
M72 LAWは、1950年代末からアメリカ陸軍の要請により開発され、1963年に制式採用された単発使い捨て式の携帯用軽対戦車・対構造物火器である。第二次世界大戦期のバズーカやパンツァーファーストの思想を融合・進化させ、歩兵個人が手軽に携行できる圧倒的な軽量さとコンパクトさを実現した。 本兵器は、ガラス繊維とアルミニウムで構成された二重の筒(ランチャー)を採用しており、運搬時の携行状態からインナーチューブを後方へ引き伸ばす「伸縮式(テレスコピック)」の構造が最大の特徴である。これに連動して折り畳み式の照準器が展開され、即座に発射準備が整う。トリガーを引くと、筒の内部で66mm口径のロケットモーターが完全に燃焼しきってから弾頭が射出されるため、射手に反動をほとんど与えない無反動システムを持つ。 ベトナム戦争で初めて大規模に実戦投入されて以降、優れた機動性とバンカー破壊能力が高く評価された。現代の主力戦車の正面装甲を撃破することは困難だが、小銃陣地や補給トラック、軽装甲車両をピンポイントで排除する分隊レベルの火力支援アセットとして適している。現在も製造元であるナム(Nammo)社によって、室内や閉所から安全に発射できる「M72 FFE」といった最先端のバリアントなど、数多くの近代化アップデートが重ねられており、アメリカ軍をはじめ世界30カ国以上の軍事組織で第一線での運用が継続されている。
| Official Name (正式名称) | M72 LAW / M72 FFE |
| Country of Origin (開発国) | アメリカ合衆国 |
| Manufacturer (製造メーカー) | Hesse-Eastern (初期開発)、現在はノルウェー資本傘下の Nammo Defense Systems / Nammo Raufoss AS が世界的な製造・契約主体 |
| Designed (設計年) | アメリカ陸軍の要請を受けたヘッセ・イースタン(Hesse-Eastern)社を中心に1958年2月から本格的な設計・開発が開始され、1959年10月の試作テストや1961年3月の制式化(標準装備分類)を経て、1963年初頭にアメリカ陸軍およびアメリカ海兵隊に主要な個人用対戦車兵器として公式に導入され運用が開始 |
| Primary Operators (主な運用組織) | アメリカ合衆国:アメリカ陸軍(M72A6、A7、FFE仕様のM72A8、M72A10を運用)、アメリカ海兵隊(各種M72およびFFE仕様を運用) ウクライナ:ウクライナ国防軍(供与されたM72A5-C1、M72 LAW、M72 EC LAW等の各バリアントを陸軍普通科部隊、領土防衛隊、各種特殊部隊において運用) ブラジル:ブラジル海軍(海軍陸戦隊等においてM72A2バリアントを運用) マレーシア:マレーシア陸軍(第10空挺旅団においてM72 EC LAW、第21特殊勤務群においてM72 ASM RC等を運用) イギリス:イギリス陸軍(L1A1バリアントを運用。後にM72A9をLight Anti-Structure Munition[LASM]として再導入) イスラエル:イスラエル国防軍(各普通科・歩兵部隊において各種M72バリアントを運用) チリ:チリ陸軍(歩兵部隊および特殊部隊においてM72A3バリアントを運用) コロンビア:コロンビア陸軍(普通科部隊および対ゲリラ・特殊部隊においてM72A3バリアントを運用) エルサルバドル:エルサルバドル陸軍(歩兵部隊においてM72A2およびM72A3バリアントを運用) ホンジュラス:ホンジュラス陸軍(普通科部隊においてM72A2およびM72A3バリアントを運用) ギリシャ:ギリシャ陸軍(歩兵部隊および島嶼防衛部隊においてM72A2バリアント等を運用) 大韓民国(韓国):大韓民国陸軍(普通科・歩兵分隊において各種M72バリアントを運用) ニュージーランド:ニュージーランド陸軍(歩兵部隊においてM72シリーズを運用) フィリピン:フィリピン陸軍(普通科部隊および海兵隊においてM72バリアントを運用) ポルトガル:ポルトガル陸軍(歩兵部隊セクションレベルにおいてM72シリーズを運用) リトアニア:リトアニア共和国軍(陸軍歩兵部隊および国防ボランティア部隊[KASP]において運用) ベルギー:ベルギー陸軍(分隊・セクションレベルにおいてM72 LAWを運用) オーストラリア:オーストラリア国防軍(歩兵セクションレベルにおいてM72A6バリアントを運用) カナダ:カナダ軍(陸軍の歩兵部隊においてM72A5-C1バリアントを運用) フィンランド:フィンランド陸軍(66 KES 88[M72A5]、66 KES 12[M72 EC LAW Mk.I]、66 KES 12 RAK[M72 ASM RC]を運用) ノルウェー:ノルウェー軍(陸軍等の防衛部隊において運用) デンマーク:デンマーク陸軍(歩兵部隊において各種M72シリーズを運用) 中華民国(台湾):中華民国陸軍(M72A2のリバースエンジニアリング品「1式66ミリ対装甲ロケット」を運用) トルコ:トルコ陸軍(ライセンス生産品「HAR-66」および派生品「Eşek Arısı」を運用) |
