

概要と開発の背景
SIG Sauer P226は、1980年代初頭にスイスのSIG(Schweizerische Industrie Gesellschaft)とドイツのJ.P. Sauer & Sohnが設立したSIG Sauerによって開発された9x19mmパラベラム弾を使用する半自動式拳銃である。開発の直接的な契機となったのは、1970年代末からアメリカ軍が実施した、老朽化が進むM1911A1および各軍で分散運用されていた拳銃類を統一・更新するための制式拳銃採用試験(XM9トライアル)であった。前身にあたるSIG Sauer P220は高い精度と耐久性で評価を得ていたものの、単列弾倉(シングルカラム方式)を採用していたため装弾数が9発にとどまっていた。これに対し米軍の要求仕様では、13発以上の多弾数弾倉(ダブルカラム方式)や、過酷な環境下での安定した動作、安全かつ迅速な操作性が提示された。これを受けてP220の優れた基本構造を継承しつつ、大容量マガジンに対応するよう全面改修され、1983年に完成したモデルが本機である。
構造と技術的特徴
構造上の最大の特徴は、改良型ブローニング方式によるショートリコイル機構と、マニュアルセフティ(手動安全装置)を配した独自の安全操作体系にある。従来の閉鎖突起を廃し、角型の薬室(チャンバーブロック)をスライドの排莢口に直接噛み合わせる作動方式を採用することで、構造の簡略化と高い信頼性を実現している。フレームには軽量かつ高強度の鍛造アルミニウム合金が用いられ、スライドには耐摩耗性に優れたスチール材(初期型はスチールプレス材、後にスチール削り出し)が採用された。安全メカニズムとしては、フレーム左側に配置されたデコッキングレバーと自動針ブロック機構を統合している。これにより、ハンマーを起こした状態から安全にハンマーダウン操作を行うことができ、落下の衝撃等による予期せぬ作動を防ぎつつ、ダブルアクション(DA)による即時射撃とシングルアクション(SA)による精密射撃を両立させる合理的な設計思想が具現化されている。
運用実績と評価
XM9トライアルにおいては、厳しい砂塵・泥水・過酷環境試験をクリアし、Beretta 92FSとともに最終候補に選定された。最終的なシステム調達価格の差で全軍制式採用こそ逃したものの、その卓越した作動信頼性と極めて高い命中精度が各国機関から絶大な評価を受けた。その後、アメリカ海軍特殊部隊(Navy SEALs)において「Mk 25」の名称で正式採用されたほか、アメリカ連邦捜査局(FBI)、シークレットサービス、沿岸警備隊、イギリス軍(L105A1として導入)、ならびに世界各国の警察特殊部隊(SWAT等)において広く導入された。過酷な塩害や不整地環境下でも確実に動作する信頼性から現場の運用者より厚い信頼を獲得し、コンパクト型のP228や.40S&W弾対応のP229、グリップ形状を改善したE2モデルなど多様な派生型が展開された。現代においても、ポリマーフレーム機が普及する中で金属フレーム製自動拳銃の最高峰として評価されている。
| Official Name (正式名称) | SIG Sauer P226 |
| Country of Origin (開発国) | ドイツ / スイス |
| Manufacturer (製造メーカー) | SIG Sauer GmbH & Co. KG(現:SIG Sauer) |
| Designed (設計年) | 1980年代前半にアメリカ軍次期制式拳銃選定試験向けとして開発され、1984年頃から各国軍・法執行機関で運用が開始された自動拳銃 |
| Primary Operators (主な運用組織) | アメリカ合衆国: アメリカ海軍(特殊戦コマンド「Navy SEALs」がMK25として長年主力運用)、アメリカ沿岸警備隊、アメリカ特殊作戦軍(SOCOM)、連邦捜査局(FBI SWAT)、シークレットサービス(USSS) ― P226、P226R、P226 MK25を運用 日本: 海上自衛隊(特別警備隊(SBU)の臨検・海上特殊作戦用副兵装として配備) ― P226Rを運用 イギリス: イギリス陸軍(L131A1(Glock 17 Gen 4)の導入前に緊急調達(UOR)等で配備された予備インベントリ。現在は一部の特殊部隊や予備アセットとしてのみ維持)、イギリス海軍(SBSなどの特殊部隊枠でのみ、装備アセットとして少数維持)、 / L105A2・L106A1・L106A2(レイル付・耐塩水防錆仕様)として運用 オーストラリア: オーストラリア国防軍(陸軍、海軍の各特殊部隊・水上艦艇部隊) ― P226を運用 カナダ: カナダ特殊作戦軍(第2合同タスクフォース(JTF-2))、王立カナダ騎馬警察(RCMP特任隊) ― P226を運用 フランス: フランス海軍(海軍コマンドの対テロ・人質救出部隊(ECTLO))、国家ゲンダメリ(国家憲兵隊)特殊部隊(GIGN) ― P226を運用 ドイツ: ドイツ連邦海軍(海軍特殊作戦部隊「Kampfschwimmer(戦闘水泳員)」等)、各州警察特殊出動大隊(SEK)、連邦刑事庁(BKA) ― P226を運用 