Mitsubishi UH-60J / JII

Mitsubishi UH-60J

概要と開発の背景

三菱 UH-60J(Mitsubishi UH-60J)および能力向上型 UH-60JII(通称 UH-60J(SP))は、1980年代後半にアメリカの Sikorsky Aircraft(現 Lockheed Martin Company)が開発した多用途ヘリコプター UH-60 Black Hawk を基盤とし、日本の防衛庁(現防衛省)の要求仕様に基づいて三菱重工業がライセンス生産を行った双発救難ヘリコプターである。導入の背景には、昭和期から航空自衛隊および海上自衛隊の救難隊や救難飛行隊で主力機として運用されてきた前世代機 KV-107 や S-61A の老朽化に伴う全面更新ニーズが存在した。日本周辺の過酷な洋上および山岳地域において、夜間や悪天候下でも確実な救難捜索活動を実施するため、優れた航続性能、高高度飛行安定性、ならびに全天候性能を兼ね備えた新世代の救難プラットフォームの導入が決定された。昭和63年度(1988年度)予算より防衛省での調達が開始され、1991年(平成3年)から部隊納入がスタートした。さらに、2015年(平成27年)からは全天候性と航続力、自衛機能を大幅に強化した能力向上型 UH-60JII(J改修機)の納入が行われた。

構造と技術的特徴

構造上の最大の特徴は、Sikorsky Aircraft 譲りの耐衝撃性に優れた低全高サスペンション構造と全金属・複合材料複合フレームを持ちつつ、機首部に気象レーダーおよび赤外線暗視装置(FLIR)を標準組み込みした救難専用のメカニズムを有する点にある。推進システムには General Electric Company 製 T700 ターボシャフトエンジンを IHI がライセンス生産した T700-IHI-401C(または T700-IHI-701D)2基を搭載し、強い潮流や山岳における局地風の中でも安定したホバリング性能を発揮する。前級の KV-107 や S-61A と比較して巡航速度が飛躍的に向上したほか、機体側面に大型の救難ホイスト装置を備え、一度に複数名の遭難者を収容可能なキャビン設計を持つ。能力向上型である UH-60JII においては、機首右下部へのプローブ&ドローグ式空中給油受油装置(伸縮式受油プローブ)の装着、液晶マルチファンクションディスプレイ(MFD)で構成された統合デジタル・グラスコクピット化、ミサイル警報装置(MAWS)やチャフ/フレア・ディスペンサー等の自衛装備の追加が施された。

運用実績と評価

1991年の受領開始以降、UH-60J は航空自衛隊の航空救難団(全国11か所の救難隊)および海上自衛隊の各航空群に制式採用され、通算100機以上が導入・運用された。実際の運用においては、救難捜索機 U-125A や P-3C とペアを組み、洋上・山岳での遭難救助任務や、東日本大震災をはじめとする大規模自然災害派遣へ投じられた。航空自衛隊仕様機においては、防空識別圏(ADIZ)の大部分をカバーする約1,295kmの航続性能を発揮し、空中給油機能を有する後期型および UH-60JII では、KC-130H からの空中給油により連続滞空時間および進出距離を大幅に延伸させた。海上自衛隊の機体は2024年に運用を終了させたが、航空自衛隊においては夜間暗視能力とGPS/INS高精度航法システムに支えられた高い救難完遂率が高く評価され、能力向上型 UH-60JII への更新を伴いながら第一線で現役運用が続けられている。

Official Name (正式名称)Mitsubishi UH-60J / JII
Country of Origin (開発国)日本 (ベース機は アメリカ合衆国)
Manufacturer (製造メーカー)三菱重工業 (ライセンス生産)
Designed (設計年)開発ベースとなった原型機(シコルスキーUH-60A)の初飛行は1974年11月29日に実施されている。運用開始年については、UH-60Jが昭和63年度より調達が開始され、1990年の初飛行を経て、1991年に初号機が納入されたことで運用が開始されている。また、後継機となる能力向上型のUH-60J IIについては、2010年11月に機種選定が行われた後、2015年7月に初号機が納入され、順次運用が開始されている。
Primary Operators (主な運用組織)日本:航空自衛隊(航空総隊航空救難団救難教育隊、千歳救難隊、松島救難隊、秋田救難隊、百里救難隊、新潟救難隊、小松救難隊、浜松救難隊、芦屋救難隊、新田原救難隊、那覇救難隊)
なお、海上自衛隊仕様機は2024年12月6日に全機除籍され運用終了
Crew (乗員)4名 または 5名(航空自衛隊の公式データ内で、防衛省JASDF装備ページ等では「4名」または「5人」と異なる記載が存在する。内訳は操縦士2名、機上整備員、救難員等。搭乗可能な兵員等の明確な公式輸送人数仕様は不記載のため不明
Dimensions (寸法):全長、全幅(翼幅)、全高L (全長): 15.65 m (51 ft 4 in) [ローター部を含む場合は 19.76 m (64 ft 10 in) または 19.8 m (64 ft 11 in)]
W (全幅/翼幅): 5.43 m (17 ft 10 in) [ローター部を含む場合は 16.36 m (53 ft 8 in) または 16.4 m (53 ft 10 in)]
H (全高): 5.13 m (16 ft 10 in) [一部の公式データでは 5.1 m (16 ft 9 in) ]
Empty / Max Takeoff Weight (自重 / 最大離陸重量)自重 (Empty Weight): 非公開、開発ベース機の基本自重仕様として 10,624 lb (4,819 kg)
最大離陸重量 (Max Takeoff Weight) / 全備重量: 約10.0 t (約22,046 lb) [一部の公式データでは 9.2 t と記載される。民間データの一部には最大離陸重量 11,100 kg とする記載も存在]
Powerplant (エンジン):型式、推力型式: 2x 石川島播磨重工業(現IHI) T700-IHI-401C ターボシャフトエンジン
推力(出力): 1基あたり 1,662 shp(連続) / 1,800 shp(離昇)
Max Speed (最大速度):マッハ表記、高度別の速度マッハ表記: Mach 0.22
最高速度として 143 kt (約265 km/h または約266 km/h)、巡航速度として 127 kt (約235 km/h) とされる
Combat Range (戦闘行動半径) / Ferry Range (航続距離)航続距離 (Ferry Range): 約1,295 km [民間データの一部にはフェリー飛行時航続距離 2,200 km とする記載も存在]
Service Ceiling (実用上昇限度)約13,720 m [ベース機の最高運用高度仕様では 45,000 ft (13,716 m)]
Hardpoints (ハードポイント):ミサイルや爆弾の搭載能力None
機体側面に外部燃料タンク(増槽)を装着するための外部ストアサポートシステム等のパイロンを装備可能
Fixed Armament (固定武装):機関砲の口径、弾数None
必要に応じてドアや窓に5.56mm機関銃MINIMIや12.7mm重機関銃M2等をドアガンとして携行装備可能

OPERATING FORCES / 運用国・軍種

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画像の引用元
  1. Autor: 航空自衛隊ホームページ, CC BY 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=57179574

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