F-15E Strike Eagle

F-15E Strike Eagle

アメリカのMcDonnell Douglas社(現Boeing社)が開発した、マッハ2.5クラスの高速空戦能力を維持したまま強力な対地精密打撃能力を統合した、複座の全天候型双発多用途戦闘爆撃機(マルチロール機)である。「1ポンドも対地攻撃に割かない」という設計思想だった制空型F-15の頑強な機体構造をさらに再設計・強化し、胴体両脇に1,500ガロンの燃料を追加可能なコンフォーマル・フューエル・タンク(CFT)を標準装備する。これにより空気抵抗を抑えながら航続距離と兵装搭載点を大幅に拡張し、最大23,000ポンドという爆撃機並みの並外れたペイロードを実現した。操縦を担うパイロットに加え、後席に兵器システム士官(WSO)が搭乗する複座制を採用しており、APG-82 AESAレーダーや各種先進電子戦・夜間低空航法・赤外線照準ポッド(LANTIRNやSNIPERなど)を高度に駆使できる。これにより、夜間や悪天候下のコンテステッド環境(敵の防空網が激しい戦闘地域)であっても、長距離を自力で進出し、圧倒的な精密誘導兵器の投射によって敵拠点を破壊した後に、再び自力で空中戦を戦い抜いて帰還できる、世界屈指の重量級戦術長距離打撃アセットである。

