L119A1 (C8SFW / C8CQB)

L119A1 (C8SFW / C8CQB)
イギリス王立海兵隊

概要と開発の背景

L119A1(Special Forces Individual Weapon)は、1990年代後半にカナダの Diemaco(現 Colt Canada)が開発した C8SFW および C8CQB カービンをベースに、2000年頃にイギリス国防省が制式導入した特殊部隊用アサルトカービンである。開発の背景には、1980年代よりイギリス軍の主力小銃として配備されたブルパップ式の L85A1(SA80)において、過酷な実戦環境下での作動不全や、狭小空間での取り回し・拡張性の制限といった問題が相次いだ事情が存在した。特に陸軍特殊空挺部隊(SAS)や海兵隊特殊舟艇部隊(SBS)などの特殊作戦部隊においては、砂塵や極寒地などのあらゆる過酷な環境下で即座に確実な火力を投入でき、かつ各種光学照準器や戦術アタッチメントを柔軟に装着できる高い信頼性を備えた AR-15 / M4 系統の新型個人火器の獲得が急務であった。これを受け、従来の M16A2/C7 シリーズの運用実績を踏まえ、連続射撃に耐えうる強化型バレルを標準統合した本機が選定・調達された。 

構造と技術的特徴

構造上の最大の特徴は、信頼性の高いダイレクト・インピンジメント(リュングマン)式ガス圧力作動機構を踏襲しつつ、持続射撃時の耐熱性と命中精度を高めた冷間鍛造クロームメッキ・ヘビーバレルを装備している点にある。基本モデルである C8SFW 仕様(15.7 インチバレル)では、バレル先端付近に独特のステップカット加工が施されており、標準的な 40mm アンダーバレル擲弾発射器(M203 や HK AG-C / L17A1)を安定して装着できる工夫がなされている。また、より小回りの利く室内近接戦闘(CQB)用として 10.2 インチ(または 10.5 インチ)の短銃身を備えた C8CQB 仕様もラインナップされた。アッパーレシーバーには Picatinny 規格のフラットトップレールが配置され、Knight’s Armament Company(KAC)製 Quad RIS ハンドガードを標準統合することで、ACOG 光学照準器、EOTech ドットサイト、戦術ライト、レーザー照射器などの各種装備を用途に応じて自由に組み替えられる設計思想を有する。

運用実績と評価

2000年代初頭の制式採用以降、L119A1 はイギリス陸軍特殊空挺部隊(SAS)、特殊舟艇部隊(SBS)、特殊偵察連隊(SRR)、第16空中急襲旅団パスファインダー小隊、および王立海兵隊第43コマンドーなど、イギリス軍の主要な特殊作戦部隊および精鋭部隊へ集中配備。実際の運用においては、イラク戦争やアフガニスタン紛争における長距離偵察、近接戦闘、対テロ作戦などの最前線へ投入され、過酷な砂漠環境や厳しい寒冷地においても動作障害を起こさない抜群の耐久性と高い着弾精度、ならびに射手の利き手を問わない優れた操作性が部隊から絶大な信頼を獲得した。2010年代半ばに一体系モノリシック・アッパーレシーバーを備えた後継モデル L119A2 へ更新が進められたものの、20年近くにわたりイギリス軍特殊部隊の象徴的な基幹小銃として第一線で作戦行動を支え続けた。

Official Name (正式名称)L119A1 (C8SFW / C8CQB) ※L119A1はUKSFにおけるSpecial Forces Individual Weapon [SFIW] としての制式名称
Country of Origin (開発国)イギリス(要求仕様・調達) / カナダ(基本設計・開発)
Manufacturer (製造メーカー)Colt Canada(※制式採用時の社名はDiemaco)
Designed (設計年)1999年にイギリス国防省が特殊部隊用新型火器の入札を行い、カナダのDiemaco社(現Colt Canada社)が開発したC8 SFW(Special Forces Weapon)をベースとする仕様設計が完了、翌年の2000年に最初のモデルが正式に制式採用(採択)され、1990年代末から2000年代初頭(2000年前後)にかけて実戦部隊への支給および本格的な初期運用が開始された。
Primary Operators (主な運用組織)イギリス:イギリス海軍(王立海兵隊の「43コマンド」「42コマンド」「30コマンド監視偵察中隊[SRS]」)、イギリス陸軍(特殊作戦旅団傘下の「レンジャー連隊」[※L403A1移行期につき並行運用]、16空中突撃旅団の「パスファインダー小隊」、王立憲兵隊[RMP]要人警護ユニット)、イギリス空軍(RAFレジメント(SFSG派遣隊)、RAF Police CQB/警護チーム)、イギリス三軍統合特殊部隊(陸軍特殊空挺部隊[SAS]、海兵隊特殊舟艇部隊[SBS]、特殊偵察連隊[SRR]、特殊部隊支援グループ[SFSG])(※元々はUKSF専用アセットとして導入され、のちに王立海兵隊や専門部隊の主力・標準個人携帯火器としてアセットが広範に運行管理・現役運用されている)
Type (種類)アサルトライフル / カービン(Assault rifle / Carbine)
Caliber (口径)5.56x45mm NATO
Action (作動方式)ガス圧作動(リュングマン方式 / ダイレクト・インピンジメント)、閉鎖ボルト回転閉鎖(Gas-operated, rotating bolt)
Overall Length (全長)15.7インチ(SFW)仕様:
ストック展開時(最延長時):約 895 mm (35.2 in)
ストック折り畳み時(最短縮時):約 815 mm (32.1 in)
10インチ(CQB)仕様:
ストック展開時(最延長時):約 750 mm (29.5 in)
ストック折り畳み時(最短縮時):約 675 mm (26.6 in)
Barrel Length (銃身長)15.7 inches(約 400 mm / 39.8 cm)
10 inches(約 254 mm)
Weight (重量)15.7インチ(SFW)仕様:約 2.97 kg (6.55 lbs)
10インチ(CQB)仕様:約 2.68 kg (5.91 lbs)
Rate of Fire (発射速度)750 – 950 rpm
Effective Range (有効射程)15.7インチ(SFW)仕様:500 – 600 m
10インチ(CQB)仕様:約 360 – 400 m(銃身短縮による初速低下に伴い、有効射程が低下)
Feed System (給弾方式)30-round detachable STANAG magazine

OPERATING FORCES / 運用国・軍種

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画像の引用元
  1. By Photo: LPhot Dan Rosenbaum/UK Ministry of Defence 2021, OGL 3, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=114509750
  2. Photo: PO Phot Arron Hoare / UK Ministry of Defence (Filename: 45170516.jpg / Crown Copyright 2023 / MOD Crown Copyright News License)
  3. By Photo: LPhot Daniel Shepherd/MOD, OGL v1.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=101712886
  4. By Photo: PO Phot Ethell/UK Ministry of Defence 2022, OGL 3, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=129980978
  5. By Photo: PO Phot Si Ethell/UK Ministry of Defence 2021, OGL 3, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=114052954
  6. By Photo: LPhot Daniel Shepherd/MOD, OGL 3, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=94570554

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