| Type (種類) | 軽量単発使い捨て式・肩掛け型無誘導ロケットランチャー |
| Caliber (口径) | 66 mm |
| Operating Principle (作動原理) | Rocket propulsion system (ロケット推進方式) 標準・従来型: トリガーを引くと筒の内部でロケットモーターが点火・完全燃焼し、後方爆風(バックブラスト)を噴出して反動を相殺しながら弾頭が射出されるシステム M72 FFE (Fire from Enclosure) 型: 室内などの閉所から安全に発射できるよう、発射時に後方へ液体の緩衝材(カウンタマス)を飛散させることで、バックブラスト、発射光、煙を劇的に抑制・相殺するデビス式(カウンタマス方式)を導入 |
| Overall Length (全長) | 標準・従来型 (M72A2 / A3): 運搬時 660 mm 〜 665 mm / 発射準備時 890 mm 〜 899 mm 中・後期型/最新FFE型 (M72A4〜A10 / EC等): 運搬時 775 mm / 発射準備時 980 mm ※インナーチューブを後方に引き伸ばす「伸縮式(テレスコピック構造)」を採用 |
| System Weight (システム重量) | 標準・従来型 (M72A2 / A3): 約2.3 kg 〜 2.5 kg 近代化型 (M72A4 〜 A7): 約3.6 kg 最新FFE型 (M72A8 / A10 / EC): 約4.0 kg 〜 4.3 kg (カウンタマス液体の内蔵等により従来型より重い) ※使い捨て構造のため、弾頭が装填された状態の「即応総重量」となる |
| Muzzle Velocity (初速) | 標準・従来型: 秒速 145 m 〜 150 m (145 m/s 〜 150 m/s) 近代化型 (M72A4以降): 秒速 200 m (200 m/s) ※ロケットモーターの改良により向上 最新FFE型: 秒速 166 m超 (166 m/s〜) |
| Armor Penetration (装甲貫通力) | 標準・従来型 (M72A2 / A3): 200 mm 〜 300 mm RHA (均質圧延装甲換算) 近代化高貫通型 (M72A4 / M72 EC等): 350 mm 〜 450 mm RHA 対構造物・ブラスト型 (M72A9 / A10 ASM): 約150 mm RHA (装甲貫通よりも、コンクリートや土嚢、レンガ壁等の構造物内部を広範囲に破壊することに特化) |
| Effective Range (有効射程) | 固定目標 (Point Target): 150 m 〜 200 m (近代化仕様は最大 220 m 〜 350 m) 移動目標 (Moving Target): 最大 150 m 前後 (無誘導のため風や弾道ドロップの影響を強く受ける) 最大射程 (Max Range): 約 1,000 m 〜 1,400 m |
| Sight / Guidance (照準・誘導方式) | Unguided (無誘導方式) 本体を引き伸ばした際に自動でポップアップ展開する、プラスチック製の「折り畳み式アイアンサイト(オープンサイト)」を標準装備 近代化レールマウント装着モデルでは、外部アタッチメントを介してピカティニー・レール(Picatinny rail)を配置でき、AN/PEQ-15などのレーザー照準器、各種光学ドットサイト、赤外線(IR)ナイトビジョン・暗視装置のワンタッチ搭載に対応 |
画像の引用元
- By Cpl. Timothy Valero – https://www.dvidshub.net/image/3958861/blt-1-5-brings-out-big-guns, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=162199604


