
概要と開発の背景
FV511 Warrior ICV(Infantry Command Vehicle)は、1980年代にイギリスのGKN Defence(現 BAE Systems Land & Armaments)が開発し、1988年から1990年にかけてイギリス陸軍に導入された履帯式装甲歩兵指揮車である。開発の背景には、冷戦期におけるイギリス陸軍機甲歩兵部隊の主力指揮車であった旧式FV432系列の老朽化と、新型歩兵戦闘車FV510 Warrior ISVの配備に伴う戦術指揮統制能力の同期ニーズが存在した。前線で高機動を展開するFV510搭乗部隊に対し、旧型の指揮車では不整地での機動追従性や装甲防護力が大幅に不足していた。これらを解決し、小隊・中隊・大隊レベルの指揮官および幕僚が、歩兵戦闘車と同等の機動性および防護性能を保持しながら、即応性の高いC4I(指揮・統制・通信・情報)機能を前線で直接行使できる専用の装甲指揮プラットフォームとして本車輛が開発された。
構造と技術的特徴
構造上の最大の特徴は、基本型であるFV510 ISVと共通の全溶接アルミニウム合金製ボディおよび2名乗り砲塔(30mm L21A1 RARDEN機関砲と7.62mm L94A1同軸チェーンガン)を維持しつつ、後部兵員室を作戦指揮空間へと改装している点にある。車内には地図や作戦資料を展開するマップボード、作業デスク、ならびに小隊・中隊・大隊の各指揮階層に応じた追加の無線通信機器群(のちにBowman通信システム等へ改修)および車体外部アンテナが統合されている。自車輛を一般の歩兵戦闘車(FV510)と同一の外観に留めるシルエット共通化設計を採用しており、前線において敵の偵察や優先照準から指揮車輛であることを隠匿する高い抗たん性(サバイバビリティ)を獲得している。550馬力のPerkins CV8 TCAターボディーゼルエンジンとAllison全自動変速機による高い機動性を備え、指揮車両でありながら自衛用の直接火力と強力な複合・増加装甲適合性を保持する設計工夫が施されている。
運用実績と評価
1988年の制式配備開始以降、FV511 Warrior ICVはイギリス陸軍の各機甲歩兵大隊(累計84両導入)において、小隊・中隊・大隊本部用の主力装甲指揮車として幅広く運用された。実際の運用においては、1991年の湾岸戦争(グランビー作戦)をはじめ、バルカン半島の国連/NATO平和維持活動(グラップル作戦)、イラク戦争(テリック作戦)、アフガニスタン紛争(ヘリック作戦)など主要な戦域へ連続投入された。実戦環境において、一般の歩兵戦闘車と足並みを揃えて前線で作戦指揮を執る高い信頼性と防護機能が実証された。後年、Thales Optronics製BGTI(部隊熱画像照準器)の搭載やデジタル指揮通信ネットワークの改修が行われ、昼夜間を問わない高度な指揮統制能力を維持した。現在は後継となるBoxer 8×8装輪装甲車およびAjax装甲戦闘車シリーズ等への能力統合・更新が進められているが、長年にわたりイギリス陸軍の機甲歩兵指揮を支えた基幹プラットフォームとして高く評価されている。
| Official Name (正式名称) | FV511 Warrior ICV (Infantry Command Vehicle) |
| Country of Origin (開発国) | イギリス |
| Manufacturer (製造メーカー) | GKN Sankey (現 BAE Systems Land & Armaments / Rheinmetall BAE Systems Land) |
| Designed (設計年) | Warriorファミリー共通のMCV-80開発計画として1972年に設計・開発が開始され(1976年から1980年にかけて設計・試作)、1987年に量産車両の納入が開始された後、1988年よりイギリス陸軍での部隊運用が開始された |
| Primary Operators (主な運用組織) | イギリス:イギリス陸軍(王立装甲軍団/機械化歩兵大隊・中隊・小隊等の指揮通信部隊/歩兵指揮車型(Infantry Command Vehicle)として84両が生産・配備され運用中) |
| Crew / Capacity (乗員および兵員輸送数) | 3名 (Commander, Gunner, Driver) / 指揮通信要員 (Command Team): 3名〜4名 (複数無線機およびマップボード搭載に伴う後部配置) |
| Combat Weight (戦闘重量) | 約25.4 tonnes (28.0 short tons) [追加装甲パッケージ(TES)装着時: 最大 約30 tonnes (33.1 short tons)] |
| Dimensions (寸法: 全長/全幅/全高) | L (全長): 6.34 m (20.8 ft) [砲身含む/含まず共通] W (全幅): 3.03 m (9.9 ft) [追加装甲装着時: 約3.6 m (11.8 ft)] D (全高): 2.79 m (9.2 ft) |
| Armor (装甲の詳細: 複合装甲、ERA、APSの有無) | Welded Aluminum Armor (全溶接製アルミニウム合金装甲) Composite & Steel Passive Armor Panels (複合・鋼鉄受動装甲パネル) ※追加装甲パッケージ Explosive Reactive Armor (ERA) (爆発反応装甲) ※追加装甲パッケージ(Herrick / TES)にて対応可能 Slat Armor / Bar Armor (スラット装甲 / バー装甲) ※対RPG用追加装甲 |
| Main Armament (主武装) | 30 mm (1.18 in) L21A1 RARDEN Cannon (機関砲) |
| Secondary Armament (副武装) | Coaxial (同軸機関銃): 7.62 mm (0.3 in) L94A1 Chain Gun |
| Engine (エンジン出力 hp/kW) | Perkins CV8 TCA V8 Turbocharged Diesel Engine (550 hp / 410 kW) |
| Max Speed (最高速度: 整地/不整地) | Paved (整地): 75 km/h (47 mph) Unpaved (不整地): 50 km/h (31 mph) |
| Operational Range (航続距離) | Paved (整地): 約660 km (410 mi) Unpaved (不整地): 不明 |
OPERATING FORCES / 運用国・軍種
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画像の引用元
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