ウクライナ: ウクライナ軍(各種特殊作戦部隊、情報総局(GUR)所属部隊等) ― 鹵獲品や西側支援によるP226、およびイラン製等の派生コピー品を一部運用 オランダ: オランダ王立海軍(海兵隊特殊作戦部隊「M-Squadron(旧BBE)」) ― P226を運用 ニュージーランド: ニュージーランド国防軍(陸海空軍、特殊部隊(NZSAS)) ― P226ALの制式名で運用 フィンランド: フィンランド国防軍(陸軍、国境警備隊特殊部隊) ― P226を運用 アイルランド: アイルランド国防軍(陸軍レンジャー部隊(ARW))、政府警察(武装情報部・緊急対応部隊(ERU)) ― P226を運用 イスラエル: イスラエル国防軍(各種特殊部隊、サイェレット・マトカル等) ― P226を運用 大韓民国: 大韓民国海軍(海軍特殊戦旅団(ROKN UDT/SEAL)) ― 海上防錆仕様のP226Nを運用 中華民国(台湾): 中華民国海軍(海軍陸戦隊・特任部隊) ― 耐塩水仕様のP226 MK25を運用 シンガポール: シンガポール共和国軍(陸軍、海軍特殊部隊(NDU)) ― P226を運用 マレーシア: マレーシア陸軍(第10パラシュート旅団、特殊作戦群(GGK))、マレーシア王立空軍(特殊空挺部隊(PASKAU))、王立警察(特殊部隊) ― P226を運用 インドネシア: インドネシア陸軍(特殊部隊(Kopassus))、インドネシア海軍(特殊潜水戦隊(Kopaska))、インドネシア空軍(迅速行動部隊(Kopasgat)) ― P226を運用 タイ: タイ王立陸軍、タイ王立海軍(特殊戦コマンド(SEALs)) ― P226を運用 ミャンマー: ミャンマー軍(陸軍、特殊作戦部隊) ― P226および中国製派生コピー品を運用 パキスタン: パキスタン海軍(特殊任務舟艇部隊(SSG(N)))、パキスタン陸軍(特殊任務群(SSG)) ― P226を運用 サウジアラビア: サウジアラビア軍(各種特殊部隊、海軍陸戦隊) ― P226を運用 トルコ: トルコ海軍(水中攻防部隊(SAT/SAS)) ― P226を運用 ギリシャ: ヘレニック陸軍(特殊作戦部隊)、警察対テロ特殊部隊(EKAM) ― P226を運用 スペイン: スペイン国家警察(国家警察特殊作戦グループ(GEO)) ― P226を運用 ポーランド: ポーランド特殊軍(特別行動部隊「GROM」等) ― P226を運用 ルーマニア: ルーマニア陸軍(特殊作戦軍(FOS))、国家憲兵隊(特別介入旅団(BSIJ)) ― P226を運用 スロベニア: スロベニア軍(特殊作戦部隊、憲兵SWAT)、スロベニア警察(特殊部隊「CT」) ― P226、P226 Enhanced Eliteを運用 ジョージア: ジョージア軍(各種特殊部隊)、内務省警察特殊部隊 ― P226を運用 エジプト: エジプト陸軍(空挺部隊、特殊作戦部隊「サカ・Unit 777」)、エジプト海軍(特殊部隊) ― P226を運用 コロンビア: コロンビア海軍(海兵隊特殊部隊)、国家警察 ― P226を運用 チリ: チリ海軍(海軍特殊戦コマンド) ― P226を運用 トリニダード・トバゴ: トリニダード・トバゴ警察サービス(防犯武装部隊) ― P226を運用 中華人民共和国(※派生ライセンス・コピー生産品): 中国人民解放軍(一部の特殊作戦部隊)、地方公安特警(湖北省SWAT、上海市SWAT、天津市SWATなど) ― 北方工業公司(NORINCO)がP226をデッドコピー・ライセンス生産した派生品「NP22」および改良型「NP22A」を大量に運用 イラン(※非公式リバースエンジニアリング): イランイスラム革命防衛隊(IRGC)、イラン回教共和国軍 ― 鹵獲品等から国防工業組織(DIO)が逆設計したデッドコピー派生品「ZOAF(ゾアフ)」を自国籍部隊に配備・運用 |
| Type (種類) | 半自動式拳銃 |
| Caliber (口径) | 9×19mm Parabellum |
| Action (作動方式) | ショートリコイル(SIG Sauer方式プロップアップ閉鎖 / ハンマー式、シングル・ダブルアクション) |
| Overall Length (全長) | 196 mm |
| Barrel Length (銃身長) | 112 mm |
| Weight (重量) | 0.84 kg(弾倉を除く) |
| Rate of Fire (発射速度) | セミオートマチック |
| Effective Range (有効射程) | 50 m |
| Feed System (給弾方式) | 15 round magazine |
OPERATING FORCES / 運用国・軍種
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画像の引用元
- By Rama – Own work, CC BY-SA 2.0 fr, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=4336494












