
概要と開発の背景
U-680A は、2010年代にアメリカの Textron Aviation Inc.(Cessna Aircraft Company)が開発した中型ビジネスジェット機 Cessna Citation Latitude(Model 680A)をベースに改造され、2020年(令和2年)より航空自衛隊へ導入された最新鋭の双発ジェット飛行点検機である。開発および調達の背景には、1965年の導入から半世紀近くにわたって自衛隊の航空保安施設(TACAN、ILS、VOR/DME等)の機能点検を担ってきた前級のプロペラ飛行点検機 YS-11FC の著しい老朽化と、現代的な点検業務への更新ニーズが存在した。前級の YS-11FC は巡航速度や到達高度(約3,000m程度)に制限があり、積乱雲や悪天候を回避できず点検スケジュールが遅延する課題や、日本最東端の南鳥島飛行場など遠隔地への展開に膨大な所要時間を要する課題を抱えていた。防衛省はこれらの運用上の課題を解決するため、長大な航続距離、優れた高高度飛行能力、および高い短距離離着陸(STOL)性能を兼ね備えた最新の Citation Latitude を後継機として選定し、2020年から2021年にかけて全3機(02-3031、02-3032、12-3033)を導入した。
構造と技術的特徴
構造上の最大の特徴は、フラットフロアを採用したワイドな全金属製胴体構造を持ち、機内キャビンへノルウェーの Norwegian Special Mission AS 製などの自動飛行点検装置(UNIFIS 3000)を統合している点にある。推進システムには Pratt & Whitney Canada 製 PW306D1 ターボファンエンジン2基(各推力約25.4kN)を搭載し、最高速度マッハ約0.8(約980km/h)、最高巡航高度約13,720m(約45,000ft)に達する高い飛行性能を達成している。前級の YS-11FC や既存の U-125 と比較して、約10,000m以上の高高度を飛翔できるため悪天候下の乱層雲や雷雲を容易に迂回でき、天候要因による点検延期を大幅に激減させている。機体外観には、伝統的な飛行点検機を象徴する赤と白の鮮やかなハイビジビリティ塗装が施されている。コクピットには Garmin International, Inc. 製 G5000 統合ガラスアビオニクスが組み込まれており、高度な自動操縦機能によってフライト全工程の半数以上を自動飛行化し、操縦士の作業負荷を大幅に軽減している。
運用実績と評価
2020年3月の初号機納入以降、U-680A は航空自衛隊の航空支援集団傘下にある飛行点検隊(埼玉県入間基地)に全3機が制式採用され、運用試験を経て順次実戦任務へ投入された。実際の運用においては、日本全国の自衛隊基地や飛行場に配備された航空保安無線施設の定期検査や新設施設の機能点検を担当し、自衛隊機の安全運航を裏から支えている。従来の YS-11FC では南鳥島飛行場への点検任務に往復2泊3日を要していた行程が、本機の高速性と約5,000kmにおよぶ航続距離により1泊2日へ短縮された。また、日本各地の短距離滑走路を備えた孤立飛行場でも運用可能な高い離着陸パフォーマンスが実証されている。2021年3月に最後の YS-11FC が完全退役したことで、U-680A は U-125 とともに日本の空の安全基盤を守る新世代の中核アセットとして第一線で現役運用が続けられている。
| Official Name (正式名称) | U-680A |
| Country of Origin (開発国) | アメリカ合衆国 |
| Manufacturer (製造メーカー) | Cessna Aircraft Company (Textron Aviation) |
| Designed (設計年) | 開発ベースとなった原型機(サイテーション・ラティチュード)は2014年2月18日に初飛行を行い、2015年6月に型式証明を取得している。運用開始年については、2020年3月26日に納入され、同2020年から運用が開始されている。 |
| Primary Operators (主な運用組織) | 日本:航空自衛隊(航空支援集団飛行点検隊) |
| Crew (乗員) | 8名(ベース機の標準操縦乗員は2名、旅客仕様での最大搭乗人数は9名〜11名) |
| Dimensions (寸法):全長、全幅(翼幅)、全高 | L (全長): 19.0 m (62 ft 3 in) W (全幅/翼幅): 22.0 m (72 ft 2 in) [ベース機の仕様データでは 22.05 m (72 ft 4 in)] H (全高): 6.4 m (20 ft 11 in) [一部の公式データでは 6.37 m と記載される] |
| Empty / Max Takeoff Weight (自重 / 最大離陸重量) | 自重 (Empty Weight): 非公開、ベース機の基本仕様データでは運用基本重量 18,656 lb (8,462 kg)) 最大離陸重量 (Max Takeoff Weight): 非公開、ベース機の仕様データでは 30,800 lb (13,971 kg) |
| Powerplant (エンジン):型式、推力 | 型式: 2x Pratt & Whitney Canada PW306D1 ターボファン・エンジン 推力: 非公開、ベース機の基本仕様として1基あたり 5,907 lb (26.28 kN)) |
| Max Speed (最大速度):マッハ表記、高度別の速度 | マッハ表記: Mach 0.8 最高速度 約980 km/h、またはベース機の最大巡航速度として 446 ktas (826 km/h) |
| Combat Range (戦闘行動半径) / Ferry Range (航続距離) | 航続距離 (Ferry Range): 約5,000 km (約2,700 nm) [一部の公式データでは約2,300 nm] |
| Service Ceiling (実用上昇限度) | 約13,720 m [ベース機の最高運用高度仕様では 45,000 ft (13,716 m)] |
| Hardpoints (ハードポイント):ミサイルや爆弾の搭載能力 | None |
| Fixed Armament (固定武装):機関砲の口径、弾数 | None |
OPERATING FORCES / 運用国・軍種
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画像の引用元
- By Ministry of Defense, CC BY 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=177631749







