
概要と開発の背景
SH-60Kは、1990年代後半から2000年代初頭にかけて日本の防衛庁技術研究本部(現・防衛装備庁)とMitsubishi Heavy Industries, Ltd.(三菱重工業株式会社)によって共同開発され、2005年(平成17年)より部隊運用が開始された海上自衛隊の主力艦載対潜・対水上哨戒ヘリコプターである。本機は、アメリカのSikorsky Aircraft(シコルスキー・エアクラフト社、現:Lockheed Martin傘下)製SH-60Bをベースにライセンス生産された前級「SH-60J」の基本設計をもとに、機体を大幅に再設計して性能向上を図った日本独自の発展改修型である。冷戦終結後の周辺海域における潜水艦の急速な静音化や潜航・警戒性能の向上、ならびに工作船や不審船などの沿岸部における水上脅威への即応対処、多用途輸送・警戒ニーズの高まりに対応するため、各種センサー類の全面近代化、キャビン容積の拡大、および対水上打撃能力を備えた新型機として開発がスタートした。
構造と技術的特徴
構造上の最大の特徴は、前級SH-60Jからキャビン高さを拡張して容積を広げた胴体構造と、先端部が下方に細く湾曲した「アンソップ(AnStep)ブレード」と呼ばれる最新の複合材料製メインローターブレードを採用している点にある。この独自のローター形状により、ホバリング時や高荷重飛行時における空気抵抗や翼端渦を大幅に低減させ、機体重量の増加を補う優れたホバリング効率と揚力を確保している。機体内部にはグラスコックピット化された戦術情報処理装置(AH-60K)を搭載し、操縦士とセンサーマン間のリアルタイムなデータ共有能力を飛躍的に強化した。また、機首下部には赤外線暗視装置(FLIR)やISAR(逆合成開口)対水上レーダーを標準装備するほか、着艦誘導支援装置(ASIST)に対応する着艦拘束メカニズムや機体自衛用のレーザー警戒装置(LWS)を備え、過酷な洋上・護衛艦甲板環境下における運用安全性を高い水準で確保している。
運用実績と評価
2005年8月の部隊交付以降、海上自衛隊の各航空群(第21航空群、第22航空群等)や護衛艦の艦載機として広く配備され、現在に至るまで洋上警戒・対潜作戦の中核として実戦運用されている。実際の各種演習や洋上警戒監視任務においては、HQS-104低周波ディッピングソナーや高性能ソノブイによる静音潜水艦の追跡能力が示されたほか、ソマリア沖・アデン湾における派遣海賊対処行動などの海外実任務においても高い運用実効性が証明された。従来のSH-60Jでは魚雷や対潜爆弾に限られていた搭載兵装に対し、本機では小型船艇対処用のAGM-114M ヘルファイアII空対艦ミサイルや74式車載7.62mm機関銃の運用能力が追加されたことで、対水上警戒・臨検支援における即応性が飛躍的に向上したと具体的に評価された。また、救難機器を取り外して空間を広げた「SH-60K(救難仕様)」の配備や、後継にあたる能力向上型「SH-60L」への技術的架け橋としても重要な役割を果たし、現代の海上自衛隊における洋上防衛と兵站線を支える主軸アセットとしての立場を確立している。
| Official Name (正式名称) | SH-60K / Mitsubishi SH-60K |
| Country of Origin (開発国) | 日本 |
| Manufacturer (製造メーカー) | 三菱重工業(機体製造・システム統合) / IHI(エンジンライセンス生産) |
| Designed (設計年) | 1990年代後半にSH-60J後継機として開発が開始され、2005年に海上自衛隊で運用が開始された艦載哨戒ヘリコプター |
| Primary Operators (主な運用組織) | 日本:海上自衛隊(航空集団傘下の第21航空群、第22航空群、および各護衛艦の搭載飛行隊にて運用。また、開発時の試作機であり現在は飛行試験や評価を担う試作・評価機「USH-60K」を開発隊群にて運用) |
| Crew (乗員) | 3名(操縦士、副操縦士、航空士(SENSO))※必要に応じて4名での運用も可能 |
| Dimensions (寸法):全長、全幅(翼幅)、全高 | 運用時: W: 16.4 m × D: 19.8 m × H: 5.4 m 格納時: W: 3.2 m × D: 12.5 m × H: 5.4 m |
| Empty / Max Takeoff Weight (自重 / 最大離陸重量) | 自重(空虚重量):約 6.9 t / 最大離陸重量:約 10.9 t |
| Powerplant (エンジン):型式、推力 | 2x IHI製 T700-IHI-401C2(ターボシャフト)、出力:各基 約 2,145 shp |
| Max Speed (最大速度):マッハ表記、高度別の速度 | マッハ表記:約 Mach 0.22(低高度)、高度別の速度:139 kt(約 257 km/h)(海面高度) |
| Combat Range (戦闘行動半径) / Ferry Range (航続距離) | 戦闘行動半径:非公開(前型を上回る滞空性能) / 航続距離:約 800 km |
| Service Ceiling (実用上昇限度) | 約 5,790 m(19,000 ft) |
| Hardpoints (ハードポイント):ミサイルや爆弾の搭載能力 | 機体左右兵装ラック搭載能力:Mk46/97式/12式魚雷、対舟艇ミサイル「ヘルファイアII(最大4発)」、対潜ソノブイ各種 |
| Fixed Armament (固定武装):機関砲の口径、弾数 | なし(ドアガンとして74式7.62mm機関銃または12.7mm重機関銃M2をドアマウントに装着運用可能) |
OPERATING FORCES / 運用国・軍種
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画像の引用元
- By 海上自衛隊, CC BY 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=183348529






