M1043A2 / M1044A2 HMMWV (Armament carrier)

M1043A2 HMMWV (Armament carrier)
ポーランド陸軍のM1043A2 HMMWV

概要と開発の背景

M1043A2 および M1044A2 HMMWV(Armament Carrier w/Supplemental Armor)は、1990年代半ばにアメリカの AM General 社が開発し、1990年代末よりアメリカ海兵隊やアメリカ陸軍へ導入された4×4輪駆動の増加装甲付き軽汎用兵器キャリアである。開発の背景には、1980年代から運用されてきた初期型ハンヴィー(M1025やM1026等の基本装甲型兵器キャリア)の老朽化と、非対称戦下における乗員および兵装システムへの直接防護能力向上、ならびにパワートレインの近代化ニーズが存在した。特にアメリカ海兵隊を中心とする前線部隊において、直接火力支援を行う車両に対する小火器弾や砲弾破片に対する追加の増加防護(Supplemental Armor)と、より重い装甲・兵装を安定して積載・運用できる強化車体の調達が強く求められた。これに応えるため、強化シャシーと6.5L V8ディーゼルエンジン、4速自動変速機を統合した「A2シリーズ」の基盤に増加装甲パッケージを組み込んだ主力兵器キャリアとして、ウインチ非搭載の M1043A2 と自己回収ウインチ搭載の M1044A2 が構築された。

構造と技術的特徴

構造上の最大の特徴は、堅牢なスチール製ボックスフレームにファイバーグラスや防弾複合材料、防弾ガラスで構成された増加装甲を統合した4人乗りキャビン構造と、屋根中央に360度全周旋回可能な重兵装用ターレットマウントを配置している点にある。ルーフターレットには、12.7mm M2HB重機関銃、40mm Mk 19自動榴弾発射器、7.62mm M240/M60機関銃、ならびに BGM-71 TOW対戦車ミサイル発射機を任務に応じて柔軟に換装・搭載できる。パワートレインには 160hpを発揮する General Engine Products 製 6.5L V8自然吸気ディーゼルエンジンと General Transmission Products 製 4速自動変速機(4L80E)を搭載し、A2シリーズ共通の強化型ダブルウィッシュボーン独立懸架サスペンションと耐荷重アクスルが増重された増加装甲と弾薬の重量を確実に支える。車輪ハブ内のポータルギアハブ構造により最低地上高約40.6cmを確保し、深渡河キット装着時には最大1.5mの水中走破能力を発揮する。M1043A2 と M1044A2 の決定的な違いは、M1044A2 の車体前部に自力脱出や同型車両の救出を可能にする自己回収用ウインチが標準装備されている点にある。

運用実績と評価

1990年代末の部隊配備開始以降、M1043A2 および M1044A2 はアメリカ海兵隊やアメリカ陸軍の機動歩兵部隊や地上遠征部隊へ集中的に配備され、直接火力支援や補給車列の移動護衛任務の中核として運用された。実際の運用においては、2000年代のイラク戦争やアフガニスタン紛争へ投入され、補給車列の直衛や前線拠点での哨戒、地上部隊に対する重機関銃やMk 19による直接火力の提供において高い能力を実証した。初期型の M1025/M1026 と比較して、増加装甲による被弾時の乗員生存性向上と、4速自動変速機の導入による高速道路や悪路での不整地走破性の改善が高く評価された。一方で、車体底部の構造上、即席爆発装置(IED)や地雷への耐地爆防護力には限界が存在し、後年の超増加装甲型(M1151 ECV等)や統合軽戦術車両 JLTV への更新・交代が進められる要因となった。しかし、装甲型ハンヴィーの発展途上における重要な基幹兵器キャリアとして長年第一線を支えた。