Official Name (正式名称)F-15E Strike Eagle
Country of Origin (開発国)アメリカ合衆国
Manufacturer (製造メーカー)McDonnell Douglas Corporation (1997年以降は The Boeing Company)
Designed (設計年)原型は1980年代初頭の「強化型戦術戦闘機(ETF)計画」に基づいて開発・設計され、競合機との比較コンペを経て1984年2月にフルスケール開発機としての基本設計調達契約が締結された。その後、生産型の第1号機が1986年12月11日に初飛行を完了し、1988年4月にアメリカ空軍の訓練部隊へ最初の実機デリバリーが開始。そして必要な実戦アセットの受領と人員訓練を完了した1989年9月30日に初期作戦能力(IOC)を公式に獲得し、本格的な実戦部隊での運用が開始された。
Primary Operators (主な運用組織)アメリカ合衆国アメリカ空軍(戦闘爆撃機・戦術長距離精密打撃の主軸として、第4戦闘航空団(ノースカロライナ州シーモア・ジョンソン空軍基地所属の第333、第334、第335、第336戦闘飛行隊)、第366戦闘航空団(アイダホ州マウンテンホーム空軍基地所属の第389、第391戦闘飛行隊)、在欧アメリカ空軍・第48戦闘航空団(英国RAFレイケンヒース空軍基地所属の第492、第494戦闘飛行隊)、ならびに各種試験・評価を担う第53航空団(第85、第59試験評価飛行隊等)および第57航空団(第17兵器飛行隊等)にて「F-15E」を大規模に現役運用中
イスラエル:イスラエル航空宇宙軍(イスラエル空軍(IAF)のハツェリム航空基地に所在する第69飛行隊(”The Hammers”)において、F-15Eをベースにイスラエル独自の統合アビオニクス・電子戦・兵装システムを組み込んだ専用派生品「F-15I Ra’am(ラーム)」を現役運用中
サウジアラビア:サウジアラビア王立空軍(RSAF:キング・ハーリド航空基地の第6、第55飛行隊、およびキング・アブドゥルアズィーズ航空基地の第92飛行隊等において、初期に導入したF-15Eのダウングレード派生品「F-15S」、およびデジタル・フライ・バイ・ワイヤやDEWS電子戦、APG-63(V)3 AESAレーダーを統合した最先端の新規製造派生品「F-15SA(Saudi Advanced)」を現役運用中
大韓民国:大韓民国空軍(ROKAF:大邱(テグ)の第11戦闘航空団に所属する第102、第122、第151戦闘飛行隊において、F-15EをベースにGE製F110エンジン、APG-63(V)1レーダー(一部AESAへの近代化進行中)、スラムイーグル専用の対艦・対地ミサイル運用能力を統合した独自派生品「F-15K Slam Eagle(スラムイーグル)」を公式現役運用中
シンガポール:シンガポール空軍(RSAF:米国内の訓練派遣部隊であるマウンテンホーム空軍基地所属の第428戦闘飛行隊、および本国のパヤ・レバー空軍基地に所在する第142、第149飛行隊において、F-15EをベースにAPG-63(V)3 AESAレーダー、AN/AAS-42 IRSTなどを統合した先進派生品「F-15SG」を現役運用中
カタール:カタール首長国空軍(QEAF:アル・ウデイド空軍基地の第51飛行隊 “Ababil” において、F-15Eから進化した「アドバンスド・イーグル」仕様であり、大型ディスプレイ付きデジタルコックピットやAPG-82(V)1 AESAレーダー、両翼外側ハードポイントの活性化(最大12発の空対空ミサイル搭載等)を施した最新鋭の独自派生品「F-15QA(Qatar Advanced)」を現役運用中
Crew (乗員)2名 (Pilot、Weapon Systems Officer:WSO / 兵器システム士官)
Dimensions (寸法):全長、全幅(翼幅)、全高L (全長): 63.8 ft (19.44 m)
W (全幅(翼幅)): 42.8 ft (13.05 m)
H (全高): 18.5 ft (5.63 m)
Empty / Max Takeoff Weight (自重 / 最大離陸重量)Empty (自重): 37,500 lb (17,010 kg)
Max Takeoff Weight (最大離陸重量): 81,000 lb (36,450 kg)
Powerplant (エンジン):型式、推力型式: 2x Pratt & Whitney F100-PW-220 または F100-PW-229 (デジタル電子エンジン制御(DEEC)を統合したアフターバーナー付きターボファンエンジン)
推力: 1基あたり 25,000 lbf 〜 29,000 lbf (111.2 kN 〜 129.0 kN / 2基合計最大 50,000 lb 〜 58,000 lb クラス)
Max Speed (最大速度):マッハ表記、高度別の速度マッハ表記: Mach 2.5 以上 (Mach 2.5+)
高度別の速度: 高高度において 約 1,875 mph (約 3,017 km/h)、低高度(海面高度付近の濃密な大気領域)においては機体保護および空気密度の関係から 約 920 mph (約 1,480 km/h / マッハ1.2クラス) に制限される
Combat Range (戦闘行動半径) / Ferry Range (航続距離)Combat Range (戦闘行動半径): 約 790 n.mi (約 1,463 km / 910 miles) ※標準的な対地攻撃仕様時、作戦プロファイルや兵装重量により変動する
Ferry Range (航続距離): 2,400 miles (2,100 n.mi / 3,840 km) ※コンフォーマル・フューエル・タンク(CFT)および3基の外部増槽(ドロップタンク)をフルに装着した長距離航行時
Service Ceiling (実用上昇限度)60,000 ft (18,288 m) ※戦闘時の実用限界高度、一部仕様では最大 50,000 ft 制限
Hardpoints (ハードポイント):ミサイルや爆弾の搭載能力ハードポイント:21カ所
胴体下、左右主翼下の主要パイロンに加え、胴体両脇のコンフォーマル・フューエル・タンク(CFT)に備えられた高強度BRU-46/AおよびBRU-47/Aボムラック等により構成され、最大 23,000 lb (10,432 kg) の空対空ミサイル(AIM-9、AIM-120)、各種精密誘導爆弾(JDAM、レーザー誘導爆弾)、および戦術夜間低空航法・赤外線照準ポッド(LANTIRN / SNIPERポッド等)を同時にマウント可能
Fixed Armament (固定武装):機関砲の口径、弾数1x 20mm M61A1 Vulcan (右側主翼付け根前縁にマウントされた6砲身ガトリング砲)
弾数:500発 (制空型C型の940発仕様とは異なり、対地攻撃機器配置の関係で500発に制限されている)
  1. By Staff Sgt. Sean Carnes – https://www.af.mil/News/Photos/igphoto/2002572646/, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=99393188

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