M1152/M1152A1 HMMWV (Heavy cargo truck)

M1152/M1152A1 HMMWV (Heavy cargo truck)
M1152/M1152A1 HMMWV (Heavy cargo truck)

概要と開発の背景

M1152および改修型M1152A1 HMMWV(Heavy Cargo / Troop / Shelter Carrier)は、2000年代初頭にアメリカのAM General LLCが開発し、2006年よりアメリカ陸軍やアメリカ海兵隊へ本格導入された4×4輪駆動の拡張積載能力型(ECV)重荷役・兵員・通信シェルター輸送車である。開発の背景には、イラク紛争やアフガニスタン紛争で激化した即席爆発装置(IED)や地雷の強烈な脅威に伴い、従来の非装甲・軽量型ハンヴィー(M1097A2等)における防護力不足と、現場での装甲追加に伴う過重負担という深刻な問題が存在した。従来の車体では増加装甲の重量に耐えきれず、走破性の低下や足回りの破損が相次いでいた。部隊は通信シェルター(S250等)や大容量物資の運搬において、高い基本積載能力を保ちつつ、任務や脅威レベルに応じて現地でモジュール式増加装甲(B-Kit等)をボルトオンで着脱できる柔軟な新世代重プラットフォームを強く求めた。これに応えるため、強化型のM1113 ECVシャーシをベースにモジュール装甲対応機能を組み込んだ軽汎用車として本車両が構築された。

構造と技術的特徴

構造上の最大の特徴は、最大車両総重量12,100lbs(約5,488kg)に対応する超強靭なECVシャシーと、IAP(Integrated Armor Protection)/ Armor Ready構造を統合している点にある。基本型のM1152は無装甲状態で最大5,100lbs(約2,313kg)の積載能力を持ち、M1152A1仕様では外周増加装甲や頭部防護パネル、リア弾道バリア隔壁で構成されるB2キットおよび各種Fragキットを現地でボルトオン装着可能である。2名乗りのフロント装甲キャビン後部には広大なフラットベッドが確保され、S250/S280通信シェルターの固定載置や、対面式ベンチシートおよび耐破片保護シェルター包囲体を備えた最大8名の兵員輸送に対応する。パワートレインには190hpを発揮するGeneral Engine Products製6.5L V8ターボディーゼルエンジンとGeneral Transmission Products製4速自動変速機、2速トランスファーを標準搭載し、15,000 BTUの高出力エアコンシステムを備える。車輪ハブ内のポータルギアハブ構造により最低地上高約44.2cmを確保し、ヘビーデューティー可変レートスプリングが重積載時の走行安定性を確保している。

運用実績と評価

2006年の部隊配備開始以降、M1152/M1152A1はアメリカ陸軍、アメリカ海兵隊、アメリカ空軍、アメリカ海軍の補給大隊や通信連隊、野戦砲兵部隊に広く制式採用され、中東をはじめとする過酷な実戦環境へ大量投入された。実際の運用においては、旧式のM1097A2やM1123では困難であった「重追加装甲を保持した状態での大容量物資および通信シェルターの安定輸送」において卓越した現場貢献度を実証した。過酷な不整地や酷暑環境において、脅威に応じて防護力を調整できるモジュール装甲の柔軟性と、高出力ターボディーゼルエンジンおよび強力なエアコンによる乗員環境の維持が現場部隊から高く評価された。移動指揮ポストの基盤や各種火器支援システム(ETF-S等)の移動台座としても多用され、遠征部隊の物流・通信網を支える基幹車輌としての立ち位置を確立した。後継となる統合軽戦術車両JLTVへの移行が進められているものの、拡張能力型ハンヴィーファミリーの頼れる重荷役アセットとして現在も第一線で現役運用が続けられている。

