FV515 Warrior BCV (Battery Command Vehicle)

FV515 Warrior BCV (Battery Command Vehicle)
ボービントン戦車博物館

概要と開発の背景

FV515 Warrior BCV(Battery Command Vehicle)は、1980年代末にイギリスのGKN Defence(現 BAE Systems Land & Armaments)が開発し、イギリス陸軍の王立砲兵連隊(Royal Artillery)へ導入された履帯式装甲砲兵中隊指揮車である。開発の背景には、155mm自走榴弾砲AS-90をはじめとする後方自走砲部隊や前線機甲部隊とともに前線へ進出する砲兵中隊(Battery)指揮官に対し、主力戦車(Challenger 2)や歩兵戦闘車(FV510)と同等の高い装甲防護性能と不整地走破性を誇る指揮プラットフォームを提供するという更新ニーズが存在した。従来の旧式装甲車(FV432系列等)では、前線の機甲部隊への機動追従性や過酷な戦場環境における耐妨害・防護信頼性が不十分であった。これらを克服し、砲兵中隊の指揮官および幕僚が射撃統制と作戦指揮を即座に行使できる専用アセットとして、Warriorシリーズ最終派生型となる本車輛の導入が進められた。

構造と技術的特徴

構造上の最大の特徴は、基本型(FV510)と共通の全溶接アルミニウム合金製ボディおよび550馬力Perkinsターボディーゼルエンジンを保持しつつ、砲塔部に観測車型(FV514)と同様の外観偽装用「ダミー砲身(Dummy Cannon)」を組み込んでいる点にある。これにより砲塔内部の容積を作戦指揮用のC4I機器や作業スペースへ割り当てると同時に、前線において敵の偵察や優先照準対象(指揮車ねらい)となるリスクを回避するシルエット共通化の防護思想が貫かれている。自衛用として7.62mm L94A1同軸チェーンガンを備え、車内にはBATES(野戦砲兵目標交戦システム)や後年のBowmanデジタル通信ネットワーク端末、ならびにAS-90自走砲部隊とリアルタイムで火力を調整する自動データリンク機器群が全装されている。CBRN過圧ろ過防護装置も完備され、高い安全性と作戦指揮機能を両立している。

運用実績と評価

1988年から1990年にかけての配備開始以降、FV515 Warrior BCVはイギリス陸軍の王立砲兵連隊において全19両が制式導入・運用された。実際の運用においては、バルカン半島での平和維持ミッションをはじめ、イラク戦争(テリック作戦)やアフガニスタン紛争(ヘリック作戦)などの主要戦域へ展開し、AS-90自走砲中隊の射撃統制の中核として機甲部隊の作戦行動を支えた。また、アフガニスタン紛争時には過酷な前線環境に対応するため、一部のFV515が車内追加エアコンや負傷者用資材を組み込んだ「装甲救急車(Armoured Ambulance)」へと現地改修・再定義され、医療救護ミッションへ転用された実績を持つ。生産数19両という限定的な配備規模でありながら、前線における高い機動力と正確な火力統制能力を発揮した基幹指揮アセットとして高く評価されている。

Official Name (正式名称)FV515 Warrior BCV (Battery Command Vehicle)
Country of Origin (開発国)イギリス
Manufacturer (製造メーカー)GKN Sankey (現 BAE Systems Land & Armaments / Rheinmetall BAE Systems Land)
Designed (設計年)Warriorファミリー共通のMCV-80開発計画として1972年に設計・開発が開始され(1976年から1980年にかけてGKN Sankey社により設計・試作、1980年代に各種派生型として開発)、Warriorシリーズ全体の量産納入は1987年・部隊運用開始は1988年とされるが、FV515固有の詳細な設計年および運用開始年については不明。
Primary Operators (主な運用組織)イギリス:イギリス陸軍(王立砲兵(Royal Artillery)/AS90自走砲部隊等の砲兵中隊指揮通信部隊/砲兵中隊指揮車型(Battery Command Vehicle: BCV)として19両が生産・配備され運用中)
Crew / Capacity (乗員および兵員輸送数)3名 (Commander, Gunner, Driver) / 砲兵指揮通信要員 (Battery Command Team): 2名〜3名 (車載指揮通信機材配置)
Combat Weight (戦闘重量)約25.4 tonnes (28.0 short tons) [追加装甲パッケージ(TES)装着時: 最大 約30.0 tonnes (33.1 short tons)]
Dimensions (寸法: 全長/全幅/全高)L (全長): 6.34 m (20.8 ft) [ダミー砲身含む/含まず共通]
W (全幅): 3.03 m (9.9 ft) [追加装甲装着時: 約3.60 m (11.8 ft)]
D (全高): 2.79 m (9.2 ft)
Armor (装甲の詳細: 複合装甲、ERA、APSの有無)Welded Aluminum Armor (全溶接製アルミニウム合金装甲)
Composite & Steel Passive Armor Panels (複合・鋼鉄受動装甲パネル) ※追加装甲パッケージ
Explosive Reactive Armor (ERA) (爆発反応装甲) ※追加装甲パッケージ(Herrick / TES)にて対応可能
Slat Armor / Bar Armor (スラット装甲 / バー装甲) ※対RPG用追加装甲
Main Armament (主武装)30 mm (1.18 in) Dummy RARDEN Cannon (ダミー機関砲) ※標準型(FV510)と外観を揃えて敵優先攻撃対象となるのを防ぐためのモックアップ主砲
Secondary Armament (副武装)Coaxial (同軸機関銃): 7.62 mm (0.3 in) L94A1 Chain Gun
Smoke Grenade Dischargers (煙幕発射機): 2×4 66 mm (2.6 in) Smoke Grenade Dischargers
Engine (エンジン出力 hp/kW)Perkins CV8 TCA V8 Turbocharged Diesel Engine (550 hp / 410 kW)
Max Speed (最高速度: 整地/不整地)Paved (整地): 75 km/h (47 mph)
Unpaved (不整地): 50 km/h (31 mph)
Operational Range (航続距離)Paved (整地): 約660 km (410 mi)
Unpaved (不整地): 不明

OPERATING FORCES / 運用国・軍種

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画像の引用元
  1. By Pierre-Olivier B – https://www.flickr.com/photos/13963542@N08/14562467772/in/album-72157645479235022/, CC BY-SA 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=148116408

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