M18 colored smoke hand grenade

M18 colored smoke hand grenade

概要と開発の背景

M18カラー発煙手榴弾(AN/M18)は、第二次世界大戦中の1943年にアメリカ陸軍化学科(Chemical Corps)を中心に開発され、同年9月にアメリカ軍へ制式採用された信号および位置指示用のカラー発煙手榴弾である。開発の背景には、地上部隊と航空機との間の連絡や対空目標指示、地上部隊同士の位置伝達において、1943年4月に先行導入された前身のM16発煙手榴弾における煙量不足や展開速度の遅さが課題とされた事情が存在した。前身のM16は側面の多数の排出穴から煙を出す構造であったが、燃焼効率の低さから煙の密度が低く、高空からの視認性にも制限があった。アメリカ陸軍は航空機や遠方からの識別性能を高めるため、発煙成分と燃料の配合および圧着条件を最適化し、短時間で濃密かつ鮮明なカラー煙を安定して発生させる新型発煙アセットとして本機の開発と調達を決定した。

構造と技術的特徴

構造上の最大の特徴は、薄いシートメタル(薄鋼板)で成形されたシリンダー型(円筒形)ボディと、上部および底面に設けられた噴出口、ならびに延火式のM201A1点火信管を統合している点にある。内部には約326g(11.5オンス)のカラー発煙化学組成物(硫黄、塩素酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、有機染料などの混合物)が充填されており、レッド(赤)、グリーン(緑)、イエロー(黄)、バイオレット(紫)の4色が展開される。作動時には、安全ピンを抜いて安全レバーが離脱することで打金(ストライカー)が作動し、1.2〜2.0秒の延火遅延を経て発煙剤へ着火する。熱と内圧によって噴出口のシールテープが破れ、上部4箇所および底面1箇所の噴出口から50〜90秒間にわたり濃密なカラー煙が大量噴出する。側面の孔を廃止し底面中央に大型孔を穿つ設計変更により、燃焼時の過熱による染料の変質を防ぎつつ高い気化効率を達成している。

運用実績と評価

1943年の制式採用以降、M18はアメリカ陸軍、アメリカ海兵隊、アメリカ空軍、アメリカ海軍をはじめとするアメリカ軍全般のほか、カナダ軍やイギリス軍、陸上自衛隊(評価・訓練等)を含む同盟諸国で標準信号アセットとして大量導入された。実際の運用においては、第二次世界大戦末期から朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、イラク戦争、アフガニスタン紛争にいたるまで、前線部隊の着陸帯(LZ)の指示、味方位置の識別表示、近接航空支援の目標指示、および煙幕展開ミッションに投じられた。過酷な野外環境においても確実な点火信頼性と高い視認性を発揮する点が高く評価されている。製造は主にアーカンソー州のPine Bluff Arsenalが担っており、第二次世界大戦から現代にいたるまで80年以上にわたり第一線の手榴弾型発煙用具として第一線で運用が続けられている。

Official Name (正式名称)M18 colored smoke hand grenade(AN/M18)
Country of Origin (開発国)アメリカ合衆国
Manufacturer (製造メーカー)Pine Bluff Arsenal(※自律的な発煙用化学物質の充填および最終組み立て工程はアメリカ政府管轄下のパインブラフ兵廠が担当)
Designed (設計年)旧式化したM16発煙手榴弾の製造上のリスクや発煙量の限界といった課題を解決するため、当時のアメリカ陸軍地上軍(Army Ground Forces)による「高度3,050メートル(10,000フィート)から視認可能な標示用手榴弾」というミリタリー要求仕様に基づき1942年後半から開発・設計の構築が開始されたため設計年は1942年(最終的な仕様策定・標準化は1943年)であり、1943年9月24日に制式採用(Type Classification)されたのち、同年11月16日にハンツビル兵廠(Huntsville Arsenal)にて最初の量産ユニット(バイオレット)が完成し、翌1944年から第二次世界大戦のヨーロッパおよび太平洋戦域の実戦部隊へ広範に支給が開始されたため公式な運用開始は1944年(制式採用年は1943年)である。
Primary Operators (主な運用組織)アメリカ合衆国:アメリカ陸軍、アメリカ海兵隊、アメリカ海軍、アメリカ空軍(全軍の歩兵部隊、特殊作戦部隊、航空誘導コンポーネント等で地上シグナリング用として現役運用)
オーストラリア:オーストラリア国防軍(オーストラリア陸軍をはじめとする各軍種にて、標準的なカラー発煙アセットとして現役運用)
ニュージーランド:ニュージーランド国防軍(ニュージーランド陸軍等の主要戦闘コンポーネントにて、米国仕様のM18シリーズを制式導入し現役運用)
イラク:イラク軍(イラク陸軍や対テロ局[CTS]等において、アメリカからの対外有償軍事援助[FMS]を通じて公式供給されたアセットを現役運用)
ウクライナ:ウクライナ軍(ロシア・ウクライナ戦争における国際的な軍事支援パッケージの一環としてアメリカから公式供与され、前線の各実戦旅団・歩兵ユニットにて現役運用)
Type (種類)発煙(Smoke)
Filler Type (炸薬・内蔵化学物質の種類)発煙組成物質(Smoke mixture)および有機染料(Organic dye)(※カラーバリエーションは赤、黄、緑、紫の4色)
Filler Weight (炸薬・薬量)11.5 oz (約 326 g)
Fuze Type (信管方式)延期信管(Pyrotechnic delay M201A1 ignition fuze)
Delay Time (遅延時間)1.2 – 2.0 seconds
Dimensions (外寸)全長(全高)146 mm (5.7 in) × 直径 64 mm (2.5 in)
Total Weight (総重量)19 oz (約 538.6 g)
Effective Radius (有効加害・効果半径)煙の及ぶ範囲:放出開始から約 50 〜 90 seconds 間、継続して濃密なカラー煙幕を噴出
Deployment Method (投擲・運用方式)手動投擲(Hand-thrown)※一般的な兵士による平均投擲距離は約 35 m

OPERATING FORCES / 運用国・軍種

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画像の引用元
  1. By Lance Cpl. Jodson Graves – https://www.dvidshub.net/image/1897817, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=40009797

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