
概要と開発の背景
L132A1および改良型のL132A2(商業型番:N451/A)は、2010年代初頭にイギリスの防衛火工品メーカーであるWescom Defence(旧 PW Defence / Pains Wessex)が開発し、イギリス軍へ制式採用された小型遮蔽用発煙手榴弾である。開発の背景には、従来イギリス軍や各国の歩兵部隊で使用されていたL83A2発煙手榴弾や六塩化エタン系手榴弾、あるいは赤燐を用いた大規模発煙手榴弾(L84シリーズ等)におけるサイズおよび重量の大きさ、ならびに毒性や環境負荷に対する更新ニーズが存在した。従来の発煙手榴弾は全高が高く大型であったため、歩兵の個人装具(マガジンポーチや各種ポーチ類)を圧迫し、携行数量が制限される課題が指摘されていた。また、訓練や実戦における兵士の健康被害を最小限に抑える低毒性(Low Toxicity)についても強く求められた。これらを解決し、標準的な手榴弾ポーチへ無理なく収容可能で、可視光域における敵の視認や照準を即座に遮蔽する個人携行用コンパクト発煙アセットとして本手榴弾が開発された。
構造と技術的特徴
構造上の最大の特徴は、従来の缶体サイズを大きく短縮・軽量化した円筒形アルミニウム製コンパクトボディと、高密度な白色煙を素早く発生させる低毒性発煙組成物を統合している点にある。作動方式には標準的な撃針開放レバー(Fly-off lever)安全信管を採用しており、安全ピンを引き抜いて投擲することで安全レバーが離脱し点火する。点火後は数秒で大量の煙幕を展開し、視射による敵の狙撃や照準設定を途絶する。発煙持続時間は公称約45秒間であり、人体や環境への影響を考慮した低毒性処方(Low Toxicity Formulation)が施されているため、通気性の乏しい環境や日常的な訓練時においても安全に使用できる。従来型のL83A2やアメリカ軍のM18発煙手榴弾などの大型缶体(全高約140mm以上)と比較して、L132A1/A2は全高約125mmと大幅にコンパクト化されており、歩兵の携行負担を軽減し複数個の可搬性を高めている。上面部に配置されたツイン排煙ポート構造により、短時間で均一かつ濃密な煙幕を周囲へ拡散させる設計工夫が施されている。L132A1からL132A2への移行では、内部充填物および発煙機構の作動安定化改修が行われた。
運用実績と評価
2012年の配備開始以降、L132A1およびL132A2はイギリス陸軍、王立海兵隊(Royal Marines)、王立空軍連隊(RAF Regiment)、および各種特殊部隊において標準の遮蔽用手榴弾として広く制式採用された。また、製造元のWescom Defenceを通じて「N451/A」の型番で商業・輸出展開が行われ、NATO加盟国や各国の精鋭部隊でも導入が進められた。実際の運用においては、市街地戦闘(FIBUA/MOUT)における通路突破や開けた地形での陣地移動、離脱時の目隠し、および負傷兵の救護ミッションなどで使用されている。小型かつ軽量であるため、プレートキャリアやタクティカルベストの収納力に影響を与えず携行できる点が高く評価された。同系プラットフォームの派生展開として、赤・緑・青・黄などのカラー煙を発煙する小型信号手榴弾シリーズ(N431〜N437 / L152〜L158シリーズ)も展開されている。現在もイギリス軍の小隊・分隊レベルにおける主力コンパクト発煙手榴弾として第一線で運用されている。
| Official Name (正式名称) | L132A1 / L132A2 Compact Smoke Screening Grenade (商用モデル名:N451/A) |
| Country of Origin (開発国) | イギリス |
| Manufacturer (製造メーカー) | Wescom Defence(旧 Pains Wessex) |
| Designed (設計年) | 設計年および運用開始年については、イギリス国防省や製造メーカー(Wescom Defence社)による開発・採用プロセスの詳細な年号(設計年・運用開始年)が公的に明記された信頼できる一次情報や報道記録がないため不明。 ただし、客観的かつ間接的な製造・配備記録として、少なくとも2010年代初頭にはイギリス軍などで既に部隊配備・運用されていた事実が確認されている。 |
| Primary Operators (主な運用組織) | イギリス:イギリス陸軍(標準制式の主力発煙手榴弾として歩兵部隊や各種地上戦闘ユニットに広く配備・現役運用)、イギリス海軍および王立海兵隊(特殊作戦・強襲部隊においてL132A1 / L132A2を現役運用)、およびイギリス警察組織(法執行機関用のモデル名N451シリーズとして、暴動鎮圧や視界遮蔽用アセットとして各地域の警察部隊および戦術特殊部隊に広く配備・実戦運用中) ウクライナ:ウクライナ武装部隊(イギリス政府による公式な軍事・防衛支援アセットの1つとしてL132A2(白色煙幕仕様)を公式に受領し、対ロシア前線の各種歩兵部隊、特殊作戦部隊、および領土防衛隊などの実戦部隊で広く運用中) |
| Type (種類) | 発煙手榴弾(Smoke Screening Hand Grenade) |
| Filler Type (炸薬・内蔵化学物質の種類) | 亜鉛華(酸化亜鉛 / Zinc Oxide)およびヘキサクロロエタン(Hexachloroethane)を主成分とする低毒性白色発煙組成物(HC煙) |
| Filler Weight (炸薬・薬量) | 約 60 – 80 g 前後と推測されるが、詳細は非公表 |
| Fuze Type (信管方式) | 延期信管 (Time-delay pyrotechnic fuze / フライオフ・レバー式発火信管) |
| Delay Time (遅延時間) | 安全レバー解放後の起爆遅延時間に関する秒数は非公表、起爆後の「煙幕放出時間」は45秒間持続 |
| Dimensions (外寸) | 全長(高さ)約 124 – 125 mm × 本体直径 54 – 55 mm |
| Total Weight (総重量) | 不明 (空重量は 176 g) |
| Effective Radius (有効加害・効果半径) | 煙幕展開の効果範囲については「秒単位で高密度の煙幕を迅速に展開し、視界を遮蔽する」とメーカーで定義されている |
| Deployment Method (投擲・運用方式) | 手動投擲 (Hand-thrown) |
OPERATING FORCES / 運用国・軍種
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