Official Name (正式名称)M1152/M1152A1 HMMWV (Heavy cargo truck)
Country of Origin (開発国)アメリカ合衆国
Manufacturer (製造メーカー)AM General
Designed (設計年)ベースとなる高機動多用途輪装車ファミリーの初期要求仕様策定に伴う設計年は1979年であり、初期型フリートの運用開始年は1985年である一方、1990年代初頭の各種地域紛争における乗員保護性能の強化要求を受け、AM General社とO’Gara-Hess & Eisenhardt Armoring Company社によって拡張容量シャシー(ECV:Expanded Capacity Vehicle)をベースとした重装甲パッケージ一体型の新規設計開発が完了した設計年は1995年であり、量産フリートの引き渡しおよび部隊配備(運用開始)年は1996年である。
Primary Operators (主な運用組織)アメリカ合衆国:アメリカ陸軍、アメリカ陸軍ナショナルガード(各州兵部隊)、アメリカ海兵隊、アメリカ空軍、アメリカ海軍(Armor-Ready仕様のM1152A1を中心に、オープンカーゴトラック、人員輸送、各種特殊シェルター搭載のユーティリティベース、および海軍向けローリングシャーシとして全軍で主力配備・運用)
サウジアラビア:サウジアラビア陸軍(対外有償軍事援助[FMS]を通じて、工場製造型装甲強化パッケージを統合したM1152A1-B2バリアントを公式に調達・配備運用)
モロッコ:モロッコ陸軍(FMS防衛調達に基づき、AN/MPQ-64F1 Sentinel 対空レーダーシステムの牽引および専用システムキャリア仕様としてM1152を正規配備・運用)
台湾:中華民国陸軍(FMS調達プログラムに基づき、M142 HIMARS(高機動ロケット砲システム)フリートの随伴支援および運用システムキャリア機材としてM1152A1を公式導入・配備運用)
レバノン:レバノン陸軍(FMS供与パッケージおよび米国国防総省調達契約修正に基づき、M1152シリーズを正規調達して公式配備運用)
ウクライナ:ウクライナ陸軍(対米軍事援助パッケージを介してM1152およびM1152A1を正規導入。オープンカーゴの戦術輸送トラック仕様のほか、AM General社製造の特殊仕様M1152野戦救急車[M1152 HMMWV Ambulance]なども前線に公式配備・運用)
フィリピン:フィリピン陸軍(FMSケースを介してM1152フリートを公式調達。車体後部に専用の医療用シェルター[Ambulance Shelter]を統合した戦術救急車仕様として各前線衛生部隊等に正規配備・運用)
コロンビア:コロンビア陸軍(FMSプログラムに基づき、M1152およびM1152A1シリーズの拡張容量積載貨物バリアントを公式導入し、戦術ロジスティクス輸送部隊において運用)
イラク:イラク陸軍(FMSパッケージ経由でM1151装甲キャリアと並び、大型貨物および各種シェルターキャリア[Shelter Carrier]仕様のM1152シリーズを正規調達し運用)
ルーマニア:ルーマニア陸軍(NATO標準化プログラムおよび米国の防衛調達契約ルートに基づき、M1152バリアントを含む拡張容量仕様フリートを公式に配備・運用)
ボスニア・ヘルツェゴビナ:ボスニア・ヘルツェゴビナ国防軍(安全保障援助契約および公式なFMS調達レコードを通じてM1152シリーズを含むHMMWVファミリーを公式導入し、戦術輸送機材として配備・運用)
メキシコ:メキシコ陸軍(防衛装備調達・FMS契約コードに基づき、不整地における機動ロジスティクスおよびユーティリティトラック仕様としてM1152シリーズを正規保有・運用)
アフガニスタン:アフガニスタン国民軍(AM General社による大型製造供給契約に基づきM1152A1B2バリアントを計414台以上正規調達・配備されていたが、組織解体に伴い現役の正規軍事運用ステータスは消滅。現在はタリバン政権の武装組織が残存機材を鹵獲し非公式に運行・管理)
Crew / Capacity (乗員および兵員輸送数)2名 / 兵員輸送数:最大8名(車体後部のオープンカーゴエリアにTroop Seatを装着した場合に最大8名の追加人員輸送に対応可能)
Combat Weight (戦闘重量)Vehicle Curb Weight (自重):6,100 lbs (2,767 kg) ※M1152基本仕様
Maximum Gross Vehicle Weight (最大総重量):11,500 lbs (5,216 kg) 〜 12,100 lbs (5,488 kg) ※B-kit等装甲装着バリアントにより変動
Payload Capacity (最大積載量):5,110 lbs (2,318 kg) 〜 6,000 lbs (2,722 kg)
Dimensions (寸法: 全長/全幅/全高)W (全幅):86 in (2.18 m)
L (全長):190 in (4.83 m) ※砲身含まず
D (全高):76 in (1.93 m) ※ソフトトップ/キャビン最上部全高
Armor (装甲の詳細: 複合装甲、ERA、APSの有無)M1152基本仕様は非装甲。M1152A1仕様はIntegrated Armor Protection (IAP)として工場出荷段階で下部装甲が標準統合されたArmor-Ready設計を採用。さらに現地で着脱拡張が可能なPerimeter armorおよびOverhead armorを含むモジュラー装甲パッケージ(B-Kit)を追加統合可能。
Main Armament (主武装)None
Secondary Armament (副武装)None
Engine (エンジン出力 hp/kW)General Engine Products (AM General子会社) OPTIMIZER 6500 6.5 Liter V8 Turbocharged Diesel Engine
出力:190 hp (142 kW) @ 3,400 rpm / トルク:380 lb-ft (515 N·m) @ 1,700 rpm
Max Speed (最高速度: 整地/不整地)Paved (整地):70 mph (113 km/h)
Operational Range (航続距離)最大 250 miles (402 km) ※燃料タンク総容量25ガロン(95リットル)使用時

OPERATING FORCES / 運用国・軍種

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画像の引用元
  1. By Sgt. 1st Class Robert Jordan – https://www.dvidshub.net/image/2855313/nc-guard-soldiers-deploy-moldova-multinational-exercise-fire-shield-2016, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=137885992

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