MAN SV HRV (Support Vehicle Heavy Recovery Vehicle) / SX45 8×8 Recovery Vehicle

MAN SV HRV (Support Vehicle Heavy Recovery Vehicle)
第20機甲旅団を中心に展開されたイギリス軍の作戦(Op Herrick 15)における整備・回収(REME:王立電気機械工兵)部隊、右はCoyote TSV

概要と開発の背景

MAN SV HRV(Support Vehicle Heavy Recovery Vehicle)は、2000年代半ばにドイツのRheinmetall MAN Military Vehicles(RMMV)がシャーシを製造し、イギリスのEKA Limitedが回収システムを統合して開発された8×8駆動の重機甲・物流支援用回収トラックである。開発の背景には、イギリス陸軍において冷戦期より長年運用されてきたFoden 8×8回収車やScammell Commander等の旧式支援車両における老朽化と、車体防護性能および不整地走破性の不足という深刻な問題が存在した。特に、イラクやアフガニスタンといった非対称戦下において、重量化した各種装甲車輛や物流トラックが陣地外で地雷や不整地座礁により機動不能に陥った際、脅威下でも迅速に現場へ進出して回収・救助を行える高い防護性能と機動性を持つ重回収アセットの導入が急務となった。これらを解決すべく、イギリス国防省の「サポート・ビークル(SV)」計画の一環として配備が進められた。

構造と技術的特徴

構造上の最大の特徴は、極めて高い剛性とねじれ耐性を備えたMAN SX45 8×8シャーシに、EKA社製の全自動油圧回収システムを統合している点にある。パワートレインには440馬力を発揮するMAN D2066直列6気筒水冷ターボディーゼルエンジンとZF製6速全自動変速機を組み合わせ、フルタイム4軸駆動とデフロック機構により極悪路でも高い走破性を誇る。回収メカニズムには、近距離で最大15tの吊り上げ能力を持つTerex/Atlas 600.2旋回式油圧クレーンと、スナッチブロック併用時に最大50tの引抜力を発揮するRotzler TR200メイン油圧キャプスタンウィンチ、さらに8tの自己回収用ウィンチおよび1tの補助ドラムウィンチが車体に組み込まれている。車体後部には13t〜15tの揚重牽引能力を備えたリアアンダーリフトを配置しており、高負荷の作業時には油圧アウトリガー(脚架)を地上に展張して高い安定性を確保する設計が施されている。

運用実績と評価

2008年からの制式導入以降、MAN SV HRVはイギリス陸軍の王立電気機械工兵隊(REME)や王立物流軍団(RLC)をはじめ、アイルランド陸軍やニュージーランド軍等で制式採用・運用されている。実際の運用においては、アフガニスタンでの作戦展開や各国での大規模野外演習へ投入され、MOWAG Piranha装甲車や大隊級トラックなど重量級車両の救助・牽引ミッションを成功裏に完遂した。車内からCAN-busデジタルネットワークを経由した液晶リモコンにより、クレーンや複数ウィンチを同期操作できる卓越した作業安全性が前線部隊から高く評価された。防護面では統合防護キャビン(IAC)の装甲適合性を保持しており、従来のFoden等と比較して悪天候下や不整地での回収効率と乗員保護性能を飛躍的に向上させた。現代のイギリス陸軍機甲・物流旅団における不可欠な重回収・ロジスティクス維持アセットとして確固たる地位を確立している。

