
概要と開発の背景
M67破片手榴弾は、1960年代後半にアメリカで開発され、1968年よりアメリカ軍に本格導入された歩兵用手榴弾である。開発の背景には、第二次世界大戦期から運用されていた Mk 2 手榴弾(通称パイナップル)や、朝鮮戦争およびベトナム戦争初期に使用された M26手榴弾などの旧式装備に対する性能刷新のニーズが存在した。従来の卵型や角ばった形状の手榴弾は、投擲時の空気抵抗や手離れのブレにより投擲距離や精度に改善の余地があった。アメリカ軍は、一般的な兵士が野球ボールを投げる感覚で容易かつ正確に投げられる球状デザイン(通称ベースボール・グレネード)を採用し、さらに製造コストの低減と安全性の格段な向上を図るため、先行開発された M33手榴弾に安全クリップを追加改良した本機の大量調達を決定した。
構造と技術的特徴
構造上の最大の特徴は、外径 64 mm のほぼ完全な球形をしたプレス加工鋼板製ボディと、不意の誤脱を防ぐ「ジャングル・クリップ」と呼ばれる安全クリップを備えた M213指時延期信管機構にある。内部には約 180 g のコンポジションB爆薬が充填されており、作動時には刻みの入った鋼板シェルが破裂して均一な金属破片を全方位へ拡散させる。球形状のボディは空気抵抗を抑えて投擲距離を伸長させる設計思想に基づいており、一般的な歩兵で 30〜35 m 離れた目標へ正確に投擲可能である。作動方式には、安全ピンを抜いた後に安全レバーが離脱することで着火する延期信管方式を採用しており、約 4〜5 秒の遅延ののち爆破して半径 15 m 以内の領域に及ぶ無力化効果を発揮する。二重の安全機構により、ジャングルなどの草木へのひっかかり事故を防止する工夫がなされている。
運用実績と評価
1968年の制式採用以降、M67 はアメリカ陸軍、アメリカ海兵隊をはじめとするアメリカ軍全般のほか、カナダ軍(C13仕様)、トルコ軍、オーストラリア軍等の同盟諸国で標準歩兵用手榴弾として導入された。実際の運用においては、ベトナム戦争後期から湾岸戦争、アフガニスタン紛争、イラク戦争にいたるまで、近接戦闘における障害物裏や陣地内の無力化アセットとして広く使用された。旧型のM26やMk 2と比較して、安定した投擲精度と二重安全構造による取り扱いやすさ、そして長期間の保管における高い信頼性が実証されている。衝撃信管型のM68や訓練用のM69などの派生型も展開され、現在に至るまで半世紀以上にわたり第一線の歩兵装備として運用が続けられている。
| Official Name (正式名称) | M67 fragmentation hand grenade |
| Country of Origin (開発国) | アメリカ合衆国 |
| Manufacturer (製造メーカー) | Day & Zimmermann |
| Designed (設計年) | 旧式のM26系列やM33手榴弾に安全クリップを追加するなどの改良・近代化を図る近代化プログラムのもと、1950年代後半からの開発プロセスを経て仕様が策定されたため設計年は1950年代後半であり、その後生産体制が確立され、ベトナム戦争中の1968年にアメリカ軍へ制式採用および実戦部隊への初号機配備が開始されて公式な運用開始は1968年である |
| Primary Operators (主な運用組織) | アメリカ合衆国:アメリカ陸軍、アメリカ海兵隊、アメリカ海軍、アメリカ空軍(全軍の歩兵・戦闘コンポーネントおよび各種特殊作戦部隊において主力破片手榴弾として現役運用) カナダ:カナダ軍(「C13 手榴弾」の名称でGeneral Dynamics社のカナダ部門が国内ライセンス生産を行い、陸海空の各戦闘部隊にて主力装備として現役運用) サウジアラビア:サウジアラビア武装軍(サウジアラビア陸軍などの各地上戦力・近接戦闘コンポーネントにおいて、アメリカからの対外有償軍事援助[FMS]等を通じて調達し現役運用) トルコ:トルコ武装軍(トルコ陸軍等の主要軍種において、標準的な近接戦闘用投擲アセットとして現役運用) オーストラリア:オーストラリア国防軍(2007年に国産のF1手榴弾で発生した安全上の不具合事案を受け、暫定的な代替措置としてM67を公式調達し運用。その後もライセンス生産を含む形で一定数が維持・運用されている) アルゼンチン:アルゼンチン軍(過去のフォークランド紛争等での使用実績に続き、現在も陸上戦力等の戦闘コンポーネントにおいて制式アセットの一部として現役運用) |
| Type (種類) | 破片(Fragmentation) |
| Filler Type (炸薬・内蔵化学物質の種類) | Composition B |
| Filler Weight (炸薬・薬量) | 6.5 oz (約 180 g 〜 184 g) |
| Fuze Type (信管方式) | 延期信管(Pyrotechnic delay M213 fuze) |
| Delay Time (遅延時間) | 4.0 – 5.0 seconds (または 4.0 – 5.5 seconds) |
| Dimensions (外寸) | 全長(全高)90 mm (3.53 in) × 直径 64 mm (2.5 in) |
| Total Weight (総重量) | 14 oz (約 397 g 〜 400 g) |
| Effective Radius (有効加害・効果半径) | 致死半径 5 m (16 ft) / 負傷(加害)半径 15 m (49 ft) ※最大破片飛散距離は約 230 m 〜 250 m |
| Deployment Method (投擲・運用方式) | 手動投擲(Hand-thrown)※一般的な兵士による平均投擲距離は約 30 m 〜 45 m |
OPERATING FORCES / 運用国・軍種
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画像の引用元
- By Tech. Sgt. Michael Holzworth – https://www.dvidshub.net/image/669579/1-21-soldiers-train-with-m67-hand-grenades, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=115893180












