11式短距離地対空誘導弾 / Type 11 Surface-to-Air Missile

11式短距離地対空誘導弾

概要と開発の背景

11式短距離地対空誘導弾(ひとひとしきたんきょりちたいくうゆうどうだん / 短SAM)は、2005年度(平成17年度)より防衛省技術研究本部(現:防衛装備庁)と株式会社東芝によって開発が進められ、2011年(平成23年)に制式化された短距離地対空ミサイルシステムである。部隊内では「11式短SAM」と呼ばれる。従来の自衛隊では、近接・低空防衛の要として81式短距離地対空誘導弾(81式短SAM)が運用されていた。しかし、近隣諸国における巡航ミサイルや対空精密誘導兵器、無人航空機(UAV)などの小型・高速目標の発達に伴い、従来の赤外線・可視光シーカーや初期型レーダーでは十分に対処できない課題が生じていた。また、陸上自衛隊の師団防空と航空自衛隊の基地防空の装備品基盤を共通化し、調達コストおよびライフサイクルコストを抑えつつ高度な精密迎撃能力を確保する後継システムとして開発がスタートした。

構造と技術的特徴

構造上の最大の特徴は、キャニスター(密閉型発射筒)に格納されたミサイルを発射機へそのまま装填する方式を採用し、露天装填式だった前級(81式短SAM)と比較して耐候性および装填・即応性能を大幅に向上させた点にある。誘導方式には高度なアクティブ・レーダー・ホーミング(ARH)方式が採用されており、発射後は自律的に目標を追尾して着射する。射撃統制装置にはAESA(アクティブ・フェーズドアレイ)レーダーが導入され、低レーダー反射面積(RCS)の巡航ミサイルや小型誘導弾に対する優れた探知・追尾性能を備える。陸上自衛隊仕様では3 1/2tトラック(いすゞ自動車株式会社製)をベースとした発射機車両(4連装キャニスター)と射撃統制車で構成され、航空自衛隊仕様(基地防空用地対空誘導弾)では高機動な重装輪車台(8輪)が用いられるなど、運用組織のニーズに応じた柔軟なシステム統合が図られている。

運用実績と評価

2011年の制式化以降、陸上自衛隊の各師団・旅団の高射特科部隊や、航空自衛隊の各飛行群・基地防空隊へ順次配備(基地防空用地対空誘導弾)が開始された。実地演習においては、静内対空射撃場(北海道)やアメリカ陸軍のホワイトサンズ・ミサイル射場などでの実弾射撃訓練へ投入され、超低空を高速で接近する各種標的や小型巡航ミサイル模擬標的対して高い着射能力が証明された。前級の81式短SAMと比較して、全天候化と対電子妨害(ECCM)性能、および小型・高速目標に対する自動化同時対処能力が格段に向上した点が具体的に実証された。現代の安全保障環境においては、従来の有人ドッグファイト機だけでなく、自爆ドローンや巡航ミサイルといった「スタンド・オフ兵器」に対する基幹近接防空アセットとして位置づけられており、陸上・航空自衛隊の主要拠点や展開部隊の足元を守る主力短距離防空システムとして現役運用が続けられている。

Official Name (正式名称):11式短距離地対空誘導弾 / Type 11 Surface-to-Air Missile
Country of Origin (開発国):日本
Manufacturer (製造メーカー):東芝(誘導弾システム・発射装置主契約)
Designed (設計年):開発設計は、1999年度(平成11年度)から2002年度(平成14年度)に行われた「将来短距離地対空誘導弾の研究試作」の成果をベースに、2005年度(平成17年度)から2009年度(平成21年度)にかけて防衛省技術研究本部(現・防衛装備庁)と東芝の手によって本格的な試作・設計開発が行われ、2011年度(平成23年度)防衛予算において初めて調達予算(陸上自衛隊向けに3式:66億円、航空自衛隊向けに1式:45億円)が計上・取得開始されたことで正式に運用を開始
Primary Operators (主な運用組織):日本:陸上自衛隊(野戦特科・高射特科および基地防空の軍種において配備。陸上自衛隊では各師団隷下の高射特科大隊や旅団隷下の高射特科隊、具体的には「第1高射特科大隊(駒門駐屯地)」「第6高射特科大隊(郡山駐屯地)」などの部隊に旧式の81式短距離地対空誘導弾の後継として配備・運用中)航空自衛隊(航空自衛隊においては仕様を変更した派生品である「基地防空用地対空誘導弾」として、千歳、三沢、百里、小牧、小松、美保、築城、新田原、那覇などの主要航空基地の防空を担う「基地防空隊」や、各地の「航空警備隊」などの武装組織において現役運用中)
Type (種類):短距離地対空誘導弾 (移動式近接防空ミサイルシステム)
Caliber / Diameter (口径/ミサイル直径):約160mm
Guidance System (誘導方式):中間指令誘導(データリンク) + 終末アクティブ・レーダー・ホーミング(ARH)方式
Overall Length (全長/キャニスターサイズ):ミサイル単体全長 約2,930mm (2.93m)
ランチャー車両サイズ:全長 約8.73m、全幅 約2.48m、全高 約3.30m
Wingspan (翼幅):詳細な数値は非公表 (※4連装の密閉型キャニスターに、4枚の可動式誘導翼等を折り畳んで格納する構造)
Weight (重量/総システム重量):ミサイル単体重量 約103kg
ランチャー車両全備重量(陸上自衛隊の3 1/2tトラック〔いすゞ自動車製〕にミサイル4発をキャニスター格納した運用状態)は約14.2t
Flight Speed (飛翔速度):最大速度 超音速(マッハ2以上、詳細な数値は非公表)
Effective Range (有効射程):最大射程 約10km〜18km程度 (超低空を飛行する小型の巡航ミサイルや空対地誘導弾、無人航空機(UAV)を捕捉・破砕可能※推定値)
Warhead & Propulsion (弾頭/推進方式):高性能爆風破片効果弾頭(HE-fragmentation/レーダー近接信管および衝撃信管付き) / 推進方式:1段式固体燃料ロケット・モーター

OPERATING FORCES / 運用国・軍種

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画像の引用元
  1. By 防衛省 – 出典:防衛省ホームページ https://www.flickr.com/photos/90465288@N07/39227773454/in/album-72157632230016328/, CC BY 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=88146565

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