Official Name (正式名称)MAN SV HRV (Support Vehicle Heavy Recovery Vehicle) / SX45 8×8 Recovery Vehicle
Country of Origin (開発国)イギリス / ドイツ ※開発・受入はイギリス国防省、シャーシ製造および改修はドイツ・イギリス合同の Rheinmetall MAN Military Vehicles
Manufacturer (製造メーカー)Rheinmetall MAN Military Vehicles (RMMV / シャシ製造) / EKA Complex Systems (現 EFA / 回収機材・上部構造モジュール統合担当)
Designed (設計年)設計年は2002年–2003年(イギリス国防省のSupport Vehicle計画に基づく開発・コンペ入札年)であり、運用開始年は2007年–2008年(イギリス軍への納入および配備開始年)である。
Primary Operators (主な運用組織)イギリス:イギリス陸軍(ロイヤル・ロジスティック・コー(王立輸送軍団/RLC)および王立電気機械工兵(REME)等のロジスティクス・整備回収部隊に配備)、イギリス海軍、イギリス空軍(RAF Regiment等を含む支援部隊)
アイルランド:アイルランド陸軍(イギリス国防省との共同調達枠組みにより、国内任務用標準キャブ仕様および海外展開用のモジュール式装甲キャブ(MAC)仕様のMAN SX45 8×8重回収車(Wrecker)を導入・運用)
デンマーク:デンマーク陸軍(RMMV SX45 8×8シャーシおよびMiller社製回収モジュールで構成される重戦術回収車(HTRV)「MAN 32.444 (SX 45)」を導入・運用)
Crew / Capacity (乗員および兵員輸送数)2名 (Driver, Commander) + 兵員輸送数: 2名 (被回収車両の乗員・工作員用追加座席、キャビン合計最大4名)
Combat Weight (戦闘重量)約 32,000 kg (32.0 tonnes / 35.2 short tons / 70,550 lb) [※車両総重量 (GVW) / 空車重量: 約 24,000 kg (24.0 tonnes / 52,910 lb)]
Dimensions (寸法: 全長/全幅/全高)L (全長): 約 10.13 m (10,130 mm / 398 in / 33.2 ft) [※クレーン・回収用アンカーブレード収納状態の車体全長]
W (全幅): 約 2.55 m (2,550 mm / 100 in / 8.3 ft) [※サイドミラー展開前の車体幅]
D (全高): 約 3.10 m – 3.92 m (3,100 mm – 3,920 mm / 122 in – 154 in / 10.1 ft – 12.8 ft) [※非積載時の最高点高・ルーフ構造物含む高さ]
Armor (装甲の詳細: 複合装甲、ERA、APSの有無)Appliqué Modular Armor / Modular Armoured Cabin (MAC) (モジュール式追加装甲キット / STANAG 4569 レベル1〜レベル2適合の装甲キャビン)
Integrated Armor Protection (被弾・小銃弾および榴弾破片に対する基礎防護構造。地雷・IED対応の車体下部防護オプションあり)
Main Armament (主武装)None
Secondary Armament (副武装)1x 7.62 mm L7A2 GPMG (General Purpose Machine Gun) :キャビン上部ルーフハッチマウントに搭載可能
Smoke Grenade Dischargers (86 mm 煙幕発射器キット)
Engine (エンジン出力 hp/kW)MAN D2066 LF 10.5-litre 6-cylinder Turbocharged Diesel Engine
出力: 324 kW (440 hp / 440 bhp) / トルク: 2,100 Nm [※トランスミッションは ZF 12AS 2301 OD TipMatic 12速半自動変速機]
Max Speed (最高速度: 整地/不整地)Paved (整地): 約 90 km/h (56 mph) (スピードリミッター制限値)
Operational Range (航続距離)Paved (整地): 約 750 km – 800 km (465 mi – 500 mi)

OPERATING FORCES / 運用国・軍種

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画像の引用元
  1. By Photo: Sgt Wes Calder RLC/MOD, OGL v1.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=60402071
  2. By Photo: Cpl Russ Nolan RLC/MOD, OGL v1.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=26921248
  3. By KyūMaruOtami – Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=179786213
  4. By Photo: SAC Lee ‘Matty’ Matthews/MOD, OGL v1.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=46195951
  5. Photo: Cpl Nathan Tanuku / UK MOD © Crown copyright 2022, via Defence Imagery. Used under the terms of the Open Government Licence (OGL).

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