Official Name (正式名称)M1043A2 / M1044A2 HMMWV (Armament carrier)
Country of Origin (開発国)アメリカ合衆国
Manufacturer (製造メーカー)AM General
Designed (設計年)ベースとなる高機動多用途輪装車ファミリーの初期要求仕様策定および試作開発に伴う設計年は1979年であり、初期生産契約に基づき量産フリートの引き渡しおよび部隊への初期導入が開始された基本型の運用開始年は1985年である一方、この基本構造にパワートレインの換装(4速オートマチックトランスミッションの採用)や電子制御セクター、シャーシおよび足回りの強化を行った共通改良仕様(A2シリーズ)を適用し、補強装甲(Supplemental Armor)パッケージ付き兵器キャリアとしての製造および部隊配備(運用開始)年が確定した仕様策定・導入年は1994年。
Primary Operators (主な運用組織)アメリカ合衆国:アメリカ陸軍(各歩兵・後方支援・技術部隊等)、アメリカ陸軍ナショナルガード(各州兵部隊)、アメリカ海兵隊(各海兵遠征軍[MEF]直轄部隊や各種前線偵察・支援エレメント等)、アメリカ空軍(各基地警備・セキュリティフォース、爆発物処理[EOD]部隊等。車体上部の全周旋回式銃塔に各種重火器をマウントし、戦術偵察や哨戒に配備・運用)
ポーランド:ポーランド陸軍(第6空挺旅団所属の第18空挺大隊等において、本形式を「Tumak-2」の自国固有名称に区分。車体上部の旋回マウント部に自国製の「UKM-2000P 7.62 mm」汎用機関銃、または「NSW-B 12.7 mm」重機関銃を統合し、道路規制適合化パッケージおよび自国製通信通信システムを装備して公式配備・運用)
Crew / Capacity (乗員および兵員輸送数)4名(運転手、車長、後部乗員2名)※キャビンに4名分の座席[2+2基配置]が確保され、車体上部の銃塔リングマウントへアクセスする射手1名を含む乗員4名での運用の最適化設計。
Combat Weight (戦闘重量)Vehicle Curb Weight (自重):6,100 lbs (2,767 kg)
Maximum Gross Vehicle Weight (最大総重量):10,300 lbs (4,672 kg)
Payload Capacity (最大積載量):4,200 lbs (1,905 kg)
Dimensions (寸法: 全長/全幅/全高)W (全幅):85 in (2.16 m)
L (全長):180 in (4.57 m) ※砲身含まず
D (全高):73 in (1.85 m) ※銃塔マウント部を含むトップ装着時全高(空輸等のトップ収縮時は 54 in / 1.37 m まで縮小可能)
Armor (装甲の詳細: 複合装甲、ERA、APSの有無)増加装甲(Supplemental Armor)パッケージを標準統合(基本構造のハードトップトップドアおよびキャビン周囲に防弾鋼板や積層複合材料による基本防護キットが適用されているが、後のM1114やM1151などの完全重装甲仕様[Up-Armored]とは異なり、対戦車地雷等に対抗する下部爆発反応装甲[ERA]やアンダーボディ重装甲は非搭載)
Main Armament (主武装)None
Secondary Armament (副武装)M2 .50 caliber machine gun、MK 19 Grenade Launcher、M240 7.62mm machine gun のいずれか1種を車体上部の360度旋回式リングマウント(Weapons Mount and Turret)に選択装着(同軸機関銃は非搭載)
Engine (エンジン出力 hp/kW)General Engine Products (AM General子会社) OPTIMIZER 6500 6.5 Liter V8 Naturally Aspirated Diesel Engine
出力:160 hp (119 kW) @ 3,200 rpm
Max Speed (最高速度: 整地/不整地)Paved (整地):55 mph (88 km/h) ※最大総重量時の巡航最高速度(車両自体のポテンシャル最高速度は 70 mph / 113 km/h 以上)
Operational Range (航続距離)275 miles (443 km) 〜 350 miles (563 km) ※燃料タンク総容量25ガロン(95リットル)使用時

OPERATING FORCES / 運用国・軍種

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画像の引用元
  1. By Halibutt – Own work, CC BY-SA 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=1058334

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