
概要と開発の背景
M1278 JLTV-HGC(Heavy Guns Carrier)は、2010年代にアメリカ合衆国のOshkosh Defenseが開発し、アメリカ軍に制式採用された4輪駆動の多用途装甲軽戦術車両(JLTV)ファミリーにおける重火器担載モデルである。1980年代よりアメリカ軍の主力小型軍用車として広く運用されてきたHMMWV(ハンヴィー)は、本来非装甲ないし軽装甲の汎用車両であったため、イラク戦争やアフガニスタン紛争において簡易爆発装置(IED)や地雷、近距離からの小火器射撃に対し防御力が決定的に不足していた。装甲を後付けした各種改修型ハンヴィーも投入されたが、車重超過による走行性能の悪化や足回りの著しい破損が深刻な課題となった。これに対し、MRAP(耐地雷・伏撃防護車両)と同等の高い防護性能と、ハンヴィーと同等以上の優れた不整地走破性や戦術空輸能力を兼ね備えた次世代車両を獲得するため「JLTV」計画が発足し、その主要派生型としてM1278の開発が推進された。
構造と技術的特徴
構造上の最大の特徴は、モジュール式装甲構造(A-kit/B-kit概念)とV字型車底構造(V-hull)を採用し、従来型の重厚な防護車両と同等の対地雷・対IED生存性を軽量な4輪車体で達成した点にある。足回りにはOshkosh社独自の「TAK-4i」独立懸架サスペンションシステムを搭載しており、車高調整機能によって過酷な不整地における高い走破性と輸送機への収容性を両立させている。パワートレインにはGale Banks Engineering製866T 6.6リッターV8ターボディーゼルエンジン(約400馬力)とAllison製6速自動変速機を統合し、時速約110km(70mph)の道路移動性能を発揮する。M1278は4ドア仕様の基幹車体をベースに、屋根上へ手動式の射手防護キット(GPK)付き銃塔、あるいは遠隔操作式兵装ステーション(CROWS)を装備できる。12.7mm M2重機関銃や40mm Mk 19自動擲弾発射器を搭載可能であり、乗員4名(手動銃塔時は射手を含め5名)の安全を確保しつつ高い火力を提供する。
運用実績と評価
2019年のフルレート生産移行以降、アメリカ陸軍、アメリカ海兵隊、アメリカ空軍などの主要部隊へ大規模に配備された。アメリカ軍のみならず、ベルギー、リトアニア、スロベニア、モンテネグロ、ブラジル、ルーマニア、北マケドニアなどNATO加盟国および同盟国の軍隊でも幅広く導入されている。実際の運用や各種演習における評価では、従来のハンヴィーを凌駕する極めて高い防護性と、重量級のMRAP車両では進入困難な泥濘地や不整地を軽快に走破できる高い機動性が高く評価された。特にM1278は、前線の歩兵部隊や偵察部隊に密着して重機関銃等による直接火力支援を安全に提供できる車両として厚い信頼を獲得した。初期配備時には車両サイズの大型化に伴う輸送面での制限やメンテナンスコストの増大が指摘されたものの、順次改修が重ねられた。現代のアメリカ軍および同盟諸国における軽機甲戦力・歩兵支援の中核を担う高機能戦術車両として確固たる立ち位置を確立している。
| Official Name (正式名称) | M1278 JLTV-HGC (Heavy Guns Carrier) |
| Country of Origin (開発国) | アメリカ合衆国 |
| Manufacturer (製造メーカー) | Oshkosh Defense (2015年 〜 2023年頃)、AM General (2023年 〜 現在) |
| Designed (設計年) | 2011年(※ベース車両のL-ATVは2006年) |
| Primary Operators (主な運用組織) | アメリカ合衆国:アメリカ陸軍、アメリカ海兵隊、アメリカ空軍 スロベニア:スロベニア陸軍 モンテネグロ:モンテネグロ陸軍 北マケドニア:北マケドニア陸軍 ルーマニア:ルーマニア陸軍 スロバキア:スロバキア陸軍 イスラエル:イスラエル国防軍 |
| Crew / Capacity (乗員および兵員輸送数) | 乗員 4名(MCTAGS/OGPKなどのオープントップ銃塔装着時は要員含む5名) |
| Combat Weight (戦闘重量) | Curb weight (車両乾燥重量/車両重量):14,000 lb (6,400 kg) Gross Vehicle Weight (総重量/戦闘重量):22,500 lb (10,200 kg) Payload Capacity (積載重量):3,500 lb (1,600 kg) |
| Dimensions (寸法: 全長/全幅/全高) | L: 20.5 ft (6.2 m) W: 8.2 ft (2.5 m) D (全高): 8.5 ft (2.6 m) |
| Armor (装甲の詳細: 複合装甲、ERA、APSの有無) | Core Protection System (CPS), bolt-on kits(コア防護システム(CPS)、ボルトオン式装甲キット) |
| Main Armament (主武装) | 銃塔システム:Common Remotely Operated Weapon Station (CROWS) または Gunner’s Protection Kit (GPK/MCTAGS) 装備可能な武装:M2 Browning .50 Caliber (12.7mm) Heavy Machine Gun、Mk 19 40mm Automatic Grenade Launcher、M240 7.62mm Machine Gun、M249 5.56mm Machine Gun、Mk 47 40mm Grenade Launcher、または TOW ATGM |
| Secondary Armament (副武装) | None |
| Engine (エンジン出力 hp/kW) | 6.6 L Gale Banks Engineering 866T V8 (General Motors Duramax L5P ベース) ターボディーゼル 出力:400 hp (298 kW)(※旧仕様/一部諸元表では365 hpの記載あり) |
| Max Speed (最高速度: 整地/不整地) | Paved (整地/オンロード): 70 mph (110 km/h) Unpaved (不整地/オフロード): 不明(Varies / 走行条件により異なると記載) |
| Operational Range (航続距離) | 300 miles (480 km) |
OPERATING FORCES / 運用国・軍種
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