


概要と開発の背景
CSB Mk 4 / Mk 5(Combat Support Boat Mk 4 / Mk 5)は、1970年代末よりイギリスのFairey Allday Marine(後にRTK MarineおよびBAE Systemsが改修・製造を統合)が開発し、イギリス陸軍に制式導入された戦術支援・工兵作業艇である。開発の背景には、河川や不整地沿岸領域における過酷な渡河作戦において、旧式化した低出力な木製・金属製作業艇の老朽化と、近代的な仮設浮橋(BR90橋梁システムやMGB等)の迅速な架設・押し引き作業を完遂するための高推力・高機動作業艇の更新ニーズが存在した。前線の戦闘工兵(王立工兵隊)部隊が、浮きロープや浅瀬の障害物に左右されず、強力な推力と機動性を発揮して橋梁モジュールの推進、仮設ポンツーンの連結、ならびに物資や隊員の迅速な水上輸送を行えるよう、全天候型高機能プラットフォームとして開発が進められた。
構造と技術的特徴
構造上の最大の特徴は、高強度グラスファイバー(GRP)またはアルミニウム合金製の軽量かつ堅牢な船体に、双発のターボディーゼルエンジン(Sabre / Cummins等)とHamiltonJet製ウォータージェット推進システムを統合している点にある。従来のスクリュープロペラを廃したウォータージェット推進の採用により、わずか0.66mという浅喫水での走行が可能となり、水中の障害物や浮遊物の巻き込みリスクを完全排除している。さらに、ウォータージェットの逆推進バケット(Reverse Bucket)機構を利用することで、最高速度40km/hの全速力状態から船身とほぼ同等の極めて短い距離で完全停止できる画期的な制動性能と、その場での360度超小回り旋回能力を獲得している。船体前部にはポンツーンや仮設橋モジュールを力強く固定・押航するための強化バウ(押し当てバンパー)が装備され、フラットな甲板構造により最大2tのNATO標準パレットや完全装備の兵員10名を安定して載置・輸送できる。
運用実績と評価
制式化および配備以降、CSB系列(Mk 4 / Mk 5等)はイギリス陸軍の王立工兵隊(Royal Engineers)をはじめ、アメリカ陸軍(US Army)、NATO加盟国軍、および世界各国の軍・防衛機関に広く制式導入・運用されている。実際の運用においては、1982年のフォークランド紛争における遠征補給や、イラク戦争、アフガニスタンでの作戦展開、ならびに欧州各地でのNATO大規模統合渡河演習へ継続投入された。過酷な河川環境下におけるポンツーン浮橋の迅速設営、潜水作戦支援、沿岸哨戒、ならびに戦術再補給ミッションにおいて極めて高い耐久性と安全性を証明した。滑走状態からの画期的な急停止・超小回り操縦性と、浅瀬を選ばない圧倒的な走破性能が前線部隊から極めて高く評価されている。長年にわたり英軍をはじめとする同盟国機甲・歩兵旅団の渡河作戦を足元から支える標準工兵作業艇(Bridging Boat)として揺るぎない位置を保持している。
| Official Name (正式名称) | CSB Mk 4 / Mk 5 (Combat Support Boat Mk 4 / Mk 5) |
| Country of Origin (開発国) | イギリス |
| Manufacturer (製造メーカー) | RTK Marine (BAE Systems) / BAE Systems Surface Ships ※旧 FAIREY ALLDAY MARINE (初代CSB開発メーカー) |
| Designed (設計年) | 初期型の基本デザイン(初代CSB)が1975年にイギリスのFairey Allday Marine社により提出され1977年に試作機が完成、1979年に制式採用されて1980年より本格導入されたシリーズの改良発展型であるが、「CSB Mk 4」および「CSB Mk 5」としての個別の単一設計年および運用開始年については不明 |
| Primary Operators (主な運用組織) | イギリス:イギリス陸軍(王立工兵第24コマンド工兵連隊、第28工兵連隊、第32工兵連隊、第36工兵連隊、王立兵站群第17港湾海事連隊、第165港湾海事連隊等において浮橋・メキシフロート架設および牽引、渡河作戦支援、港湾・潜水作業支援用として配備・運用)、イギリス海兵隊(水陸両用作戦支援等として運用) アメリカ合衆国:アメリカ陸軍、アメリカ海兵隊(CSBの設計をベースに開発された大規模改修・派生型の架橋支援艇M30 Bridge Erection Boatを運用) |
| Displacement (排水量):基準排水量 / 満載排水量 | 基準排水量: 不明 満載排水量: 不明 ※総重量 (Weight / Mass): 約 4,080 kg – 4,700 kg、満載重量 約 6,000 kg 〜 6,500 kg |
| Dimensions (寸法):全長、最大幅、喫水 | L (全長): 約 8.20 m 〜 8.80 m (約 26.9 ft 〜 28.8 ft) W (全幅): 約 2.50 m (約 8.2 ft) H (全高): 約 2.79 m (約 9.1 ft) D (喫水): 約 0.66 m (約 2.1 ft) ※満載時 |
| Propulsion (機関): | 2× Marine Diesel Engines (Sabre / Perkins 等のターボディーゼルエンジン) 推進器: 2× Dowty Water-jets (ウォータージェット推進) 出力: 不明 |
| Speed (速力): | 最大速度: 約 21.5 kt – 30.0 kt (約 40 km/h – 55 km/h / 満載時 約 16 kt / 30 km/h) |
| Range (航続距離): | 不明 (燃料タンク容量: 約 227 L / 60 gallons) |
| Complement (乗員数): | 2名 – 4名 (操縦士、乗組員) + 完全装備の兵員10名または約2トンの貨物を積載可能 |
| Sensors and Processing Systems (センサー・レーダー): | 航法用レーダー・水上通信機器・各種航海用補助センサー |
| Armament (兵装): | None (機関銃用の手動マウントを装備可能) |
| Aircraft Carried (艦載機)、 Carrying capacity(積載能力): | 浮橋(ポンツーンブリッジ)架設・推進能力、ダイビング支援能力、水上パトロールおよび要員・物資輸送能力 |
OPERATING FORCES / 運用国・軍種
PR:関連商品
画像の引用元
- British Army / Crown Copyright (Licensed under the Open Government Licence v3.0)
- Photo: POPhot Alex Ceolin / UK MOD © Crown copyright 2025, via Defence Imagery. Licensed under the Open Government Licence (OGL).
- Photo: Sergeant Rupert Frere RLC / UK MOD © Crown copyright, via Defence Imagery. Used under the MOD Crown Copyright News / Editorial Licence.












