグに納めて隊員2名で手軽に運搬可能である。機首・胴体部には可視光カメラや赤外線カメラなどの光学センサーが組み込まれており、GPSによるプログラム自律飛行とともに、収集した画像・映像データをネットワークを介して10式戦車や地上指揮所へリアルタイム伝送する機能を備えている。

運用実績と評価

2011年2月の初号機納入以降、陸上自衛隊の普通科部隊をはじめ、情報部隊や戦車部隊など前線の小規模部隊へ順次導入・運用されている。実際の野外演習や戦術訓練においては、大型装備の支援を受けずに2名の隊員のみで即座に組み立て・手投げ発射ができる運用柔軟性と、敵の警戒線や障害物の奥に位置する先遣目標を速やかに捉える近距離偵察能力が高く評価された。特に市街地戦闘や山岳・樹林帯での状況解明において、隊員が直接危険に身を晒すことなく死角の敵配置や地形情報を取得できる安全な眼として機能した。また、地震や土砂災害などの大規模災害派遣においても、道路が途絶した孤立地域や接近困難な崩壊現場へ迅速に投じられ、上空からの被災状況把握や救難ルートの確認に実効性を発揮した。大がかりな基地設備を要しない日本初の本格的な携帯型手投げ式戦術ドローンとして、陸上自衛隊の近距離警戒・情報収集体制の基盤を築く実績を残した。

Official Name (正式名称)UAV(近距離用)JUXS-S1 (JMO-S1)
Country of Origin (開発国)日本
Manufacturer (製造メーカー)株式会社日立製作所、川田工業株式会社
Designed (設計年)2000年代後半に防衛省技術研究本部のもとで試作・開発が行われ、2011年2月より陸上自衛隊への部隊配備を開始
Primary Operators (主な運用組織)日本: 陸上自衛隊(各方面情報隊、普通科連隊の情報小隊など)
Crew (乗員)なし (市販のノートパソコンをベースにした地上制御装置を用い、最低2名の地上要員でシステム全体の運搬・運用が可能)
Dimensions (寸法):全長、全幅(翼幅)、全高L: 約1.0 m, W: 約1.5 m, H: 約0.3 m (※無尾翼式の小型固定翼形状)
Empty / Max Takeoff Weight (自重 / 最大離陸重量)Empty Weight (自重): 非公開
Max Takeoff Weight (最大離陸重量): 3.9 kg
Powerplant (エンジン):型式、推力2x 小型電動モーター
Max Speed (最大速度):マッハ表記、高度別の速度最高速度: 約60 km/h – 80 km/h
Combat Range (戦闘行動半径) / Ferry Range (航続距離)Combat Range: 数十km (地上統制装置とのデータリンク有効通信範囲内)
Ferry Range: 連続飛行時間 約1時間 – 1.5時間 (※搭載バッテリーの最大容量による運用制限時間)
Service Ceiling (実用上昇限度)約1,500 m – 2,000 m (運用上の標準フライト高度は地上数百メートル以下の低空域)
Hardpoints (ハードポイント):ミサイルや爆弾の搭載能力なし (ミサイルや爆弾などを搭載するハードポイント、ウイングマウントは非搭載。機体胴体下部に情報収集用の各種小型センサーを格納)
Fixed Armament (固定武装):機関砲の口径、弾数なし (固定式の機関砲や自衛火器は非搭載。強化発泡スチロール/発泡ポリスチレンを主とした複合材料の軽量機体に、可視光カメラや赤外線カメラなどの観測ミッションペイロードのみを搭載する純粋な戦術偵察アセット)

OPERATING FORCES / 運用国・軍種

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画像の引用元
  1. By Hunini – Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=52221921
  2. By Hunini – Own work, CC BY-SA 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=22867370
  3. By Hunini – Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=52221927
  4. By Hunini – Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=52221929

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