L111A1 / L111A2 Practice Hand Grenade

L111A1 / L111A2 Practice Hand Grenade
サンドハースト王立陸軍士官学校の訓練、士官候補生の手元にL111が握られている

概要と開発の背景

L111A1および改良型のL111A2は、1980年代後半から1990年代にかけてスイスのRUAG Ammotec(旧 SM Schweizerische Munitionsfabrik)が開発し、2000年代よりイギリス軍などで導入された再利用可能な実動訓練用手榴弾(Practice Hand Grenade)である。開発の背景には、イギリス軍における主力歩兵用手榴弾L109A1(スイス製HG85のイギリス仕様)の導入に伴い、実弾と同等の重量、形状、操作感を維持しつつ、安全かつ低コストで繰り返し投擲および作動操作を模擬体験できる訓練用アセットの獲得ニーズが存在した。完全不活性のダミー弾(L110A1)とは異なり、実際の手榴弾投擲における時間感覚、着弾の確認、不意の不発処理などを体得させるため、小型の音響・発煙用模擬信管を作動させる実動型訓練装備として本火器が配備された。

構造と技術的特徴

構造上の最大の特徴は、高剛性の再利用可能スチール製ボディを採用し、外周に実弾L109A1と同等のテクスチャ加工ポリマーコーティングを施している点にある。本体底面には大口径の排気穴(アパーチャー)が形成されており、上部から交換式の模擬信管(L162シリーズ等)を装着して使用する。安全ピンを引き抜いて投擲すると、約3.5秒から4.0秒の遅延ののち信管内の火薬が作動し、小型の作動音(フラッシュ/バング)と少量の白煙を放出する。発生した燃焼ガスは底部の排気穴から下方へ安全に逃げる構造となっており、本体の破損や危険な破片飛散を防止している。誤使用を防止する視認性設計として、実弾(深緑色)や完全ダミー(濃紺色)と明確に区別できるよう、ライトブルー(水色)のボディにゴールドまたはオレンジ色のプラスチックキャップおよび安全レバーを組み合わせている。

運用実績と評価

制式採用以降、L111A1およびL111A2はイギリス陸軍、王立海兵隊、王立空軍連隊をはじめ、スイス軍などの防衛組織において、新兵訓練や市街地戦闘訓練(FIBUA/MOUT)の必須アセットとして幅広く導入された。実弾L109A1(全重約465g)とほぼ等しい約470gの全重と同一の重心バランスを備え、安全レバーの離脱から空中飛翔、着弾作動に至る一連のプロセスをリアルに再現できる点が高く評価されている。ボディ本体は複数回の投擲に耐えうる優れた耐久性を備えており、使用後に信管を新品へ交換するだけで即座に再利用できるため、訓練コストの大幅な削減と高い安全性を両立している。現在も実弾投擲前の段階における操作習熟および実戦感覚の獲得用装備として第一線で運用が続けられている。

Official Name (正式名称)L111A1 / L111A2 Practice Hand Grenade
Country of Origin (開発国)スイス
Manufacturer (製造メーカー)RUAG Ammotec
Designed (設計年)開発・設計年は不明
ベースとなる実弾「L109A1(RUAG社製HG 85)」がイギリス軍に導入・制式分類された2002年(2000年代初頭)と同時期に、その訓練用(プラクティス)モデルとしてシステム化・運用開始
Primary Operators (主な運用組織)イギリス:イギリス陸軍(歩兵連隊などの地上部隊、アイルランド近衛連隊 [Irish Guards] などの訓練において実弾L109A1の投擲訓練用に標準配備・現役運用)、王立海兵隊
スイス:スイス陸軍(Heer)(開発国および製造国として、ベースモデルである「HG 85(オフェンシブ型)/ OHG 92(ディフェンシブ型)」の練習用・訓練用モデル[ブルーカラー仕様]を各歩兵部隊や新兵訓練にて現役運用)
Type (種類)練習用手榴弾 (Practice Hand Grenade)
Filler Type (炸薬・内蔵化学物質の種類)訓練用小型空砲薬 (Blank cartridge / 爆音発生用組成物)
Filler Weight (炸薬・薬量)非公開
Fuze Type (信管方式)延期信管 (Time-delay fuze / L162 Practice Fuze[安全レバー式練習用発火信管])
Delay Time (遅延時間)3.0 – 4.0 seconds(L109A1の起爆挙動である「3.0〜4.0秒」の遅延時間を模倣して作動する)
Dimensions (外寸)全長 97 mm(約3.82 in) × 直径 62 mm(約2.44 in)
Total Weight (総重量)約465 g(約16.4 oz)〜 472 g(約16.65 oz)(※実弾であるL109A1の重量を忠実に再現している)
Effective Radius (有効加害・効果半径)訓練用の非殺傷・非破片アセットのため、加害・致死・負傷半径は存在しない
Deployment Method (投擲・運用方式)手動投擲 (Hand-thrown)

OPERATING FORCES / 運用国・軍種

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画像の引用元
  1. By Christoph Koppers – https://www.dvidshub.net/image/2469055/british-sandhurst-cadets-train-grafenwoehr-training-area, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=49842573

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